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第6話:戦いが始まる

 キノハラ王国では魔王に対する防衛軍が外を見張っており、コロンボやセイルにも十名の護衛が付いていた。そんな中、ベイトは毎日剣の練習をしており、ヒナクとミーナは新しい魔法の研究を行っていた。


 ベイトは剣の練習中、空を見上げた。雲の色が徐々に黒く染まってきているのを、察知していた。


「不吉なことが起こらなければいいが……」


 小さく呟いたその時だった。防衛軍が危険を知らせるチャイム音を鳴らしたのだ。チャイム音を聞いた場内の兵士は防衛体制に入り、戦闘能力のないメイドや調理師などは、城の至る所にある安全部屋に避難した。


「防衛軍は臨戦態勢を取れ!場内にいる兵士は戦闘能力の無い者の非難を手伝え、それが終わり次第戦闘に加われ‼」


 ベイトが兵士に命令しながら外に出て行った。外では戦闘が始まっており、すでに周囲は血の色で染まっていた。


「ベイトさん‼来てくれたのですね‼」


「魔王の奴が攻めてきました‼」


 ベイトが来たことを知り、兵士達は歓喜に沸いた。ベイトは剣を取り、目の前のモンスターを斬り捨てた。


「行くぞ皆、我らで国を守るんだ‼」


 その後、ベイト率いる兵士軍団は次々とモンスターを倒していった。城の中にいるミーナは窓を覗き、戦闘が始まったことを知った。


「師匠~、魔王が攻めてきました~‼」


「分かってる。ちょっと待て、準備が終わったら私も外に出る。お前はここで待機だ」


 ミーナにこう言うと、ヒナクは薬品を次々とバックの中に入れた。その後、外へ出て行った。


「師匠、ベイトさん、皆さんどうかご無事で」


 ヒナクの背中を見て、ミーナはこう言った。




 戦いが始まって数時間が経過した。ベイトの足元にはバラバラになったモンスターの死骸が転がっていた。兵士達も深い傷を負った者はいたが、死者は出ていなかった。モンスター達もベイトの強さを目の当たりにし、逃げるモンスターや怯えてその場で座り込んでいるモンスターもいた。


「無駄な戦いはやめるんだな。死にたいのであれば相手になるが」


 ベイトはモンスター達を睨むと、モンスター達は怯えて逃げて行った。


「ふぅ……終わったか」


 戦いは終わった。ベイトも兵士達もそう思っていた。だが。


「馬鹿野郎‼逃げんじゃねーよ‼」


 耳を裂くような大声が響いた。この時、逃げていたモンスターの一部が上空に舞っていた。


「ったく、人間相手に逃げるなんてモンスターとしての誇りがねーのかよ……ボウチの野郎、もうちょい強いモンスターを作れっての」


 現れたのは巨大な金棒を持ったモンスターだった。ベイトは剣を取り、モンスターに斬りかかった。


「おっ、活きのいい奴がいるじゃん」


 モンスターは金棒を振り回し、ベイトに命中させた。吹き飛ばされたベイトは壁にぶつかり、地面に落ちた。


「やべ、力出しすぎた」


 金棒を地面に置き、ベイトの様子を観察し始めた。そのすぐにベイトは立ち上がり、落ちてた剣を拾った。


「意外とタフだなお前。魔王三幹部の一人、バンカ様が相手になってやるよ、光栄に思いな!」


 バンカは持っていた金棒をベイトに向けて投げた。ベイトは横に飛んで攻撃をかわした後、バンカの横腹に向かって走り出した。


「すごい運動神経だな。だけど」


 向かってくるベイトに対し、バンカは軽く飛び上がって回し蹴りを放った。バンカのかかとがベイトの横腹に命中した。それを察したバンカは遠くの壁目がけ、ベイトを蹴り飛ばした。


