味噌汁の武士道
お椀の中に入った高熱な海の中に
所狭しと宝物が浮かんでいる。
私は宝物の間をゆっくりと小舟で通り抜ける。
背丈以上のじゃがいもが水面から顔を出し、にっこりと笑っている。
小舟以上に大きい人参が魚のように泳いでいる。
みなお椀の中の産物として生きているようである。
かの滑稽な情景には一寸法師も驚きだ。
小舟が熱で溶けていくのを感じた。
私の命もここまでだろう。
小舟が沈んだ瞬間、私は味噌となって海と一体になり、
神々しい香りを色と共に海に奏でる。
この美味しさのハーモニーを与えることに
私の生きる意義があるのだ。