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三百三十一話 サ〇ケ?

 96層を予想以上に簡単にクリアしてしまったので、今度こそもう少しまともに冒険っぽいことをすることを誓って97層に足を踏み入れた。


「ゆーた、がんばれー」「キュー」「だいじょうぶ」「ククー」「そのくらいらくしょうだぜ」「……」


「おう、任せろ。いくぞ!」


 ベル達の声援に背中を押され、1メートルほど前方にある重力石に飛びつく。すでに二本の足で華麗に着地することはあきらめたので、重力石にしがみつくように着地する。着地の衝撃で重力石がグラグラ揺れるが四つん這いだとなんとか耐えられる。


「ふー、だいぶ慣れてきたね。次あたりからもう少し距離を伸ばしてもいいかもしれない」


 高々1メートルの距離だけど、これが意外と難しい。飛び移る重力石は足場よりも高い位置にあるし、足場も力を入れすぎるとくるんと1回転だ。何度か踏切と着地に失敗してシルフィに助けてもらったが、ここまで慣れれば距離を伸ばせるだろう。


「そこまで頑張らなくてもいいんじゃない? 時間が結構かかってるわよ?」


 シルフィの言いたいことも分かるけど、これはこれで楽しいから頑張りたい。目標は2メートルだ!


「98層からは普通に力を借りるよ」


「ゆーた、まものきたー」


「おっ、了解。遠距離攻撃してくるのはベル達に任せたからね」


 魔法のハンマーを構え、ベルの指さす方向を見ると4羽の鳥の魔物が襲いかかってきていた。こいつらは嘴で突っ込んでくるタイプだから、俺だけで楽勝だな。飛び掛かってくる魔物を横薙ぎ一閃まとめてミンチにする。ふっ、鳥頭め。ただ早いだけの突撃など無意味なのだ! 今の俺、結構カッコイイ気がする。


「96層みたいに群れにならないなら楽勝ね」


「楽勝だね。魔法や羽を飛ばしてくる敵だとどうしようもないけど」


 遠距離からガンガン攻撃してくると俺にはなにもできない。最初は魔法の杖の出番だ!って張り切ったけど、当たらなかったし……帰ったらもう少し真面目に練習しよう。


「そこら辺はベル達と協力すればいいのよ。全部裕太1人でやる必要はないわ」


 シルフィの言葉にまかせてーっと集まってくるベル達を撫でくり回す。見た目は幼いけど頼りになる子達だから安心だよな。


「でも、結構騒いでいるのに97層では群れにならないね。なんでだろう?」


「んー、96層では大掛かりに重力石を動かしたから、ボスっぽい魔物の気に触ったんじゃない? 今回は飛び移る重力石だけ動かしているから、見逃されている感じかしら?」


「なるほど」


 なんか適当だけど、シルフィにも魔物の気持ちなんか分かんないか。でも、こうやってちょくちょく戦った方が冒険しているって気がするから楽しい。それに、96層みたいに一気に宝箱を開けるのも贅沢で好きだけど、偶に発見できる宝箱を一つ一つ大切に開けるのも楽しい。


 まだまだ天辺の一番大きな島は遠いけど、飛距離を伸ばしつつも楽しみながら登っていこう。


 ***


 襲ってくる魔物を撃退しつつ順調に飛距離を伸ばし、ついに天辺の一番大きな島にたどり着いた。やり切った気持ちでいっぱいになっていると、反対側の島の陰からボスっぽい大きな鳥の魔物と、付き従うように無数の鳥の魔物が現れる。


 ……なるほど。本来なら96層でもこうやって演出っぽく魔物が現れたんだろうな。これはこれでなかなかの迫力で、決戦が始まるぞって感じがする。


「そういえば、あの大きな魔物ってなんて魔物なの? 特徴は?」


 一度倒して収納しているから今更だけど、今回はまともに戦う形になるんだ。情報は仕入れておこう。見た目はカラスっぽいんだけど大きさが段違いで、鳥なのに前に倒したワイバーンくらいの大きさがある。


「ああ、あの鳥の魔物は村食い鳥って言うの。あの魔物に目を付けられた村は、家畜から人からすべて食い尽くされることからついた名前ね」


 思った以上に物騒な鳥だった。村ってところが微妙にショボく感じるが、狙われた方はたまらないだろうな。そんな鳥がベルの不意打ちで沈んだんだ。切なかっただろうな。


「グギャーーー」


 少し同情していると、その村食い鳥が不気味な叫び声をあげ、周囲の鳥の魔物が一斉に襲いかかってきた。


 ……………………


「とりあえずこれで全部かな?」


「ええ、全部ね」


 沢山の魔物が襲いかかってきても、簡単に戦闘が終了した。96層よりも少ない数で、足場も大きな島だから十分に広いし安定している。負ける要素がゼロだといってもいい。


 村食い鳥も口から超音波みたいな音を出して攻撃してきたけど、再びベルにサクッとされてたし、活躍できてなかった。接近戦を挑んでくれたら俺も参加できたのに。魔物をすべて回収してふと思う。


「ねえシルフィ、この階段がある島は収納できるのかな?」


「えっ? ……止めておいた方がいいと思うわ。階段があるってことは別の空間と繋がってるってことだもの。なにが起こるか分からないわ。他にも大きな島はいくつかあるんだから、それで満足しておきなさい」