「本日二度目のナイスシュート‼こりゃあ気分いいぜ‼」


 崩れた壁により、砂煙が舞った。その時、弓を持った兵士達がバンカに向けて矢を放った。しかし、矢はバンカには刺さらなかった。


「チッチッ、そんな貧相なもんが俺の体に刺さると思った?俺の体は頑丈だから、こんなもんじゃ意味ないのよね~。返すわ」


 バンカは落ちていた矢を兵士に向けて投げた。矢は兵士の頭を貫通し、そのままどこかへ行った。


「やめろ……お前の相手は私だ……」


 近くに来ていたベイトが声を出した。


「苦しそうな顔をするなよ。苦しんで死ぬぞ」


「死ぬのはお前だ……」


「へー、格下のくせに偉そうなことを言うねぇ……ちょーっと怒っちゃったじゃねーかコノヤロォォォォォォォォ‼」


 バンカはベイトに向けて右ストレートを放った。攻撃を受け、吹き飛んだベイトは何とか態勢を整えようとしたが、その前にバンカの追撃がベイトを襲っていた。バンカは左の裏拳でベイトを逆の方向へぶっ飛ばし、遠くの木にぶつけた。


「さーて、そろそろおしまいの時間だぜぃ‼」


 バンカは猛スピードでベイトへ近づいた。兵士達はベイトを助けようとし、バンカに攻撃をしたが、効果はなく、バンカも兵士達の方を向きはしなかった。


 木にぶつかり、その場で倒れているベイトは立ち上がり、攻撃を仕掛けようとした。だが、すでに目の前にバンカが来ていた。


「死んじまいな」


 ベイトは、自分はこれから死ぬのだと、悟った。


 その時だった。炎の矢がバンカに刺さった。


「アヅアァッ‼」


「全く……そんな傷で偉そうにするな」


 攻撃の主はヒナクだった。ヒナクは暴れるバンカを雷の魔法で遠くに飛ばした後、ベイトの傷の手当てを行った。


「すまない……お前が来てくれなければ私は死んでいた……」


「全くだ。後、もう無茶はするな。骨が何本か折れてるし、足と腕も骨が折れてる。このまま戦えばもう動かなくなるぞ」


「そうか」


「そうかってお前、重傷だぞこれ」


「今はな。とにかく、今動いていれば問題はない」


 ベイトは剣を持ち、バンカの動きを読み始めた。ヒナクは溜息を吐き、後ろに下がった。数秒後、上空からバンカが降りてきた。


「いや~本当にむかつくな。マジで。これ以上俺様をコケにすると全員粉々にしてぶっ殺すぞ」


「口だけか?」


「マジで殺す」


 バンカは持っていた小石を遠くにいる兵士に向けて投げた。猛スピードで投げられた小石は兵士の頭を貫き、後ろの壁に当たって砕け散った。


「貴様……」


「さーて、次こそお前を殺そうかな。苦しそうな顔を見せてくれよ」


 バンカは右手を大きく振りかぶった。だが、それと同時にバンカの右手は宙に舞った。


「グアアアアアアアアアアアアアアアアア‼」


「なっ!?」


「一体誰が……」


「皆、無事か!?」


 現れたのはナボットだった。


「ナボット‼お前、修行は?それと、ナギ様は!?」


「終わって帰ってきたところだ。ナギはあのでかいのと戦ってる。見てなかったのか?あいつの腕を斬ったの、ナギだよ」


 ナボットの言葉を聞き、ベイトは驚いた。


「ナギ様だと?まさか、あれだけ強くなるとは……」


 ベイトはナギの姿を見ようと、周囲を見渡した。だが、ナギの姿は見えなかった。


「出てこい‼俺様の腕を斬った奴‼」


「お前の後ろにいるよ」


 バンカは後ろを振り向き、ナギの姿を確認した。こんなガキに斬られたのか?そう思っている中、ナギの姿がまた消えた。


「どこ行きやがった‼」


 バンカは周囲を回りながらナギの姿を探した。しばらくし、ナギの声が聞こえた。


「どこを見ている?後ろだ」


「また後ろ……」


 この直後、バンカは背中に違和感を感じた。後ろを見ると、ナギが剣を構え、自分を刺していたのだ。


「あ……ああっ……」


 ナギは剣を引き抜き、バンカを蹴り倒した。その後、ベイトとヒナクの元に向かった。


「ナギ様……」


「立派になりましたね」


「これも師匠のおかげだ」


「そうか、それでイスタリ殿は?」


 ヒナクがこう聞くと、ナギはうつむいた。何かあったと察したヒナクはこれ以上言わないことにした。


