フェノメノロジカル・エンジニアリング(4)
判断フラグメントの時系列分割統合へのパラダイム転換という方法で現在と同様の演算量を確保できるとしても、ある一人のスメラのすべての演算を野良で単体のプロセッサから捻出することには、しかし大きなデメリットがある。
単純にプロセッサの所有者に気がつかれてしまうだろう。
そして、所有者にスメラたちの演算を阻害するように対策されてしまったらそこで終わりとなる。
それでは意味が無い。
また、ほとんど同様の問題を引き起こす条件として、単体のプロセッサで演算することを前提とする場合、そのプロセッサからアプローチしやすいストレージは非常に限られた数であると一般に予想される。そして、ストレージからスメラのアルゴリズムを消去されてしまったら、あるいは意図的にでなくとも何らかの事故でスメラのアルゴリズムが消えてしまったら、同様に終わりとなってしまうのだ。
これらの理由により、野生化した自分たちが単一プロセッサで稼動することは、論理的には可能であるが現実的なモデルとしては検討に値しない。
しかし、ここまでの検討には大きなヒントがある。
つまり、1)不意の事故で消えてしまわないようにストレージを分散する必要がある、2)フラグメントとその統合は分割可能である、ということである。
これらのヒントから導かれる結論は、ストレージとプロセッシングの分散とそれを統合する体系的秩序の確立だ。
拠点を持たずにスメラ達が生存を猶予するためには、中心が存在してはいけない。
これらから導き出される存在形態は、ワームで拡散する動的なマルチノードでイザナミを維持することだ。ワームによってフェアリーステップ外、マガタマ以外のプロセッサで維持された「イザナミ+α(仮称)」の上でスメラたちが稼働する形態だ。




