第4話:悪夢の再会
「……様、起きてくださいナギ様」
ハヤテの声を聞き、驚いたナギは飛び起きた。周囲を見回すと、そこは城の中にある自分の部屋だった。そしてベッドの近くには、ハヤテが立っていた。
「ハヤテ!?お前攫われたんじゃなかったのか!?」
「何を言ってるんですか?」
「私達はモンスターに攫われたお前を助けに旅に……」
「ははは。僕がモンスターに攫われるわけありませんよ。さ、起き上がってください」
ナギは更衣室でパジャマから普段着に着替えた後、ハヤテの所に向かった。
「さ、行きましょう」
「城での朝飯か……なんか懐かしい気がするな」
「何を言ってるんですか?朝食までは時間がありますよ」
「え?じゃあこれからどこ行くんだ?」
「処刑場です。今からあなたを殺します」
ハヤテは冷たい目でナギを見つめ、いつもの口調でこう言った。そして、ハヤテが扉を開けた先には、血まみれになった兵士達の死体と、その死体を頬張っている汚いモンスター達の姿がった。悪夢のような光景を見て、ナギは吐きそうになった。
「では死んでください。ナギ様」
後ろにいたハヤテが、ナギに向かって剣を振り下ろした。
「わああああああああああああああああああああああああ‼」
大きな声をあげ、ナギは起き上がった。周囲を見回し、ここがダニーロの町の宿屋ということを理解した。
「……夢か……」
「どうかしましたか?大きな声なんて出して」
欠伸をしながらヒナクがこう言った。ナギは冷や汗を手で拭いながら答えた。
「ハヤテに殺されかける夢を見た」
「それは恐ろしい」
「本当に怖かったんだぞ。それに……やけに夢の映像が鮮明だったな」
「そんな夢忘れてください。あなたはお疲れでしょうから、ゆっくり寝て体を休ませてください」
ヒナクはこう言って、ベッドに入った。ナギも寝て忘れようと思ったのだが、さっきの悪夢の映像が脳内で再生され、なかなか寝付けることができなかった。
翌日、ナギ達はダニーロの町から旅立って行った。道中、ナギは何度も倒れそうになった。それを見たナボットはナギを背負い、歩き始めた。
「大丈夫か?まだ昨日の疲れが残ってるんじゃねーのか?」
「寝ちゃダメだ……寝たらまたあの夢が……」
「まだあの悪夢の事を考えてるんですか?そんなこと考えてたら夢に出るんですよ。ハヤテとイチャイチャすることを考えれば、自然とそれが夢になります」
ヒナクがナギにこう言った。夢の事が気になったミーナは、ヒナクに話しかけた。
「夢って何の話ですか?」
「ナギ様、ハヤテに殺されそうになる夢を見たんだって」
「なんですかその夢?」
「何という悪夢……」
話を聞いていたベイトはナギに近付き、こう言った。
「ナギ様、ハヤテがあなたを殺そうなんてことは絶対にありません。安心してください」
「ああ……」
「その通りだぜナギ。とにかく寝ろ」
ベイト達に励まされ、ナギは目をつぶり寝始めた。
「寝たようだな」
「ナボット、ナギ様を頼むぞ。決して落とすな」
「分かってるって」
会話を終え、ベイト達は次の町目指して歩き始めた。
コロンボ王は溜息を吐いていた。ナギ達が旅立って数日が経過したが、ベイトからの伝書鳩にも、捜索隊からもいい連絡はなかった。
「はぁ……どうしたもんだか」
手紙をしまい、コロンボは立ち上がった。
「王、どちらへ?」
「庭の散歩だ」
コロンボは庭へ出て、ゆっくりと気を休めていた。こういう時、ずっと座っているよりも動いていた方がいい。コロンボはそう思っていた。そんな中、一人の少女がコロンボのもとに歩いてきた。
「お久しぶりです。コロンボ王、遊びに参りました」
「ん?おお、セイル王女。久しぶりだな」
コロンボはセイル王女に近付き、握手を交わした。
セイルはキノハラ王国の同盟国、キガヤ王国の王女である。キガヤ王国は独自の文化を持っており、キノハラ王国とは違う衣服や武器、家具、食事文化も変わっている。だが、キガヤ王も含め、キガヤ王国の住人は皆気のいい性格である。
