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彼はフェアリーステップを探検する(4)

 その機材を持って、パジャッソは複合抗に潜り込んだ。

 簡単にいうと上下水と電力線や伝送線などの施設がその場に集められている。

 機材に地図の記録を任せて、気楽に見て回る。出入り口なども多いし、複合抗なのでメンテナンスの出入りも多いらしい。とはいえ誰かと出くわすこともなく見て回ることができた。

 出入り口の中でも、横に大きく開いている珍しい場所があった。

 下水機能のひとつである雨水や雑排水を街中の川に戻している様子だった。

 大きな横向きの管の形で露天に突き出して、そこから出た水が一時的に小さな池になって溜まっている。

 その池の畔で、キラパフォのペットロボットを従えた小さな女の子が一人でなにかをしている。

 EnScapeで確認してみると、ゲームのキャラでモデリングのほつれを弄っているらしい。

 そしてパジャッソのいる場所は、EnScapeでは水の染み出す岩に隠れているようだった。

 レイヤーオブジェクトの隙に興味をもつのはわからないでもない。

 あの子が目的を達成したら、EnScapeの裏にいるこちらが見えるようになるだろう。そうしたらあの子のマガタマを騙して取り上げることができるかもしれないと軽い目算を立て、休憩を兼ねてしばらく見守った。

 ペットロボットを見る限りあの少女はキラパフォのプレイヤーかもしれない。そう思うと少しは心も痛むが、キラハウスの外ならば自分がハルカのプレイヤーであることがバレることはない。巡り合わせが悪かったのだろう。こういうこともある。

 ほどなく、女の子が手詰まりになってしまい、諦めるかのように見えた。

 出処を隠匿したマガタマの入手には別の手立てを考えなければいけないか。

 惜しいような気もするが、小さな子供を騙すようなことをしなくて済むことになんとなく安心するような気分もある。

 しかし、その少女がゴーグルを外し、目が合ってしまった。

 まぁいい。子供と話をするのは嫌いではない。キラパフォで慣れてもいる。


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