トリックスターの本懐(2)
ここでメイジはアケビ・スキットからの報告を受ける。
子供の起こす予想外の行動を事象発生用のランダムシードとして利用するために稼動させていたサブプロセスだが、これが予想外の方向に進行していた。子供を騙すために、巨大な少女をEnScapeに出現させたらしい。
面白いことになっているが、予定外の要素が割り込むのは迷惑だ。
しかし、なってしまったものは仕方がない。
アケビ・スキットにマイちゃんの要請に必ず答えることを求めたのはメイジだ。現在の状況は自業自得といってもいいし、望んでいた不確定性のまさにそのものと言ってもいい。
それでも緊急性に鑑みてアケビ・スキットを収束させることも考えたが、放置であそこまで事態が進展したのに尻すぼみに終わらせてしまっては面白くない。
面白がりがメイジの悪い癖なのだが、自滅をしようがそれを反省する気はない。
メイジ自身のサブペルソナであるアケビ・スキットを回収して以降はすべてアケビ自身で仕切ることにした。面倒な状況を呼び込んだのマイの下には、再びアケビ・スキットを戻すつもりは無い。
EnScapeの巨大少女はそもそも誰なのか。
アケビ・スキットのログから答えを探し出すと、彼女はゲームのキラキラパフォーマンスで、どこかのプレイヤーがプレイするときに着ていたアバター。キラキラパフォーマンスのキャラクターはすべてキラメスターと呼ばれ、その少女の名前はハルカ。マイがゲームの中で最後に会ったキラメスターなのだという。