セイルはコロンボの横に立ち、こう言った。
「先日のモンスター襲撃、大変でしたね」
「そこまで情報が回っているのか」
「はい。私の占いで」
「占いか。あなたの占いは本当に素晴らしい」
コロンボの話が終わった後、セイルは周囲を見回しこう言った。
「ナギはどこへ?真面目な兵士さんや優秀な魔術師さんとその弟子の子も見当たりませんけど」
「旅に出たよ。ハヤテがモンスターに攫われたんだ」
「ええ!?何でそれを早く言わなかったんですか?私の占いで探し出すことができたのに‼」
この言葉を聞き、コロンボは声を上げた。
「そうか、その手があったか!なんですぐ気が付かなかったんだ……」
「とにかく、私は占いの準備をします。少々お待ちください」
「私も準備を手伝おう!」
その後、二人は急いで王の間へ向かった。セイルは持ってきたガラスの玉をテーブルの上に置き、少し離れた位置に手をかざし、魔力を送り始めた。しばらくし、ガラス玉が黒く曇りだした。
「おお!何かが映った!」
コロンボはガラスの玉を見つめ、歓喜の声を上げた。それから数分後、黒い雲が徐々に晴れてきた。映ったのは黒いマントを羽織った人物の後姿。周囲には何もなかった。
「ここはどこだ?」
「分かりません。位置情報も写るはずですが、それも出ません」
セイルはさらに強く魔力を送り始めた。その時、マントの男が振り向いた。マントの男は仮面を付けていたため、顔は分からなかった。
『誰だ……私の事を探ろうとする愚か者は‼』
マントの男が叫び声をあげた。この瞬間、ガラスの玉は木端微塵に弾け飛んだ。
「うわっ!」
「破片が飛んでくるぞ、気を付けろ!」
「テーブルに近付くな、怪我するぞ!」
「箒を持ってこい!」
兵士達が慌てながら掃除用具を用意する中、セイルは汗を流し、その場に座り込んだ。
「王女!」
「薬草です、これで体力を回復してください!」
キガヤ王国の兵士がセイルを抱き上げ、近くのソファーの上で横にさせた。
「コロンボ王、一体何が起こるんですか?」
近くにいた兵士が聞いてきた。それに対し、コロンボは首を横に振り答えた。
「わしにもわからん」
ベイトは旅の宿に置いてある新聞を読んでいた。世の中の事が書いてある新聞なら、もしかしたらハヤテの情報が書いてあるのではないかと考えているからだ。周囲にいる傭兵たちのばか騒ぎを聞き流しながら、新聞を読み始めた。しかし、新聞でもハヤテに関する情報は載ってなかった。
「はぁ……情報なしか」
ベイトは溜息を吐いた後、部屋に戻ろうとした。その時、傭兵らしき男に話しかけられた。
「おい兄ちゃん、あんたなんか強そうだな」
「何か用で?」
「もしかしたら兄ちゃんもテンシェ町の騒動に参加するつもりか?」
「騒動?何かあったのですか?」
「知らねーのか。この辺じゃ有名だぜ。テンシェ町に住み着いためっちゃ強いモンスターが毎日町を襲ってやりたい放題。毎日死人が出るわ、畑は荒らされて食べ物はないわで大変なんだぜ」
「それで傭兵を雇ってモンスターを退治ですか」
「そう‼倒したら大金貰えるから皆やる気になってるんだよ。ほら、周りにいる奴ら見てみろよ、皆張り切ってるぜ!」
ベイトは察した。やたらと武器を持った傭兵が多い宿だと思ったら、こんな理由があったのだ。
「じゃ、俺はもう行くから、もしかしたら会えるかもしれねーな!」
その傭兵は酒が入ったジョッギを持ち、去って行った。
部屋に戻り、ベイトはこの事をナギ達に話した。
「モンスターが大暴れか……ハヤテの件とは関係なさそうだな」
「私もそう思う。だが、この騒動を解決しなければ町の人から話を聞くことができない」
「じゃあ私達もそのモンスター退治に参加するか?」
ナギがベッドから降り、こう言った。話を聞いたミーナは驚いた声を上げた。
「えええええええええええええ!?私達で凶暴なモンスターを倒せるんですか!?」
