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百三十七話 大精霊達との話し合い

 サラ達を訓練に行かせて、俺は拠点の手入れをしながら見てまわった。サラ達とベル達を寝かしつけてシルフィ達に話しかける。


「みんな話があるんだけどちょっといい?」


「なに、お酒? お姉ちゃん、今日はロゼの気分ねー」


 何でそうなる。


「ディーネ、俺は話があるって言ったよね。お酒は無いよ」


「えーー」


 なんでそんなにガッカリするんだよ。昨日二樽を空にしたばっかりだよね。シルフィ、ノモス、ドリーも何気にガッカリしている。大精霊が蟒蛇うわばみの酒好きなのか、偶々お酒大好きな大精霊が集まっただけなのか……でもお酒で機嫌が良くなるから、俺は助かる。


「この拠点の今後を話し合っておきたいんだ。ある程度計画を立てておかないと、聖域の事もあるしゴチャゴチャになっちゃうからな」


「ふむ、確かにそうじゃな。酒が無いのはさびしいが、ある程度決めておくのも良いかもしれんな」


「それもそうね。裕太も結構できる事が増えているし、ちゃんと方針を定めた方が動きやすいわね」


 ノモスとシルフィが賛成してくれた。ドリーもうなずいているし問題は無さそうだ。ディーネがうわそらだが、お酒の事を考えているだけみたいだし、いずれ参加するだろう。テーブルに移動して紅茶を飲みながら話し合いだ。


「まずは、聖域についてだよね。今のところどんな感じなの? 指定されそう?」


 前までは聖域に指定されようがされまいがどっちでも良かった。だって俺は見えるし触れるんだからあんまり関係ない。


 でも、サラ達を弟子にした事で事情がちょっと変わった。フクちゃんやウリ、マメちゃんをサラ達に会わせてあげたい。たぶんサラ達も精霊達も大喜びするだろう。ベル達もサラ達と遊べるしね。


「うむ、前にも言ったがこの場合は初めてのこころみじゃから明確な基準がないんじゃ。精霊王様達の気分次第じゃから分からん。興味は持っておられるし交渉の手応えは感じるんじゃが、今は何とも言えんの」


 明確に基準が無いのが辛いよな。基準があればそれに達するように頑張ればいいから、迷わないですむけど、今の状態だと漠然とし過ぎて難しい。まあ、前に話しを聞いてからそんなに時間も経ってないし、そんなにコロコロと精霊王様達の方針が変わったりしないよな。 


「そうなると今まで通り、自然のバランスが良くなるように考えながら、住みやすくなるように開拓を続けるしかないって事だな。今、使っていないブロックが二十個ほどあるしどうしようか? 聖域になったら皆も色々したいだろうし、スペースを残しておいた方がいいだろ?」


「あら、私は裕太が豪邸を建ててくれるのなら、お部屋を貰えれば十分よ。私に気を使わないで裕太の好きにすると良いわ。私もそれを見て楽しむから」


 ……豪邸建設がいつの間にか確定している気がする。確かに家を注文した時にそんな事を言ったけど……豪邸か……どうすればいいのか想像もつかないな。あと、シルフィ、確実に俺の事を見て暇をつぶす気だよね。


「私もお部屋を貰えれば十分です。裕太さんは森も増やしてくださいますし、このまま頑張れば問題ありませんよ」


 ドリーが大丈夫だと安心させてくれる。まあ、豪邸建設はドリーの中でも決まっているみたいだけど。


「裕太ちゃん、お姉ちゃんは絶対に酒場が欲しいわ! あとお部屋も!」


 ディーネが突然話し合いに混じり、要望をぶち込んできた。


「あら、それは良いわね。裕太、酒場は私も欲しいわ」


「裕太さん、私も酒場は良いアイデアだと思います」


「そうじゃな、当然酒場は必要じゃろう」


 シルフィとドリーがディーネの話を聞いてあっさりと前言をひるがえした。それにノモスも加わる。酒場とか作ったら大精霊が入り浸るんじゃ……。


「酒場って言われても、お酒を買い揃える事はできるけどお店をやる人がいないよ?」


「人でなくても酒場の管理なら、いくらでもやりたがる精霊はおるじゃろう。店を作って酒を用意してくれれば問題無い」


 ……精霊が店をやるのか。聖域になった時のこの地の状況が想像できない。まあ、店員のなり手があるのなら問題は無いか。お金には余裕があるし、何とでもなるだろう。出来れば酒場だけじゃなくて食堂とかも作りたいな。聖域になったら料理に興味がある精霊も紹介して貰おう。


