僕と試練と想い出
やっと神様の試練に入ります。
いろいろ展開が進むと思います。
今までよりは長くなっていますが読みやすいと思います!
「それで、試練って何をすればいい?」
「そうだな…まずはお前らの想い出の物が必要だな」
「…は?想い出の物?」
「ああ。なんでもいいんだが、2人にとって想い出があるものだ」
「試練ってそれ?」
「ああ。」
想い出の物って…。
ざっくりしすぎてて分からない。
そもそも神様がいう試練って2人が協力しなくちゃできないんじゃなかったのか。
それを僕1人で? できるのか?
…いや、茜に逢うためだ。
まずは探さないと。
《想い出の物》か…。
僕と茜にとっての想い出の物……。
なんだろう…?
なにか、あっただろうか。
[ガサガサッ]
「ワウワウッ!!」
[ガサッ]
「ウゥー!」
「…犬?」
なんで何も無いところに吠えてるんだろう…
あそこには木とか草しかないのに。
何かあるのかな?
ちょっと見に行ってみるか。
「うーん…何もないな……」
本当に何に吠えてたんだろう。
ここには何もないし…。
「ん?」
地面が少し盛り上がってる?
「よいしょ、っと…」
土を払ってみた。
出てきたのは小さい箱。
そしてその中にはストラップやおもちゃ、キャラクターのシールなどが入っていた。
たぶん、タイムカプセルだろう。
ここで遊んでいる子供が思い出として埋めて置いといたんだろうな。
何年後かに開けてそのときの事を思い出しながら話したりするんだろう。
「…あ」
そうだ。僕も埋めたことがある。
それも茜と一緒に。
《タイムカプセル》これが《想い出の物》
なんじゃないか…?
どうして忘れていたんだろう。
20歳の時に開けようって言ってたんだ…。
埋めた時は、離れるだなんて思っていなかったけど。
《約束》として言っていたのに。
…僕は茜と交わした最後の約束しか覚えていなかった。
『絶対に戻ってくる。そしてあの場所で一緒に遊ぼう』
この約束以外にもまた会うための約束はしていたんだ。
忘れていた。
それにたぶん、忘れてしまったことはもっとたくさんあるんだろう。
見つけなきゃ。
タイムカプセルだけじゃない。
忘れてしまった想い出も。
「埋めた場所…確か、公園だったはず」
茜と僕が初めて会った場所。
そしていつも遊んでいたあの公園に埋めたはずだ。
だけど、その公園の場所がどこだったか、思い出せない。
その公園は昔住んでた家の近くだった。
それは覚えている。
でも、家の場所を覚えていない。
…もう戻ることはないと思っていた。
茜に必ず戻るとは言っていたけれど。
約束しておきながら本当はその約束を守ろうとはしていなかったのかもしれない。
だけど。今は違う。
思い出すんだ。どこだったか、どうしたかったのか。
とりあえず、進む方を決めないと。
「こっちかな…?」
足を一歩踏み出した時。
[ガタッ]
[ガラガラガラッ]
「…え?」
僕がたっていた道の、今まさに僕が進もうとしていた方の道においてあった工事用の物が落ちて道を塞いでいる。
この道は1本の道だ。
つまり今の状態では僕は塞がれていない方の道に進むしかない。
途中で分かれる道はだいぶ先にある。
しばらくは行く先に悩まないだろう。
もしかしたら思い出すかもしれないし。
「あ、この道…」
通ったことがある気がする。
なんとなく懐かしい感じ。
こっちの道で合ってたのかな…?
昔公園に行く時に通ってた道、なのかも
でも…思い出せてはいない。
「どうしよう…どっちに行けば…?」
道が分かれている。
ついに分岐路に来てしまった。
どちらの道に進もう…
どっちを見てもあまり変わらないように見える。全くもって分からない。
[ガサッ]
「にゃーお」
[ガサガサッ]
「ふみゃあー!」
「……」
猫が道を歩いて茂みの方へ向かった。
そしたら何かに引っかかってつまづき、それに襲いかかったらしい。
こっちの道に進んでみよう。
なんだか気になるし。
それにしてもさっきから僕が悩んでいる時に限って何か起こるな。
誰かが手助けしてくれてるみたいだ。
この道もしばらくは分岐がないようだ。
…? なんかあれ見覚えがあるな…
なんだろう。あの置き物。
「あ、思い出した…」
この道は通ったことがある。
ここには変な置き物が置いてあった。
誰かの家の前においてあるんだけど、なんの置き物かよく分からない。
そして、その事を茜に話したことがあった。
公園に向かう途中にあるんだと。
ということは。
この道は僕が公園に向かう道で、今通ってる道はその公園に続いている。
そして。このあとの道も思い出した。
あとはもう大丈夫だ。
「…着いた」
ここだ。ここが前に遊んでいた公園。
あまり変わっていない。
ここにタイムカプセルを埋めたんだ。
埋めた場所は…
「!?」
考えながらそちらを向くと神様がいた。
「やっと来たか、遅かったな」
「…え!?」
「何驚いてるんだよ」
「な、なんでここに?」
「もうすぐで1つ目の試練クリアみたいだからな」
「…そう」
「ま、感謝しろよ」
「…?何に?」
「さあな、自分で考えろ」
「………」
「ほら、早く探せよ」
何を言ってるのかよく分からない。
まぁ、いいか。
タイムカプセルを探さないと。
埋めた場所は、確か。
公園でいちばん大きい木の下。
[ザッザッザッ]
[ザクッ!]
「あった…これだ」
これが僕達が埋めたタイムカプセルだ。
開けてみよう。
「えっと……これは…」
出てきたのは、キーホルダー2つ。
それも色違いのお揃いのものだ。
これは覚えている。いや、忘れていたのだから思い出した、と言った方が正しいかもしれないけど。
あと、手紙。
これは知らない。
埋めた時はなかったはずだ。
茜のものみたいだけど。ちょっとだけ読んでも大丈夫かな…
『これは一緒に埋めた後、書いて入れたものだから開けた時、潤は知らないと思うけど。
直接言えないからここに書くね。
初めてあった時、声をかけてくれてありがとう。そしてそのあと一緒に話すようになって楽しかった。
私は、素直で優しい潤が好きです』
「…………」
「ハハッ、これはなかなかだな」
「見るなよ…」
「悪い悪い」
まさか、こんなことが書いてあるなんて。
僕は全然知らなかった。
手紙のこともそうだけど。
茜がこんなことを思ってたことも。
「とりあえず、この試練は合格だ」
「そのタイムカプセルの中身はちゃんと持ってろよ。必要だからな」
「うん」
終わったのかな。とりあえず、この試練は。
でもこれ…試練って言うほどじゃない気がするんだけど…。
僕はこの試練で思い出すことも知ることも多かったけど。
これが目的、とか?
分からないな…。
……次の試練はなんだろう。
読んでくださってありがとうございます。
久しぶりですが、これからも書いていきます。
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