第二話 職場の同僚
「おまえってほんと、この仕事向いてるよな。」
「やっぱり?」
今日迎える予定の死者の名簿が写真付きで張り出されている。それを眺める者たちの中に、彼らはいた。金髪の男は、フードを深くかぶった男に、あきれるように話している。
「自分で言う?普通。」
「だって俺も向いてると思うんだもん。」
「じゃあ、たとえばどういうとこ?」
「優しさにあふれてるとことか?」
「真逆だろ。」
「そう?」
フードの男は、本気で疑問に思っているような様子だ。金髪の男は、一つため息をついた。
「優しさとかみじんも持ち合わせてねーじゃん。こないだの魂なんて、夢が叶ったと思ったところだったじゃん。」
「優しくない?ちゃんと夢叶えてあげたんだから。」
「楽しんでるだろ?おまえ。」
「まあね。人の絶望する顔ってそそらない?」
「う、わ。基地外。無理無理。共感させないで。」
「あれ?普通の感覚かと思ってた。」
金髪の男は手をぱたぱたと振ると同時に、首を横に振った。よっぽど違うらしい。
「でも、うちのボス、夢を叶えた若い魂好きじゃん。」
「まあな。おれはあれも理解できないけど。」
「まじめに考えてたら、続かないよ?人間じゃあるまいし。」
「そうだな。」
「それに俺、安易に神頼みする奴、大っ嫌いなんだよね。全部周りが悪いみたいに、自分のだめなとこ、認めない奴。」
「お?人間っぽいんじゃないか?そういうとこ。」
「元は人間だったからね。」
「あ、そうなの?知らなかった。」
「おまえは?」
「さあ、記憶にねぇし、興味もないなぁ。」
「そっか。」
フードの男は両手をあげ、大きくのびをした。
「んじゃ、次の魂回収してくるや。」
「今度はどんな奴?」
「世界一周したいって言ってた。だから、し終わった帰りの船沈没させようかなって。」
「え、大量に死ぬんじゃん?手伝いいる?」
「大丈夫。死ぬのは一人だけだから。」
「優しいな?」
「やっぱり?」
「・・・もしや次のターゲットを?」
「あ、わかった?」
「基地外だなー。」
「簡単でしょ?」
「『死にたくない』奴だらけだろうな。まあ、深入りしてせいぜい取り込まれないようにな。」
「するわけないでしょ。仕事なんだから。」
金髪の男は、フードの男がその場を去って行くのを見てから、また張り紙の方へ視線を戻した。元人間だと、前世の記憶や思いが邪魔して、魂の回収に支障を来すときがある。それを知ってはいたものの、他人にそこまで興味がないため、もう頭は次の仕事へと移っていた。
後2話です。
次の話がメインかな。