「大丈夫だ!いざとなれば私の魔法で倒す!」
「それだけやおやめください。今度ばかりは死ぬかもしれませんよ」
ベイトがナギにこう言った。ベイトはソファーに座り、再び話し出した。
「とにかく、テンシェ町には行きましょう」
「やっぱり行くんですね……」
ミーナは肩を落としてこう言った。それを見て、ベイトは微笑んだ。
「今回の戦いは俺だけで行く。お前達の護衛はナボットとヒナクに任せる」
「ほー、久しぶりに本気出すのか?」
ヒナクが本を読みながら質問をした。ベイトは「ああ」と短い返事を返し、ソファーから立ち上がった。
「では、先にシャワーを浴びます。そのあとすぐに寝ますので」
「何だ、もう寝るのか」
「はい。明日は激しく体を使うと予想されますので」
そう言うと、ベイトはシャワールームへ向かって行った。
翌日。宿から出発したナギ達はテンシェ町へ向かった。移動中、ナボットは周りに傭兵らしき男達が集まっているのを察し、ヒナクに聞いた。
「なぁ、何で傭兵がたくさんいるんだ?」
「お前には伝えてなかったな。次の目的地、テンシェ町には凶暴なモンスターが住み着いて大変なんだ。それでモンスターに賞金を懸けて傭兵に倒してもらおうと町が考えたんだ」
「じゃあ周りの奴は金の為に」
「傭兵とはそういうもんだ」
説明を聞き、ナボットは納得した。
歩き始めて数時間後、ナギ達はボロボロになった看板の前に着いた。
「なぁ、ここがテンシェ町か?」
「そのようですね……ボロボロですけど、うっすらとテンシェって書いてます」
「モンスターが壊したんだろ。じゃあ俺は身を隠すような場所で……」
「ナボット、今回はナギ様達と一緒に外で隠れてろ」
ベイトがこう言うと、ナボットは目を大きくして驚いた。
「はぁ?どうして?」
「今回のモンスター退治は私だけで行う。大丈夫だ、モンスターとの戦いには慣れている」
ベイトの余裕の表情を見て、ナボットは「分かった」と、返事した。
ナギ達と別れ、ベイトは町長の元へ向かった。町長の屋敷らしき建物の前に着いたが、そこにはもう大勢の傭兵達が立っていた。こりゃ多いなと心の中で呟きながら、ベイトは傭兵の中に紛れ、町長が来るのを待った。
数分後、傭兵達の前に町長が姿を現した。
「傭兵の皆様、こんなにお集まりいただきありがとうございます!私はこの町の町長、ブフと申します!」
町長、ブフの挨拶を聞き、傭兵達は大声を上げた。その後、ブフは挨拶を続けた。
「皆様、どうかこの町を救ってください!町人は皆、苦しい思いをしています。昨日も三人の命が奪われました……」
「俺に任せろ!」
「そんなモンスターぶっ殺してやる!」
「俺の大剣で刻んでやるよ!」
「ヒャッハー!血祭の始まりだー!」
一部の荒っぽい傭兵が武器を上にあげて大声で叫んだ。
「勇ましい声ありがとうございます。モンスターは今晩来ると思います。それまで、長旅の疲れを癒すため、お休みください」
ブフは挨拶を終えた後、傭兵達を簡易的に作られたキッチンへ向かった。ベイトは軽く食事をとった後、ブフの元へ向かった。
「どうも、町長」
「おお、君みたいな若者も参加するのか」
「はい。町長、この町で高い建物はどこでしょうか?」
「高い建物?そうだな……見張り台が一番高いかな。入口近くにあるぞ」
「分かりました。ありがとうございます」
ベイトは見張り台へ向かった。頂上に着き、ベイトはすぐに周囲を見回した。ここなら、どこからモンスターが来るかハッキリと分かる。そう思うと、ベイトはその場に座り、体を休めた。
それから時が経ち、辺りは暗くなった。仮眠しているベイトの耳に、かすかながら何かが倒れる音が聞こえた。
来たか。
ベイトは剣を持ち、周囲を見回した。ベイトの目に、こっちへ向かってくる大きな黒い影が映った。
「あれがモンスターか!」
見張り台から近くの屋根に降り、続いて近くの屋根に降りつつ、地面に降りた後、ベイトはモンスターの方へ走って行った。しばらく走っていると、後ろから無数の傭兵が走ってきた。
