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六百二十一話 有頂天

まだまだ下ネタが続きます。苦手な方、申し訳ありません。

 ケモミミ達の饗宴に到着し、お金の力を信じて五人のケモミミ美女を最高ランクのコースでおもてなしすることにした。これで初日の夜を寂しく一人寝で過ごすことはないと信じて。




 受付のネコミミお姉さんと、ダンスホールでリクエストしたケモミミ美女達がゾロゾロと入ってきて俺の前に並ぶ。


 なんというか、気持ちが落ち着かない。


 これから始まるであろうケモミミ美女達との素晴らしい饗宴に対する期待と、お金の力で美女にあんなことやこんなことやそんなことまでしようとする背徳感と罪悪感。


 罪悪感でさえ欲望を満たすためのスパイスに思える時点で、俺は相当救われない。でも、ワクワクが止まらない。


「ご挨拶するのにゃ」


 受付のネコミミお姉さんが並んだ五人に指示を出す。


「アーニャにゃ。よろしくお願いしますにゃ」


 名前にニャが入っているのは偶然なのだろうか?


 こういうお店で働く場合、源氏名を名乗ることが多いはず。つまりニャが付く名前を選んで源氏名にしたのなら、なにかしらの意図を含んでいて……まあ可愛いからどうでもいいか。


 ミミとシッポが表すようにネコ科を思わせる細身だが躍動感を感じさせるスタイル。


 それでいて母性の象徴は豊というミスマッチ。そのミスマッチが逆に魅力を増している。


 ネコ科のスタイルと考えるなら、受付のネコミミお姉さんの方がバランスはとれている……なんか見比べた瞬間ニラまれたから、比べるのは止めておこう。


「ソフィアです。よろしくお願いしますコン」


 ……キツネミミの色っぽい金髪美女が、なんだか無理のある挨拶をした気がする。


 これは……どうなんだ? 興奮するかしないかで言えば無論興奮するのだが、語尾にコンは無理がないか?


 そもそも、キツネはコンと鳴かないとどこかで聞いた覚えもある。


 ネコミミに『にゃ』はベストマッチだが『コン』は……うーん、獣人の語尾に特徴がでるのはやはりキャラ付けの可能性が高いか?


「エメだクマ。よろしくだクマ」


 はい確定。熊はクマって鳴かないし、そもそも語尾にクマって意味が分からない。でも可愛いからセーフ。


 クマの獣人だからか少し体格が良く背も高いが、スタイルは女性らしくメリハリがあり、母性の象徴も体の大きさに負けないほど豊かだ。


 ホノボノとした雰囲気で、野生の獣としてのクマと言うよりも、童話にでてくるような優しいクマさん的なタイプっぽいから、クマという語尾が良く似合う。あと、クマミミをピコピコさせるのがとても可愛い。


「ピピです。よろしくだモー」


 うん。ウシミミお姉さんのモーは自然に感じる。不自然なのは母性の象徴だけだね。


 不自然といっても大きすぎて逆に怖いという感じではなく、自然と不自然の境目、そこから一歩不自然側に足を踏み入れた、そんな感じのサイズ。凄く包まれたい。


 あと、この子も少し体格が良くてのんびりとした雰囲気を感じる。


 もしかしたら体格がいい動物の獣人はのんびりとした雰囲気を纏う子が多いのかもしれない。


「マロンだポン。よろしくだポン」


 タヌキミミのお姉さんの語尾はポンか。


 ウサミミやトラミミといったメジャーなケモミミを押しのけて目立っていたグラマラス美女だから、なんというかポンという語尾が致命的に似合わない。


 色気むんむんな大人の女性が、幼稚園児のふりをしているような違和感が……そう考えると逆にアリだな。


 というか全員ケモミミ美女なので、どんな語尾でも魅力的だ。


 全員の挨拶が終わると、受付のネコミミお姉さんも一礼して部屋を出ていく。


「お客様は初めてのご来店だと聞いたにゃ。多人数の場合、最初は踊りと食事に別れることが多いのだけどどうするかにゃ? あと、なんてお呼びすればいいかにゃ?」


 アーニャさんがこの後の方針を聞いてくる。


 ふむ、踊りと食事か。当然全員の踊りを観たいし、全員と食事もしたい。まあ、それは交代制にすれば問題ないな。呼び名は……。


「俺のことは次郎と呼んでくれ。えーっと、じゃあ最初はアーニャさん、ソフィアさん、マロンさんに踊ってもらって、エメさんとピピさんと食事がいいかな?」


 ごめんなさい。どこをとは言いませんが、大きさで選びました。ディーネ並みとディーネをも越えるサイズを間近で確認したい。


 俺がお願いすると三人がテーブルの前に立ち、二人はテーブルを回って挟むように俺の隣に座った。


 最初から密着するようにピタリと座る二人。あれか、これが当ててんのよってやつか。


 二人に改めてよろしくと挨拶すると、吐息が掛かりそうなほど近くで挨拶を返してくれる二人。


 飲み屋というカテゴリーで考えると、日本のお店よりもサービスが過激だ。嬉しいけど。


 ん? アーニャさんが部屋の奥に向かい、壁の一部をスライドした。同時に聞こえてくる音楽。


 なるほど、大広間で流れていた音楽がこちらにも聞こえるようにしたのか。たぶん伝声管のような仕組みだろう。


 個人コースでもさすがに部屋専属の楽団は無理だよね。


 そして戻ってきたアーニャさんとソフィアさん、マロンさんが揃って踊りだす。


「あれ?」


「どうかしましたかモー?」


 俺の声に気がついたピピさんが声をかけてくる。


「えーっと、広間で観た踊りと違ったので驚いただけです」


 広間ではみんなパラパラっぽい踊りを踊っていた。でも、今三人が目の前で踊っているのは、体をくねらせ性を強調するような色っぽい踊り。


「ああ、そういうことクマか。コースで踊りは変わるクマ。個人の方がサービス満載だけど、通常コースもリクエストできるクマ。変えるクマ?」


 今度はエメさんが疑問に答えてくれる。あれだな両サイドから至近距離で吐息が届くのって素晴らしいな。


「い、いえ、今の方でお願いします」


 パラパラも至近距離で観てみたかったが、サービス満載と聞いては選ぶわけにはいかない。 


「了解だクマ。じゃあそろそろご馳走を食べるクマ」


「そうだモー。せっかくの料理が冷めてしまうモー。ハイ、あーんだモー」


 おっと、もしかして食べさせてくれるシステムなんですか?


