【STO:5】異世界の魔物を倒した後の処理ってなんやかんやで処理してる
そんなこんなで俺は冒険者のロデオさ・・・ロデオと一緒に街の外へと行く。
「それじゃあお願いします!」
「へいよっ、任せとけって・・・何やってんの?」
銃を引き抜き、構えながら平原をキョロキョロと見渡す俺をまるで不思議なものを見たような表情で尋ねてきた。
「何って・・・魔物が出たら危ないじゃないですか」
「ンな街の近辺にそうそう魔物が居てたまるかよ。とっくの昔に狩り尽くされちまったぜ」
言われてみりゃそりゃそうだ、街を一歩でたらそこかしこに魔物が居たら大変だ。この辺はゲームを常識の基準で考えていたせいだが、何と言うか・・・こう、残念な気持ちになるな。
「ま、森の中歩きゃ少しは居るかもしれねーが、視界がどうしても狭くなるからな・・・。もう少し奥の平原にでも行こうぜ」
呑気に平地の奥を指差しながら顎で促すロデオ。ここは慎重に行きたいから多少離れてても経験者の意見に従うのが無難だよなぁ、と思いつつ後に続く。
数時間ほど歩くと「・・・居るな」と声が掛かる。さっそく魔物とのご対面だろうか。
俺はその声に反応して銃を引き抜き構える。
「んで、要は魔物の反撃を一切食らわせずにアンタに倒させりゃいいんだよな?」
念の為と言わんばかりに再度宿での内容を俺に尋ねてくる。
「そうッスね、自分がダメージを受けなければ全く問題は無いッスよ?」
「んじゃ、コイツで行くか」
そうロデオが言い終わると同時に何やら呟き始める。かろうじて聞き取れたのは最後の言葉。
「氷魔法、アイススタチュー」
そう言うと投球フォームのアンダースローのような動きで青白い光を放つロデオ。いや、投げたと言った方がいいのか!?
そんな風に驚いていたら10メートルほど先でパキパキと音が鳴り、膝よりやや高めの草花の中からニョキニョキと氷の木が生えてきた。正直驚いたわ!なんの心の準備も無くいきなり魔法とかね!?『ステイト』を除いたら生まれて初めて見る魔法だよ!?
「ほら、何をボサーッとしてんだ?さっさと撃てよ」
そんな気持ちなぞ梅雨知らず、撃てと言われたが一体何を・・・?おおう!?氷の木に手脚を拘束された兎の化け物がしっかり捕まってるぞ!?
しかし驚いてる場合じゃない。さっさと倒して経験値にしなくては、今この場で蛇にでも噛まれたら一発でアウトだからね俺。
落ち着いて銃を構え、兎の化け物へと向ける。この異世界に来て初の殺生となると考えたら思わず躊躇ってしまう。だが俺も生きる為だ、それもかなり必死だから許せよ、ウサ公・・・っ!
ーーそして俺は銃の引き金を引いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・何やってんの?」
「・・・あれ?」
俺はおそるおそる目を開く。兎の化け物は相変わらず氷の束縛の中でジタバタしている。
あれ?銃は当たらなかったの?それとも不発??
「気銃なんだからしっかり気弾を込めなきゃダメだろ、後なんで撃つときに目を瞑るんだよ?敵によっては一瞬の瞬きを狙って胴体か
首を刎ねる奴も居るんだぞ?」
なにそれ怖すぎぃ!?ホントマジで帰りたくなって来た・・・。気弾ってどう込めればいいんでしょうかねぇ・・・?
頭の中でぐるぐると思考を巡らせ、何を言えばいいか迷っている俺にロデオは親切にも教えてくれる。何か俺ここに来てイイ人としか出会ってねぇ!!
「気銃は本来打ち金の代わりに取り付けられた集気球に手をかざし、気弾をチャージする。そのレグルスグリップガン40&WGKは・・・いやまぁ、そのテのハンドガンタイプは1チャージに付き1発しか撃てないんだよ」
レグ・・・なんとも長い名前だ。まぁまずは言われた通り銃に気をチャージして・・・
うおっ、何か疲れるぞコレ!?元気がゴッソリ奪われたような感覚がする!
球体は橙色から黄色く輝いている。これで撃てるわけか。よしよし今度こそ・・・
そう言って銃を構え、兎の化け物に照準を合わせる。
「狙う時に片目は閉じるな、ちゃんと両目開けろ。背中も曲がってる、背筋はピンとしろ。あと狙うのに時間かけすぎだ」
そんな俺に横から指摘の雨が降り注ぐ。しゃーないやん!俺銃撃つの初めてやねん!
ーーバシュッ!
「ピギッ!」という呻き声と共に兎の化け物の胴体が小さく炸裂する。お、おおおおお俺が今撃ったのか!?
しかし大したダメージが無いのか兎の化け物は灰色の毛皮を僅かに赤く染めただけでジタバタとより激しく暴れ出す。
「ま、銃の火力じゃこんなもんよな。ほれ、次だ次」
えぇ・・・?もしかして異世界じゃ銃は弱いの?火薬を用いた銃より威力上なんでしょ??
武器屋のおっちゃんが言ってた事がようやく理解できたよ・・・おっちゃんやっぱイイ人過ぎ。
俺は弾をチャージしては撃ち、チャージしては撃ちを繰り返す。化け物は四発目でようやくピクリとも動かなくなった。
身体の至る所から血が噴き出し、裂けた腹部からはでろりとピンクのミミズのようなモノがずり落ちていた。そんな光景を見た俺はーー
口からあまり人には見せられないモノを吐き出していた。
朝夜「ヒロインがゲロったらゲロインと呼ばれるそうな」