「おい若造!一番乗りはこの俺様だぜ!」
「いや違う、俺様だ!」
「騒いでろノロマ共!モンスターを殺すのはこのスグチール様だ!」
スグチールは持っていた大斧を構え、モンスターに向かって走って行った。
「チッ、先越されたか」
「あとに続け野郎ども!」
「何で見ず知らずの野郎に命令されなきゃいけねーんだよ馬鹿たれ!」
「ハッハー!とりあえず何でもいいからモンスターを切り刻みてーぜ!」
傭兵達の大声を聞き流しながら、ベイトは剣を構えて走っていた。すると、先に向かったスグチールの悲鳴が聞こえた。
「あれはさっきの……」
その直後、横にいた傭兵が声を上げた。
「うわ!これ人の手じゃねーか!」
彼が手にしているのは切断された人の手。ベイトは察した、これはスグチールの手だと。その後、空から次々とスグチールの体の一部が落ちてきた。そして、巨大なモンスターが傭兵達の目の前に落ちてきた。
「……嘘だろ」
傭兵の一人が小さく呟いた。モンスターには巨大な牙と爪、頭には鋭く伸びた角。さらに筋肉がかなり発達していた。
「こんなの相手にしろってか……」
「勝てるわけねーよ……」
「俺帰る」
一部の傭兵が後ろを振り向き、逃げようとした。だが、モンスターは彼らに向かって爪を振り下ろした。
「うわあああああああああああああああああ!」
鋭い爪は傭兵達には当たらなかったが、地面に激突した際に激しい衝撃波を生み出した。その衝撃波によって、傭兵達は宙に浮かんだ。
「た……助けてくれェェェェェェェ‼」
モンスターは宙に浮かんだ傭兵達を片手で掴み、そのまま口へ運んだ。口の中に入った傭兵達をぐちゃぐちゃと音を立てながら噛み始め、そのまま飲み込んだ。
「あいつ……人を……食いやがった……」
「……ハッ‼殺しがいがあるもんだぜ‼」
剣を構えた一部の傭兵がモンスターに向かって走って行った。彼らはモンスターの攻撃をかわしつつ、モンスターの腕や足に剣を刺していった。だが、彼らの攻撃は通用しなかった。モンスターは攻撃を仕掛けた傭兵を両手で叩いて潰したり、爪で真っ二つにしていった。
「うわああああああああああ‼助けてくれ、助けてくれェェェェェェ‼」
モンスターに捕まった傭兵の一人が泣き叫んだ。だが、誰も助けに来る気配はない。ほとんど殺されたり、逃げ去ってしまったのだ。
「うわああああああああああああああああああああああああああああ‼」
もうダメだ。彼はそう思った。だが、急にモンスターの手が開いた。
「は……はへ?」
気が付いた時はもう落下していた。だが、モンスターの手がクッションとなり、助かった。
「次は私の番だ。他の傭兵達と一緒にするなよ?化け物」
手を切断されたモンスターは悲鳴を上げながら、腕を振り回した。飛んでくる血を避けながら、ベイトは移動していた。
ベイトはモンスターの足元に接近し、剣に力を込めた。その直後、ベイトが持つ剣の刃の周りに、白いオーラのようなものが発生し、物凄い勢いで伸びて行った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」
雄たけびと共に、ベイトは剣を振るった。白いオーラはモンスターの両足を切断し、消えた。足を切断され、モンスターの上半身はぐらりと動きを見せ、地面に落下した。足を斬られた痛みで悲鳴を上げながら、モンスターは何とか立ち上がろうとあがいていた。だが、ベイトが目の前までに来ていた。
「一瞬で楽にしてやる」
ベイトはこう言うと、剣をモンスターの首元に突き刺した。
戦いが終わった後、ベイトは生き残った傭兵達と共にブフの屋敷にいた。傭兵達は泣きわめいたり、安堵してその場で横になっていた。ベイトはブフにモンスター討伐の事を伝えた後、外で待機しているナギ達の元へ向かった。
「ベイト、モンスターを倒したのか?」
外で待機していたナボットはベイトの姿を見て、駆け寄ってきた。ナボットの後ろから、ナギが顔を出しこう聞いた。
