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三百九十二話 先生選び

 ガッリ一族を討伐したあと、二日酔いからも復活して1日、ベル達とマルコ達としっかり戯れて気分もリフレッシュした。ガッリ一族の討伐の影響も、数日は迷宮都市まで来ないだろうし、今日からのんびり頑張ろう。


「さて、今日の予定はどうしよう? 俺は3日ほどかけて、迷宮で用事を済ませたいんだけど、問題はジーナ達だよね。トルクさんの宿屋はまだ忙しい……よね?」


 あの忙しさが数日で正常に戻るとは思えない。


「ああ、相変わらず忙しいな。あたしとサラが手伝いに入って、ずいぶん助かってるって言われたけど、まだまだマーサさんとカルクの疲れは抜けてないみたいだ。もう少し手伝った方がいいと思う」


 だよね。別にジーナ達が手伝わないといけないってこともないが、トルクさん達にはお世話になっているので、協力できることは協力したい。


 ……ん? ジーナとサラにお手伝いに行ってもらって満足していたけど、ヴィータにこっそりと癒してもらえばよかったんじゃないのか?


 そうだよね、その方が確実だよね。今日の夜にでもヴィータにお願いしておこう。精霊術師としてできることを冷静に見極められるようになりたい。


「分かった。今回迷宮都市に居る間はトルクさん達を手伝ってあげて。人員補充はなんとかなりそうなの?」


 まあ、ヴィータに治療してもらうにしても、忙しいんだから手伝いは居た方がいいだろう。


「うーん、商業ギルドに話はしてあるって言ってたけど、なかなか決まらないみたいだよ。なんかベティが臨時で手伝いに入るって話も出たみたいだけど、それはベティの上司が却下したって言ってた」


 ベティさんの上司、かなりナイスな決断だ。どうせベティさんのことだし、賄いとか新メニューが目的っぽいよね。それでも働いてくれるなら問題なさそうだが、つまみ食いとかお客さんの料理をよだれを垂らして見ていそうだ。俺の単なる思い込みだが、ベティさんの上司も同じ判断をしたんだと思う。


「まあ、まだ時間がかかりそうって感じなんだね」


「マーサさんはいい加減人を紹介してくれって、商業ギルドに乗り込んだって言ってた」


 それなら、意外と早く人が決まりそうな気がする。マーサさんの迫力はすごいからな。


「そうなんだ。なら、ジーナとサラはしばらくお手伝いとして、マルコとキッカはどうしようか? 2人で迷宮に入れるのも不安だし、俺と一緒にいくのもちょっとね。マルコとキッカはなにかやりたいことがある?」


 大精霊を護衛につければ、マルコとキッカだけでも迷宮探索は可能だろうけど、子供2人だけで迷宮探索なんて、心配されるか絡まれるかのどっちかしかない。


 迷宮のコアにエネルギー補給用の廃棄素材を届けに行くのに、マルコとキッカを連れて行って、ファイアードラゴンやらライトドラゴン、ダークドラゴンを刈り取っては意味がない。むしろ迷宮のコアが泣く。


 迷宮のコアを待たせて、俺がマルコとキッカに付き添うのが一番無難なんだが、あんまり迷宮のコアを待たせるのも不憫なんだよな。廃棄素材を届けるって言った時、かなり喜んでたし……。んー、悩ましい。



「うーん、おれとキッカで迷宮にはいってもだいじょうぶだぞ。ウリもマメちゃんもいるし……」


「それは駄目。……でも、どうしよっか?」


「裕太、それなら冒険者ギルドで体術でも習わせたら?」


 悩んでいると、シルフィがアドバイスをくれた。でも、体術か……。


「まだ子供だし、早くない?」


「あんまり過保護なのも駄目よ。このくらいの年齢から戦い方を学ぶ子も普通にいるし、刃物を扱わない体術ならいいと思うわ。体の動かし方は子供の時に習った方が身につくらしいわよ」


 なるほど、刃物を使わないなら大丈夫かな。英才教育で、精霊術と体術のハイブリットもカッコいい気がする。俺みたいに開拓ツールってチートもないし、知識や経験は多い方がいいだろう。


「マルコ、冒険者ギルドで体術の基礎を習ってみる? 大きくなって剣を覚える時にも役立ちそうだし、悪くなさそうだよ」


「ホント! 師匠、おれ、体術ならいたい!」


 ものすごく食いついてきた。やる気があるようだし、習わせてみるか。


「分かった。キッカはどうする? 体術は難しいにしても、回避の方法なんかも教えてくれると思うよ?」


 キッカだけなにもやることないのは暇だろうし、まとめて習わせれば安心だ。


「……キッカもがんばる」


 少し悩んだあと、キッカもやる気になってくれた。そうなると、この2人の装備を変更しておこう。教える側にしても、子供が自分よりもいい装備をしていたら、気に食わないだろう。


「分かった。じゃあ今日から習いに行ってみようか」


「やったー」


「うん」


 いきなり行って先生が見つかるか分からないが、最悪、ギルドマスターに言えばなんとかなるだろう。俺の時の初心者講習みたいにはならないだろうし、その点は安心だな。


「師匠、あたしとサラはそろそろ手伝いに行ってくるよ」


「ああ、行ってらっしゃい。トルクさん達によろしくね」


「分かった。じゃあ行ってくる」


「お師匠様、行ってきます」


 なんか微妙に不安だし、ジーナ達にはドリーについて行ってもらうか。マルコ達には……今日は俺が迷宮に入らないで付き添うとして、明日からはドリーについて行ってもらおう。やっぱり俺、過保護だな。