「儂は醸造所に酒を保管する酒蔵が欲しいの。美味い酒を造るんじゃ!」


 拳を握り締め熱く宣言するノモス。シルフィ達も声援を送っている。酒蔵が必要ってどんだけお酒を造るつもりなんだろう、ちょっと不安になる。まあ、ワインや、俺が教える予定の蒸留酒はお酒を寝かせないとダメだから、どっちにしろ酒蔵は必要か。


 でも、醸造所と酒蔵って両方ともお酒を造っているイメージがあるんだけど……ノモスが言っているのは純粋にお酒をしまう倉庫の事を酒蔵って言ってるんだよな?


「あー、その辺はノモスに任せるよ。場所を選んでくれれば一ブロック全部を使っても良いし、建物も簡単な物なら用意できる。でも部屋は要らないの?」


「酒蔵で寝るから要らんの」


 酒に囲まれて寝るつもりか。結局眠らずに酒を飲んでそうだな。とは言え大精霊達が欲しがる物は分かった。部屋以外は酒に関する事しか要求しないのは徹底しているな。


「まあ、決まったら酒蔵に家具ぐらいは用意するよ」


「すまんの」


 後はベル達やサラ達に必要そうな物も考えておかないと。聖域になるのが確定していれば話しを聞くんだが、期待だけさせて聖域に指定されなかったら辛い。


 キッカは俺にマメちゃんの様子をよく聞くし、自分でも見て触りたいと思っているのは間違い無い。サラもマルコもフクちゃんとウリを大切にしているからな。指定されなかった時に、ダメだったと言う度胸は俺には無い。


 後はサラ達にも部屋を用意するとして、ベル達にはどうしよう? 一人で部屋を使うイメージが湧かないけど、トゥルはしっかりしているから、自分の部屋を欲しがるかもしれない。


 とりあえず全員で集まれる子供部屋みたいなものを作って、トゥルには部屋が必要か聞いてみるか。まあ、聖域に指定される事が決まってからの話か……なんか先走り過ぎてるな。今は聖域に指定されてからの事より、指定されるように頑張るべきだ。


「そうなると豪邸と酒場、ノモスの醸造所と酒蔵を建てるスペースは確保しておいて他に何をするかだね」


 自分で豪邸とか言うと妙に恥ずかしいな。お金は何とかなるにしても、豪邸をどうやって建てるのかも問題だよな。俺が自分で豪邸を建てるとか自殺行為だし、人に作ってもらうにしてもここまで来て貰うのか? ……この事も考えておかないとダメだな。


「裕太は何かしたい事はあるの?」


 シルフィが質問してきた。


「うーん、命の精霊と契約したいし、水路と池に魚や植物を増やす事と、森の生き物を増やす事ぐらいかな。後は海の家も何とかしたいけど、泉の家に集中しようかなって思ってる」


 別に契約だけして、過ごしやすい場所で生活してもらいながら、必要になったら召喚するって方法でも良いんだけど、どうせなら死の大地に一緒に住んで色々手伝って貰った方が助かる。  


 海の家にも手を入れて別荘みたいな扱いにできればいいけど、それはもう少しこっちが落ち着いてからだよな。


「命の精霊ね、森もあるし小動物に水生生物に虫……これだったら大丈夫かしら?」


 およ? もっと増やさないとダメだと思ってたけど、今の状況でも行けるの? シルフィが言いながらも考え込んでいるしギリギリのラインっぽいな。


「ふむ、もう少し生物を増やしておいた方が無難じゃろう。あ奴なら無理してここに住み着く可能性もある。今のままでも大きな問題は無いんじゃから、わざわざ辛い思いをさせる必要も無かろう」


「確かに命の精霊なのに自分の身を顧みない所もあるし、その方が良いかもね。裕太、そう言う事なんだけど問題無いかしら?」


 どうやらノモスみたいに再試験とか言うタイプじゃなくて、自分より他を優先するタイプなのか。ドリーは植物の芽が出ただけでも大丈夫だったけど、精霊によって必要な環境が違うのか?


