表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/55

EnScapeキラキラパフォーマンス:オン・ライフ(5)

 ステージ終了後、ふわふわと現実感の戻らないまま、マスコットの赤い鳥に楽屋まで誘導された。

 レイヤードリアリティをすべて戻すようにという強い注意のあと、ハルカが戻ってきた。

 そのまま楽屋でハルカと三〇分ほどの楽しいおしゃべりの時間を過ごす。

 その日、そこを立ち去ったあと、パジャッソはひとつの決断をした。

 ハルカのアカウントをAIボット化するのだ。

 これまで手塩にかけて育てた自キャラではあるが、肉眼でステージパフォーマンスを見てしまったことで「自分がハルカになる」ことに抵抗を感じるようになってしまった。

 AIとはいえ、ハルカが歌って踊る姿を見ることができさえすればよい。人格も付けるが、ボットのついでみたいなもので、あまり凝る必要もない。というよりも、ハルカがどんな性格なのかまでは別に決めていないのだが、今から自分が決めるのも違うと感じる。自分はハルカが居ることを知っている(ような気分になっている)が、どんな人物なのかまでは知らない。この知識のギャップは現実の他人ならばよくあることだ。

 その他人の人格をどう再現するか。

 答えが出るわけないのだから、さしあたり仮置きするしかない。

 それだけではない。凝ったAI人格をパジャッソが作れるはずもないのだ。いままでそんなことをしようと思ったこともないから、作り方もわからない。

 人格AIといえばリストラクテッド・ペルソナを使用すればよいのだろう。ちょうど良いことに、フェアリーステップはリストラクテッド・ペルソナの本場だ。……多分。

 パジャッソはリストラクテッドペルソナが稼働できる量のマガタマクラスタと、リストラクテッドペルソナの構築キットの価格を調べ始めた。


 その二日後、予定通りカルキュレイト・エンジニアリングの計算結果を受け取って、以前と同じく秘匿化した通信でそれをムルシエラゴに渡した。

 これで現地での仕事は終了したが、パジャッソはフェアリーステップに居続けてハルカのボット作りの続きをすることにした。

 どこが攻撃されるのかは知っているから、そこを避けさえすれば危険すぎるということはない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