 ***


「裕太様、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 朝食を終えて冒険者ギルドに行くと、速攻で受付のお姉さんが走り寄ってきた。VIP待遇というか、気を使われすぎて気まずい。


「えーっと、弟子達に体術を習わせたくて、先生を紹介してもらいにきました。冒険者ギルドで習えますよね?」


「あっ、はい。大丈夫です。ギルドマスターにお会いにならなくても?」


「はい、大丈夫です。今日はこの子達の付き添いですから」


「畏まりました。では、こちらにどうぞ」


 受付嬢さんに案内されてカウンターに向かう。どうやらそこで、どんな先生がいいか確認するらしい。子供相手だし、あんまり乱暴な人は遠慮したいな。


「そうですね。体術とその前段階の体の動かし方でしたら、マッスルスターの皆さんはどうでしょう? ちょうど帰還されていますし、Aランクと高ランクの方達ですが、裕太様のお弟子さんでしたら引き受けてくださると思います」


 マッスルスター……まさかこの状況でその名を聞くとは。とりあえず却下だな。マルコとキッカがマッスルになったりしたら、俺はマッスルスターを皆殺しにする自信がある。


「えーっと、マッスルスターの皆さんをご紹介いただけるのはありがたいのですが、さすがにAランクの方達に子供の面倒を見ていただくのは気が引けます。基礎をしっかりと修めていて、子供達に無理をさせない方をご紹介いただけたら助かります」


 日本人らしく、角が立たないようにマッスルスターを断る。世間体は大切だ。


「そうですか? 裕太様と関係が深まるなら、あの方たちもお喜びになると思うのですが……あっ、ではワルキューレの方達はいかがでしょう? あの方達は裕太様にご迷惑をかけた償いをしたいと常々おっしゃっていました。喜んで引き受けてくださると思います」


 なんでこの受付嬢さんは、地雷っぽい相手を勧めてくるんだ? ワルキューレとか、いまだに道ですれ違おうとしてくるのを全力で避けているのに、弟子の教育を頼むはずがないだろう。


 迷宮の翼とかなら受け入れていたんだけどな。あの人達はムキムキでもないし、常識人っぽいから好感度は高い。


「いえ、本当に高ランクの方は遠慮させてください。すでに引退されていても構いませんので、経験が豊富で子供にやさしい方をお願いします」


「畏まりました。では少々お待ちください」


 なんでAランクを断るのかしらって感じで首を傾げているが、受付嬢さんはファイルを取りだして、教師を探し始めてくれた。あっ、なんでベル達も一緒にファイルをのぞき込んでるの?


「べるもさがすー」「キュー」「がんばる」「ククー」「みきわめてやるぜ!」「……」


 どうやらベル達も先生探しに協力してくれるようだ。どういう基準で先生を選ぶのかは分からないが、真剣にマルコ達のために頑張るつもりのようだから、見守ることにしよう。


「この方はいかがでしょう? Bランクの冒険者ですが、最近は引退を考えてらして、ギルドのお手伝いをしていただいています」


 悪くなさそうなんだが、受付嬢さんの隣でベル達が×を出している。よく分からないが、ディーネを考えると精霊の勘は侮れない。素直に従っておくか。


 苦しい言い訳で断り、次の人を紹介してもらうがベル達の合格判定が出ない。なかなか審査が厳しいな。精霊達の勘って言うあやふやなもので、受付嬢さんに苦労を掛けるのが大変申し訳ない。でも、ベル達の可愛らしい×には逆らえないんです。


「あっ、この人でお願いします」


 数人の推薦を断り、ようやくベル達が満場一致で〇を出したので、速攻でお願いする。もう断る理由を考えるのは疲れたよ。


「えーっとですね……この方は武術を極めたと言われる冒険者だったのですが、ご年配ですし、実戦を離れて時間が経っています。本当にこの方で構いませんか?」


 ……たしかに資料の横に書かれている似顔絵には、ご年配というか……枯れ木のような老人が描かれている。本当に大丈夫か不安になるが、ベル達は自信満々な様子だ。


「え、ええ……それだけ経験を蓄積されて、更には長年武術を続けてこられた方なんですよね。是非ともお願いしたいです」


「畏まりました。では、スケジュールを確認します。訓練日はいつにされますか?」


「えーっと、急な話で申し訳ありませんが、今日から1週間、毎日でお願いします」


 1週間では短いと思うが、死の大地にも戻らないといけないし、今回はこれくらいでいいだろう。教え方が素晴らしく、マルコ達が気に入ったなら、次も頼めばいい。


 俺の言葉に納得したのか、すぐに予定を確認すると受付嬢さんが席を立った。今日中に教師が決まって、安心して任せられそうなら、明日から迷宮に入れる。できれば今日中に訓練をしてもらって、早めに安心したいな。


「あの、裕太様、ギルドマスターがお会いしたいと。先日のことを詳しく教えて頂きたいそうです。お時間を頂けませんか?」


 マルコ達の先生の予定の確認を受付嬢さんに任せてボーっとしていると、ギルドマスターの秘書っぽいお姉さんが話しかけてきた。


 先日のことってガッリ侯爵家のことだよな。ギルドマスター達も関わっているし、結果を知りたいだろうな。一応、報告しておくか。

 憶測で判断されるよりも、俺からきちんとした情報を提示して、不利な立場に陥らないように対策しておこう。ガッリ一族を討伐しても、なんだかんだで忙しいな。


【comicブースト】様にて精霊達の楽園と理想の異世界生活の11話が公開されています。

3/19日12時まで無料で公開されていますので、よろしくお願い致します。


読んでくださってありがとうございます。

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