「大丈夫かベイト?」


「すまない……ナボット」


「急いで治療できる所に行くぞ。どこにあるんだ?」


 ナボットはベイトを担ぎ、城の中に行こうとした。だが、突如物凄い魔力を察した。


「戦いはまだ終わっちゃいねぇ、全員ぶっ殺してやるあぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 死んだと思ったバンカが、立ち上がって大声で叫んだ。そして、ナギに向かって突進を仕掛けた。


「なっ!?」


「ナボット、後の事は頼んだ。お前がナギ様達を守るんだ!」


「え……おいまさか、やめろ‼」


 ベイトはナボットの手を払い、ナギの前に立った。


「ベイト‼」


「ナギ様、成長したあなたを見れてよかったです」


 その後、バンカの両手がベイトの胸を貫いた。そして、バンカは扉をこじ開けるように、ベイトの体を二つに分けた。


「ベイトォォォォォォォォォ‼」


 ナボットが叫びと共に、バンカに殴りかかった。何発か殴り、上空へ投げ飛ばした後、ナギの光魔法がバンカを包み込み、消し去った。




 数日後、戦いの後始末が終わった後、この戦いで死んだ者が埋葬された。ナギは死んだ兵士の墓を回り、最後にベイトの墓の前に立った。


「……今まで本当にありがとう。最後の最後で守ってくれてありがとう……ずっと守ってくれて……ありがとう」


 ナギはその場でしゃがみ込み、大声で泣き始めた。しばらくし、ナボットが花を持って現れ、墓の前に置いた。


「ベイト、あの時俺に言った言葉、やっとわかったよ。お前は死を覚悟して、ナギを守ったんだな。俺の事を信頼して……ベイト、後は任せろ。俺に任せろ。だからさ……安心しろ」


 ナボットはこう言うと、去って行った。墓場から出る前に、ナボットは近くの木の裏にいるヒナクに声をかけた。


「ヒナクも何か言うことがあるんじゃねーの?今しか時間がないぞ」


「私はいい……何もかも、全部終わってから言うさ。あいつには、言いたいことがたくさんあるからな」


「……そうか。じゃあ俺は先に戻る」


「分かった」


 会話を終え、ナボットは城へ戻って行った。涙を流しながら、ヒナクは小さく呟いた。


「何で早く死ぬんだよ……あのバカ」




 ナギ達が城へ戻ると、入り口近くでセイルが待っていた。


「ナギ、話があるの」


「話?」


「魔王の居場所を突き止めたわ」


 この一言を聞き、ナギの目の色が変わった。


「どこだ、ハヤテはどこにいるんだ!?」


「南にあるドヴォン山よ。今新しい水晶で占ったら、ドヴォン山にしか咲かないシラツユの花が映ったから、特定できたわ」


「ドヴォン山か……よし、皆行こう」


 ナギはヒナク達の方を見て、こう言った。その時、セイルがナギ達を止めた。


「ナギ、少し待ちなさい。今馬車の準備をしているから」


「馬車か……馬車を使えば、どの位でドヴォン山に着くんだ?」


「半日はかかるわ。今日は休んで、明日にしなさい。きっと、激しい戦いになるわ」


「だけど」


「ナギ様、私はセイル王女の案に賛成です。これから最後の決戦に向けての準備、休息に入りましょう」


 ヒナクの言葉を聞き、ナギはすぐに行きたいと言おうとしたが、ナボットがそれを止めた。


「焦るなよナギ、すぐに行きたい気持ちは俺も同じだ」


 ナボットがナギの肩を叩き、喋り始めた。


「だけど、焦ったところで何になる?そんな調子じゃあ魔王を倒せねーぞ」


「ナギ様、落ち着いてください」


 ナボットとミーナの言葉を聞き、ナギは肩を下ろした。


「部屋へ行ってくる。寝る」


「分かりました。ゆっくり休んでください」


 ヒナクはミーナに近付き、一緒に来るように促した。ナボットはその後を追い、歩き始めた。


 ナギは自室で目を閉じ、座っていた。焦る気持ちを落ち着かせるためだ。


 これまで、ナギは大切なものを失った。城の兵士達、師匠であるイスタリ、長年守ってくれたベイト。死んだ者はどうあがいても戻ってこない。ナギは魔王を憎んでいた。しかし、イスタリからは憎しみで剣を振るな、感情で剣を振る物ではないと教えられた。冷静にならなければ。ナギは深く深呼吸をし、気を休ませた。




