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地獄といふものには限界が定まつてゐないし、同じ一つの場所の中に限られてもゐない。吾々のゐる所は地獄であり、地獄のあるところに、吾々はいつもゐなくてはならないからだ。
(マーロウ、『フォースタス博士の悲話』、細川泉二郎訳)
カスペル うんにゃ、そんな約束はなんにもなんねえ。
アウエルハーン どうして、なんにもならないのだ。
カスペル おらァにゃたましいてえものがねえ。神様がおらァにいれ忘れた。
(『ファウストとパンチ』、南江治郎)
おゝ、地獄に堕ちた靈魂に定められし終はない!
何故お前は靈魂を有たぬものでなかつたのか。それとも、何故このお前の靈魂は不死なのか。(略)すべての畜生は幸福だ、死ねば、その魂は間もなく四大に消ゆるのだ。しかし己の靈魂は何時迄も地獄に生きて苛責を受けねばならぬ。
(マーロウ、『フォースタス博士』、松尾相訳)




