揺れる途上の車窓から
ポケットには一切れの切符
遥か遠くへ行くための紙片
車窓から見る全ては
初めて目にする新世界
連なり天を衝くビルの群れ
広大無辺な緑の田畑
鳥居が見える
地蔵が見える
時に雨が降る
時に風が吹く
ガタン、ゴトンと揺れ続ける
河を越える
山を抜ける
稜線から日が昇る
水平線に日が沈む
飛び行く景色を眺めたり
時にうつらと微睡んだり
ガタン、ゴトンと進み続ける
山がある
森がある
草原があり
地平線がある
波がある
風がある
海原があり
水平線がある
街がある
光がある
喧騒があり
息遣いがある
人がいる
空がある
どこも全てが違うのに
どこも全てが同じよう
人が乗っては降りていく
いつしか自分だけになる
いつの間にか どこまで来ただろう
続く一本の線路上 その道のりをなぞってみた