 その日の夜。ナギはコロンボ王に呼ばれ、王の間に来ていた。


「どうしたのだ?私は明日の準備があるのだが」


「ナギ、お前に渡したいものがある。少し待ってくれ」


 そう言って、コロンボ王は王座の後ろへ回った。王座の後ろにあるスイッチを押した。すると、壁に掛けられていた絵が回りだした。そして、その後ろには通路があった。


「何だこれは!」


「昔から伝わる秘密の部屋の入口だ。付いて来なさい」


 コロンボ王が絵の後ろの通路へ歩いて行った。ナギは少し動揺したが、コロンボ王の後について行った。しばらく歩くと、扉が現れた。


「光魔法で、この施錠を開けなさい」


「私、光魔法で鍵なんて作れないぞ」


「光魔法を当てるだけでいい」


「はぁ……」


 ナギは言われた通り、施錠に光魔法を当てた。すると、施錠は光を発し、塵となった。


「中へ入ろう」


 ナギはコロンボ王の後を追い、部屋に入った。部屋の中央には一本の剣が置かれていた。


「これは?」


「先祖、ジャバ様が死ぬ前に残した光の剣だ。遠い未来にビヨンが復活した時、この剣でビヨンと戦えと言い残したのだ」


「……父が言いたいことは分かった」


 ナギは剣を取り、軽く振り回した。


「この剣でビヨンを倒せと」


「そうだ。本来なら私がやらなければならないが……お前のように光魔法を扱うことは出来ん。ナギ」


 コロンボ王はナギの方を振り向き、こう言った。


「ハヤテを連れ戻しに行ってこい。今のお前の力ならやれる」


「父……」


 ナギは剣を鞘に納め、コロンボ王にこう言った。


「分かった。必ず戻ってくる」




 翌日、準備と終えたナギ達は馬車に乗り込んだ。


「では魔王討伐に行ってくる」


「ナギ、生きて帰ってきてね」


 ナギ達はコロンボ王とセイルに見送られ、旅立って行った。


 馬車内にて、ナギはいつモンスターが襲ってきてもいいように、常に剣を持っていた。ナボットは窓の外を眺めていて、ヒナクは分厚い魔法の本を読んでいた。そんな中、ミーナは緊張のあまり、体が震えていた。


「ミーナ、怖いなら帰ってもいいんだぞ。今ならまだ間に合う」


「いいえ、ナギ様が命を懸けて戦いに行くんです。私だけ残るなんて嫌です」


「……そうか。分かった」


「大丈夫ですナギ様。ミーナには常に私が付くようにしますので」


 ヒナクのこの一言を聞き、ミーナはほっとした。


 走り始めて数時間後、外の景色を眺めていたナボットが声を出した。


「皆、気を付けろよ」


「モンスターの気配か」


 ナギは剣を持ち、外を見た。モンスターの姿は見えなかったが、外からはモンスターの気配が広がっていた。


「どうやら、魔王もこっちの動きを察したようだな」


「よし、外に出よう」


 ナギが扉を開けようとしたが、ナボットがナギを止めた。


「ここは俺に任せろ」


 ナボットは外へ出て、馬車の上へ上がった。


「さて……どこから来るのやら……」


 周囲を見回すが、モンスターが来る気配はなかった。何故来ないんだ?ナボットはそう多いながら前方を見た。前には大きな橋があった。長さは200メートル程で、木と縄で頑丈に作られていた。馬車が橋を渡り始めた時、後ろからモンスターが現れた。その手には、火がつけられた状態の松明が握られていた。


