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森が消えていく時(2)
いまだフェアリーステップに居続けているパジャッソは慌てていた。
ムルシエラゴの攻撃予定とは関係がない。
どこを攻撃するのか知っているので、街から出る必要はないのだ。
街に居続けながら、買い求めたそれ用のキットでハルカのリストラクテッド・ペルソナを新たに再構築し続けている。再構築のためにカルキュレイト・エンジニアリング・サービスを借り、五分前にバージョン1のモデルができたところだ。
出来上がったハルカのリストラクテッド・ペルソナをEnScapeに接続して動作の確認をしようとしたところ、フェアリーステップのレイヤー側の街並みが崩壊し始めた。
ムルシエラゴの攻撃でフェアリーステップのリソースが低下するのは有り得る話だが、ムルシエラゴの攻撃で一人ひとりの持っているマガタマを破壊していくわけではない。全体リソースの分配という仕組み上、こうはならないはずだ。
何があった。
パジャッソは窓を開けて外の様子をひとまず確認しようとする。
ムルシエラゴが来るはずの空を見る。
そこには、巨大なハルカの姿があった。