 別に緊急事態って訳でも無いのに辛い思いをさせるのは気まずいから、俺も確実になってからがいいな。


「もっと動物を増やすつもりだったから、確実になってからで大丈夫だよ。今の倍ぐらい増えれば大丈夫かな?」


「ええ、それで十分ね。そうなったら命の精霊を呼んでくるわ」


「今はシルフィと契約して移動できるんだし、俺も一緒に行った方が良くないか?」


 移動できなかった頃はともかく、力を貸してもらうのに呼びつけるってのは違う気がする。一緒にお願いに行くのが筋だろう。


「どっちにしろこの場所を見ないと判断できないんだから、その必要は無いわよ。パッと行ってパッと戻って来るわ」


 そう言うものなのか? 俺の感覚と精霊の感覚は違うんだろうし、シルフィに従っておいた方が無難か。人間の、しかも日本の常識を持ち出されてもこまるだろう。


「分かった、その時になったら頼むね」


「ええ、任せておいて。それで、動物を捕まえる以外はどうするの? まだまだスペースは沢山あるわよ」


 それなんだよな。欲しい施設は色々あるけど異世界では厳しい。現状でできる事ってなると森を増やすぐらいしか思いつかないんだよな。


「うーん、聖域に認められるには自然のバランスが大切みたいだし、もう少し森を増やそうかな。ドリー、森が増えても管理出来る?」


「大丈夫ですよ」


 ドリーがニコリと笑ってうなずいてくれたので、安心しているとシルフィに笑いながら突っ込まれた。


 シルフィいわく大精霊クラスになると大森林でも余裕で管理するらしい。死の大地とは言え、ディーネとノモスも居るので、俺が開拓した場所全てを森にしても何の問題も無いらしい。


 全部を森にするのか、環境的にはその方がいいかもしれないが、それはそれで暮らしにくそうだ。話し合った結果まずは四ブロックほど森を増やして、様子を見る事にした。


 すっかり忘れていたが椿の森も作りたいので、もう一つ森を追加だ。あとは果樹園を作るのもいいな。話し合ってみると意外とやりたい事が増えた。しばらくは忙しくなる、そろそろ寝て明日にそなえよう。


 ***


 シルフィ達との話し合いから数日、話し合いで思いついた事を皆に手伝って貰いながら順調にこなしていく。


 ドリーに全部やってもらおうかとも思ったが、怠け心を押し込めてみんなでコツコツと種を植えて、普通の森を四つと椿の森と果樹園を増やした。


 豪邸を建てないといけないみたいなので中心付近のブロックは開けておき、外側のブロックに森や果樹園を配置した。これで豪邸も余裕で建てられるな、そんなに住む人がいないけど。どうして豪邸って話になったのか、不思議だよね。


 モフモフキングダムは遠目で観察すると、まれに動物が動いている姿を見かける事ができるようになった。と言っても木の実なんかを食べる時だけ巣から出ているだけみたいだけど。まだまだ警戒心は抜けていないようだ。


 心配になってベル達に様子を見て来て貰ったが、弱っている動物はいないみたいなので一安心だ。野生動物ってどのぐらいで新しい環境に慣れるんだろう?


 飼い猫でも引っ越ししたあと、一ヶ月ぐらいは警戒しているって聞いた事があるし、まだ時間が掛かりそうだ。そこら辺で玉兎がコロコロ転がっているような光景を早く見たいな。

読んでくださってありがとうございます。

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