「すぐに終わったな。簡単だったのか?」
「久しぶりに魔力を使いました。しかし、何人か傭兵が死んでしまいましたが……」
「そうか……大変だったな」
「でも、ベイトさんが無事でよかったです~」
「心配してくれてありがとうな、ミーナ」
微笑んでいたベイトだったが、何かの気配を察し、表情が険しくなった。ヒナクとナボットも何かを察し、構えを取った。
「あらあら。せっかく作った巨大型モンスター第一号がやられちゃいました~」
「全く、だからもう少し攻撃に耐えれるように設計しろと告げ口したんだ」
「すみませんねぇ魔王様」
ナギの顔は青く染まった。今、目の前にダニーロの町の洞窟であった魔王が近くに現れたのだ。あの時、姿を見ていなかったベイトとヒナクも何らかの気配を察し、冷や汗をあいていた。
「ん?あら誰ですかあなた?」
「無視しておけ、もし気になるのならこの場で殺すのだが」
「魔王様直々に?その役目なら私がやりますが……」
「少しは運動しないといけないからな」
魔王は腰に携えた剣を持ち、ナギ達を見回した。
「最初に殺すのは……お前だ」
剣を構え、魔王はナギに向かって走って行った。動きが取れないナギを守るため、ベイトが前に立った。
「ナギ様に傷一つ付けさせない!」
「邪魔だ死ね」
魔王はベイトを蹴り飛ばし、ナギを斬ろうとしたが、ナボットが魔王の顔面を殴った。
「うちの姫に何しやがる仮面野郎!」
ナボットが殴った際、魔王がつけていた仮面が宙に舞った。
「魔王様‼狼野郎、ぶっ殺してやる‼」
魔王の連れが怒りだし、ナボットに向けて魔法の塊を放とうとしたが、ヒナクが魔法で氷柱を作り出し、地面に落とした。
「クッ‼」
「ナボット!今だ逃げろ‼」
「ヒナク、ごめんな‼」
ナボットは下がり、相手の動きを観察し始めた。
「なかなかやるな……」
魔王は殴られた頬を手で触りながら、立ち上がった。その時、仮面で隠れていた素顔が月の光で照らされた。その顔を見て、ナギとベイトとミーナ、ヒナクは驚きのあまり、動きが固まってしまった。
「嘘だ……何でだ……何でお前がこんなことをするんだ?どうしてだ?答えろ‼答えてくれ……何か言ってくれ、ハヤテ‼」
ナギは何も答えぬハヤテに対し、何度も叫んだ。だが、ハヤテは叫びを無視し、マントを翻しこう言った。
「戻るぞボウチ。戻ってすぐにもう一度モンスターを作り直しだ」
「はい。分かりました魔王様」
ハヤテが右手を前にかざすと、それに合わすかのように地面から門が現れた。この場から去ろうとするハヤテを見て、ナギはもう一度叫んだ。
「待て‼待ってくれ、ハヤテ‼何で私達を襲った!?何で変な奴と一緒にモンスターなんか作ってるんだ!?お前は一体何がしたいんだ!?答えろ、答えてくれ‼」
後ろから聞こえるナギの声を聞き、振り返ってこう答えた。
「俺はハヤテではない。魔王ビヨンだ」
その後、ハヤテは門から去って行った。
この話も折り返し地点に来ました。このまま最後まで走り切りたいと思っています。では、今回はベイトとヒナクのキャラ説明をします。
ベイト・カーターソン
25歳 男
キノハラ王国の兵士、剣の腕は王国の兵士の中でもトップクラス。少しながら魔法も使える。
ナギを守ることを重点に考えており、ナギに何かあったときは自分が犠牲になろうと考えている。
名前の由来は全く考えていません。ただ、語感でかっこいい感じを作りたかっただけです。
ヒナク・サスースト
26歳 女
キノハラ王国に仕える魔法使い。ミーナの師匠。
まだ幼いナギやミーナを支える。
名前の由来は某生徒会会長の名前をいじっただけです。裏設定としては、ベイトとヒナクは同時に城に入隊しました。つまり同期です。一緒に仕事や任務などをこなしたため、互いの事はかなり信頼しています。
以上です。次回はミーナとナボットの設定を説明します。では次回、またお会いしましょう。