 ピピさんが差し出したお肉を口に迎え入れる。これは、鶏肉か? なんの鳥かは分からないが、高いコースだけあって割と美味しい。


 香辛料も利いているから、おそらく値段相応の料理が出されているのだろう。これはこれで悪くない。


 ケモミミ美女に両サイドからあーんをされながらご馳走を食べ酒を呑み、ケモミミ美女のアダルティな踊りを鑑賞する。


 もうあれだ、王様だな。賢王とか名君じゃなくて、愚王系統だけど、自分がやるなら俺はそっちの方が好きだ。


 あっ、そうだ、ほぼ確定だけど、一応確認しておくか。万が一、獣人族のルール的なものがあって、マルコやキッカが恥を掻いたら困る。


「えーっと、無粋なことを聞いてしまいますが、特徴的な語尾は種族的なものなのですか?」


 いずれマルコやキッカが『~ワン』とか言いだしたら……結構可愛いかもしれない。あれ? そもそも狼ってワンって鳴くんだっけ?


「ふふふ、違いますよ。これはこのお店の初代オーナーが決めた掟だそうです。


 私どもも正直意味が分からないのですが、殿方はとても喜んでくださるんですよね。お嫌でしたらこのように外すことも可能ですが、どうなさいますか?」


 エメさんが普通に語尾を外して説明してくれる。なるほど、やっぱり語尾は後付けだったか。


 初代オーナーって、なんとなくだけど日本人な気がする。しかも、かなり業が深いタイプの。


 ……もし会えていたら、友達になれたかもしれない。


「語尾は継続でお願いします」


 だって俺も好きだもん。


「ふふ。分かったクマ」


「分かったモー」


 ふたりに、あんたも好きねーといった目で見られてしまった。


 引き続き語尾の継続をお願いして、あーんをしてもらいながら料理を満喫していると、踊り子さん達が上着に手をかけ……あっ、少しめくって戻した。


 焦らされている。いま、俺は確実に焦らされている。


 母性の象徴の丸みを帯びた柔らかそうな下の部分だけがチラチラと、なぜその先を見せてくれないのですか。


 俺のセツナイ視線にアーニャさん、ソフィアさん、マロンさんの淫らな視線が返ってくる。


 ……そうかチップか。任せろ、大盤振る舞いしてやる!




 ***




「ふわー。お兄さん、本当にお大尽だったんだにゃ。またのご来店、お待ちしていますにゃ!」


 受付のお姉さんに目を丸くされながら店を出る。五人の美女を引き連れて……。


 受付のお姉さんの言葉で正気に戻った俺は、今とても頭を抱えたい気分だ。


 そう、俺は調子に乗ってしまった。


 大きさこそ正義では冷静というか、先にシステムを説明されていたからその通りに行動できたが、今回はそこに言及がなく、しかも王様気分だったことも手伝って、札束をバラ撒くような大盤振る舞いをしてしまった。


 彼女達から見たら、俺はどこぞの金持ちのバカ息子にでも見えただろう。


 そして確実に鴨だと認識された。


 そこからのサービスは本当にもう凄かった。過激といっても過言ではないレベルで……。


 彼女達のケモミミを思う存分堪能し、次にシッポをこれでもかと味わう。


 シッポはどれも魅力的ではあったが、マロンさんのタヌキのシッポは、アライグマほど大きくはなかったが、それはもうモフモフで、その付け根にある素晴らしい桃と合わせてメロメロになってしまった。


 踊りも過激さを増し、古いアメリカ映画にでてくるパブのように淫らな踊りをくりだす彼女達。


 え、そんなところまで見せてくれるの?


 え? そんな、女の子同士で重なって……。


 うわぁ、あんなに奥まで……。


 え? その柔らかくて大きな物体に挟まっても?


 え? 出るんですか? あっ、ウシの獣人だからですか。納得です。


 あーんよりも上だと? いえ、嫌じゃないです。食べます。


 お酒もその方法で? 頂きます。


 あはは。そんな五人順番に呑ませてくれるなんて、潰れちゃうかも。


 久しぶりの大人の遊びと、ケモミミとシッポの誘惑、むせかえるほどの女性の香りに包まれ、俺は有頂天になった。


 だから俺は言ってしまった。


 後悔はさせねえ! 全員俺についてこい! と……。 


 なんで俺、あんなこと言っちゃったんだろう?  


 初日だし、手堅く楽しむつもりだったのに、口説くどころか全員をお金の力でお持ち帰りしてしまった。


 煽てられると、男って弱いよね。


読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 次はノクターンですか!?
[一言] いいぞ!ちゃんと完走するんだ投げ出すんじゃないぞ
[良い点] 欲に負けたんじゃ無い!乗っただけなんだ! [気になる点] 男の子だもん!仕方ないよ! [一言] 仕方ない!仕方なかったんだ!
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