「分かった。止めておくよ」


 たしかにそうだな。収納を試して成功した結果、空間がちぎれて先に進めなくなったり、大爆発とかされたら厄介だ。シルフィの素で驚いた顔が見られたことに満足しておこう。


「それがいいわね。それよりももう遅い時間なんだけど、先に進む?」


「いや、ちょうどいいからこの島で休むよ」


 98層も97層と同じだろうから、休むには大きな島まで登らないと無理だ。それならここで休んだ方がいい。


 移動拠点をだしてテーブルに食事を並べていると、重力石で遊んでいたベル達が集まってきた。食事の気配に敏感だな。


「みんな沢山頑張ってくれたから、特別にご飯のあとのデザートは2つにするよ」


「ふおおお、べる、あいすとぷりんたべるー」「キュキュキュー」「ぷりん2こ」「ククゥー」「ぷりんとくれーぷだぜ!」「…………」


「うん、夕食が終わってからね」


 テンションが爆上がりのベル達。さっそくデザートをって感じだったから、夕食のあとだと釘をさしておく。たぶん早くデザートが食べたいから急いで夕食を食べるんだろうな。


 ***


 97層の階段側で一夜を明かし、朝食を食べて98層におりる。


「あー、そういうことですか……これって俺に攻略できるのかな?」


 鳥の魔物の代わりにワイバーンが飛んでます。でも、問題はそのワイバーンよりも大きな、50層でビビったファイアードラゴンと同じ、西洋のドラゴンのような形をした緑色のドラゴンがチラホラ見えます……。


 大きさはファイアードラゴンよりも小さいかな? そらを飛んでいるから比べ辛いが、なんとなく小さく感じる。それ以前にファイアードラゴンと同クラスだったら、俺とベル達だけでは確実に無理だ。


「あれはグリーンドラゴンね。属性竜じゃないし、アサルトドラゴンよりも少し上ってところね。裕太とベル達が協力すれば勝つことはできるわ。ただ、飛んでいるし群れられたら厳しいわね」


「ドラゴンは1対1でしか戦わないって習性あったりする?」


「グリーンドラゴンは知能もある程度高いわ。勝てそうになかったら周りに助けを求めるでしょうね。それと階段がある島には3匹のグリーンドラゴンが陣取ってるわ」


 複数確定しちゃったよ。それってほぼ無理って言ってるようなものだよね。迷宮の48・49層でも急にドラゴンが出るようになったし、たぶん節目となる層の手前はドラゴンステージなんだろうな。そして100層のボスは確実に属性竜なんだろう。ムリゲーだな!


「それと、あの大きな島が見える?」


「うん、あのサイズの島は96・97層にはなかったね。……もしかしてあそこにもドラゴンが居たりするの?」


「正解!」


 シルフィがよくできましたと褒めてくれるが、あまり嬉しくない。


「どんなドラゴン?」


 おそるおそるシルフィに質問する。


「ポイズンドラゴンね」


 ポイズンドラゴン……毒の竜ってことか。印象最悪なんですけど。それと、他にもなんか聞いたことがあるな。


「ポイズンドラゴンって、毒が宝箱の罠に使われていたことがあったよね。たしかディーネが洒落にならない猛毒で、気化した毒を吸い込むだけで甚大な被害がって言ってたような……」


「そのポイズンドラゴンで間違いないわね」


「いきなり難易度が上がり過ぎじゃないかな? ポイズンドラゴンって属性竜なんだよね? そんなのが飛べないと避けられない島に陣取るってやりすぎじゃない?」


「ポイズンドラゴンは属性竜じゃないわよ。地竜……アサルトドラゴンと同タイプのドラゴンで成長過程で毒を大量に吸収して派生する亜種ね。だから知能もアサルトドラゴンと同程度で、巨体を生かして毒をまき散らしながら襲いかかってくる感じだと思うわ」


「えーっと、毒さえなんとかすれば勝てないこともないってこと?」


「そういうこと。まあ、毒はベルが防げるでしょうけど、ドラゴンの毒だから万が一の時はムーンの治療では回復まで時間がかかるわ。戦うのならヴィータを呼んでおくのが無難ね。危険を冒したくないのなら私が首を落としても構わないわよ?」


 んー、シルフィの力を借りるかヴィータの力を借りるかってことか。まあ、他の大精霊でも勝てるんだろうけど、今のところこの二択だな。


 そういえばイフのストレス解消もこの機会に……どうせなら100層の属性竜の相手をしてもらうか。俺とベル達だけだと勝てないんだし、強敵の方がイフも喜ぶだろう。


 まずはポイズンドラゴンだけど……100層では確実に役に立たないだろうし、ヴィータの力を借りれば倒せるのなら挑戦するか。アサルトドラゴンとそこまで変わらないのであれば俺でも倒せるはずだ。


 グリーンドラゴンの相手は、シルフィの力を借りることになるけど、1対1で戦える環境を作ってもらおう。


「えーっと、敵に包囲されないように手伝ってはほしいけど、それ以外は自分で戦ってみるよ」


「そう? 裕太が戦うのを選ぶのなら私はなにも言わないわ。でも……自然の鎧の出番よね?」


 楽しそうに笑うシルフィ。なにも言わないと言いながらも、完全に自然の鎧をリクエストしてるじゃん。まあ、ドラゴンが相手なんだから、防御力が上げられるのであれば上げておくべきだよな……。

本日9/28日、デンシバーズ様にて、精霊達の楽園と理想の異世界生活、第6話が無料公開されています。

ベルとレインの戯れがとても可愛らしかったでので、お時間がありましたらよろしくお願いします。


デンシバースアドレス http://denshi-birz.com/seirei/


読んで下さってありがとうございます。

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