男の娘は告白される
ごめんなさい
「誰だろう、あの娘…」
「綺麗だね…」
「髪も雪みたい…」
「アルビノ…だよね?ああ言うの」
「藍菜様に近づ…いても良いか、あの顔なら」
学園についてもやっぱり恥ずかしいままだった。
裏からヒソヒソとした声聞こえてくる。
まあ、わからんでもない。
鏡で見たが、おれの見た目は、外見だけは完全美人。
しかも、『逆』になっているっぽい、と言うのを藍菜と話していて気づいた。
声は高く、可愛く、
見た目は可愛く(おれはイケメンじゃないと思うんだが、藍菜に言ったら怒られた。『イケメンだから、自覚しなさい!』だと。ふーむ。)
ということで、背も低く、声もカッコよさと無縁の可愛さになっていて、神秘的なアルビノ。
そりゃあモテるだろうね、と言う話だ。
「ねえ、みんなにはどうやって説明するの?」
「うーん、やっぱり、俺って説明するのが無難だと思うんだよね…」
「そっか…原因もわからないし、戻れるかすらわかってないもんね…」
そこなのだ。戻れるとわかっていたら、『大河ちゃんでーす』っていっておいて、『転校しましたー』っていって、戻ったら『大河です』って言えばなんとかなる。
しかし、戻らなかったら。身長が三十センチ近く違うため、整形はできない。
となったら、『大河君』がいなくなり、『大河ちゃん』が現れる、と言う話になる。
流石にそれはどうか、というのが俺の意見だ。
と言うことを伝えたら…
「もしや、それを見計らって署名を渡したんじゃ…」
「違うと思う」
そう言う人達だからな。
そんな空想を頭の中に広げながら、俺は藍菜と当たり障りのない会話をしていたのだが…
「…………」
熱烈な視線を感じて顔を上げた。
「僕と付き合ってくれないか?」
そこにいたのは、我が親友、伊月君だった。
「……なにいっとんじゃああ!」
だが俺はあっさりそういって張り倒してしまった。まあ、仕方ないだろう。
昨日も一緒に遊んで、
『あのヒロインがいい!』
『いやいやあっち!』
などと馬鹿騒ぎを繰り返した、
周り公認のオタクーズの片割れだ。
それもイケメンな方。
「なんでだよ!なんで見ず知らずのやつに告白するんだ!」
「だって君は白髪赤眼だし、なんか仲良くなれそうだ!」
白髪赤眼は意味がわからん。
俺と仲良くなった時も、『なんか仲良く慣れそうだ!』とかいっていたことを思い出した。
こいつは、感覚で仲良くなる人を察知する。
…うん、自分で言っても意味がわからない。
まあとにかく、『仲良くなれそう!』とか言ってるやつじゃないと、
告白すら聞いてもらえない。
俺は、不思議なイケメンに告白されたのだった。
Wifiが壊れてて………