「まずい‼もっとスピードを上げろ‼あいつら、この橋を燃やす気だ‼」


「え!?あ、はいぃぃぃぃぃ‼」


 ナボットは馬を操る兵士に急がせた後、大きく爪を振って風を起こし、後ろのモンスターを攻撃した。風は刃のような形となり、モンスターの体を切り裂いた。しかし、生き残ったモンスターが怒り出し、松明を投げつけてきた。


「クソがッ‼」


 ナボットは風を起こして松明の灯を消していった。だが、橋の先に新手のモンスターが待ち構えていた。


「予想はしてたけど……」


「ナボット、前は任せろ」


 ヒナクが外に出て、大きな氷の塊を新手のモンスターに向けて発射した。モンスターは氷の塊を拳で粉砕し、勝ち誇ったような顔をした。


「あらら、これで勝ったつもりでいるよ」


「何だ、まだ手はあるのか?」


「まだ攻撃は終わってない」


 ヒナクは指揮者のように両手を動かした。それに合わせ、氷の破片が宙へ舞い、モンスターの目を突き刺した。目をやられたモンスターは目を押え、周囲を歩き回った。そして、足を踏み外し、下へ落ちて行った。


「この高さじゃあ助からないな」


 落下していくモンスターを見て、ヒナクは呟いた。その後、何とか橋を渡り終えたが、目の前から大量のモンスターが襲ってきた。


「敵さんのお出ましか‼」


「本拠地が近いかもしれんな」


「そうだな、そんじゃこっちも全力で行くぞ‼」


 ヒナクとナボットは戦闘の構えを取り、迫りくるモンスターとの戦いを始めた。


 戦いをヒナクとナボットに任せ、ナギは前を見ていた。横にいるミーナは慌てながら周囲を見回していた。


「落ち着けミーナ」


 慌てるミーナを見て、ナギは静かに言った。


「でもでもでも、周りはもうモンスターがあわわわわわ……」


「二人に任せるんだ。いざといいう時は、私が行く」


「ナギ様が!?そんな危険な事……」


「雑魚と戦うよりも、魔王と戦うことの方がよっぽど危険だ。二人を信じろ」


 ナギは腕組をし、静かに答えた。数分後、ヒナクとナボットが馬車の中に戻った。


「ただいま戻りました」


「ふぅ……流石に疲れたぜ」


「すまない。二人に任せてしまって」


 ナボットはそのまま横になり、ヒナクは近くの椅子に座り、疲れを癒した。二人が無事に戻ってきて、ミーナはほっと胸をなでおろした。


 ドヴォン山の山頂にて。ビヨンは水晶を使って周囲の様子を見ていた。


「……何のようだ?」


 ビヨンは後ろを振り向くと、そこには赤と黒のローブを纏った男が立っていた。


「ビヨン様、虫けら共がやってきました」


「……あの時の娘か」


 ビヨンはナギと会った時の事を思い出していた。


「あいつは、この体の事をハヤテと言っていたな」


「何か気になるんですか?」


「いや、ただこの体の名前の事が気になっただけだ。リック、話はそれだけか?」


「……バンカが殺されました。あの娘の一行がやりました」


「なるほど、腕を上げたようだな」


 そう言うと、ビヨンは小さく笑い始めた。


「面白くなってきたじゃないか。雑兵共に伝えろ、お前らは手を出すなと」


 この言葉を聞いたリックは、少し間をあけて叫んだ。


「なんてことを‼あんな雑魚、兵達に任せれば……」


「少し楽しみたいだけだ。リック、仕事も大事だが、娯楽も必要だ」


「私も賛成です」


 ビヨンの横に、黒い渦が現れ、中から男が現れた。


「ボウチ……」


「リック、お前は真面目すぎる。遊ぶことも大切だ」


「さて、準備をしておけよ。しばらくしたら敵が来るだろう」


 ビヨンは近くの岩に座り、ナギ達が来るのを待った。

 いよいよラストバトルに突入しました‼この話もクライマックスが近いです。最後の最後まで、ナギ達の活躍を見てください。

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