1
嗚呼───────────久しぶりだなーこの夢を見るのは───
「 ……ん………… 」
朝、か………………
久しぶりにみたなー………あの頃の夢なんて思い出したくないのになー……………
あの時、ミリ姉の事を思い出したからだろうか?
思えばミリ姉との記憶なんてあの頃しかないなー
ま、『あの目』を思い出すよりましかなー……?……
ん……………段々と意識がクリアになってきた。
「 ふぁ…………っく…………ふぅ……… 」
欠伸を噛み、けのびをする。
寝起きでするこの一連の動作はとてもきもちがいい。下手すれば二度寝にしゃれこむくらいに。が、二度寝をしたい本能を理性で抑え込み、布団をでる。
( んー………寒くない!ヒートテック素敵! )
今は年が開けた日から1日しかたっていない。まだ冬のようなもの。
ヒートテックのお陰で体の熱が逃げず温かい。
しかしフローリングについた足は冷たさで赤くなっている。痛くはないがまたフィー姉辺りに心配を掛けてしまうので傍に置いてあるスリッパを履く。
静かな自室にパタパタと歩く音だけが木霊する。
扉を開けるとそこには、リビングにあるテーブルに着いてコーヒーを飲む美人三人、もとい従姉達がいた。
「 ん、おはよー…… 」
「 あぁおはようだ、弟よ!
ほら、もっとシャキッとしないか! 」
「 ………ん! 」
質のいいキュウリの如くシャキッ、と背筋を伸ばす。
俺の朝はここからがスタートと言っても過言ではない。
「 うむ!それでこそ我が弟だ! 」
言うやいなや抱き締められ、六歳上の従姉の胸に顔を押し付けられる。
「 …ん~………… 」
紹介しよう。
この切れ長の目で黄色の瞳を持つ容姿端麗と言うより眉目秀麗と言うほうが似合う美人(イケメン?)。それでいて深紅の長髪が綺麗な美人がアルター家次女、フェルナンディア、通称フェル姉である。
フェル姉は軍人をやっている。たしか階級は中佐、結構高い。ちなみに俺がこの力を行使しようが何しようが絶対に勝てないと思っている姉だったりする。
それとデカイ。なにがとは言わないが。
お察しの通り、今俺の身体の血管が二、三本破裂している。
「 さて、目はしっかり覚めたか? 」
「 ん!バッチリ 」
俺を解放しながら元気を確認してくる。
切れ長で少しつり目気味なのでよく冷酷で厳しい人に勘違いされやすいがそんなことない確かに職業柄少し規律などに厳しいがこうやって渇というか活をいれてくれるし面倒見の良い優しい人だ部下には姉御と呼ばれているらしい流石は俺のフェル姉かっこいいしかも他国からは『灼熱の竜』と呼ばれ危険視されてるなんてかっこよすぎです抱いてください
♯♯♯♯♯
「 おはよう 」
「 うん、ぺーくんおはよう! 」
「 ………… 」
何年足掻こうとその呼び名は剥がれないのね。
折角姉さん達がつけてくれた渾名なんだからそんなにイヤというわけではないけどね。
長い茶髪に翠緑の瞳をもち、髪をかき揚げる仕草でフェロモンを振り撒くこの美人こそが我がアルター家の長女アーリア、通称リア姉です。
リア姉はそこそこ売れている小説家で基本いつも家にいて自身の魔法で庭の植物を育てるのが趣味で母性溢れる大人の女性を彷彿させる双眸はとても魅力的でさらに縁の赤いメガネがそんな魅力に拍車をかける流し目でふと眼鏡を外すところを目にしたら理性など爆発四散してしままままま
「 ぺーくんは毎日早起きできて偉いねぇ~ 」
「 ……ん……… 」
よしよし、と頭を撫でられる。
褒められる内容が些か幼稚すぎる気もするが、リア姉に撫でられるとなにも言い返せなくなってしまう。
「 んふふ~♪ 」
此方が照れてなにもできないのをわかっていてなお続けるこんなこどもっぽい一面を見せられたら名一杯抱きしめてナデナデしてあげたいそんな最強の矛盾いや矛矛を持った人間国宝の笑顔を歪めようものなら俺はそいつのマウントポジションを奪い手の骨が完全に砕けきって粉になるまで殴り続けるだろうから覚悟しておけ
♯♯♯♯♯
「 おはよー、フィー姉 」
「 ぺーくん!おはよー 」
昨日俺と一緒にテロ事件に巻き込まれたアルター家三女、フィール。
通称フィー姉。
淡い短めの金髪でもうすぐ成人するというのに幼さの残る所謂童顔と長女次女に次ぐナイスなおもちをおもちなため外にでる度に男を悩殺し次々と男が倒れ行く現象の原因が自分のせいだとわかってわたわたするフィー姉かわいい死ぬその程度で逝ってしまうような奴はフィー姉には相応しくないつまり俺こそが相応しい
現在タルターヴァ学園の三年生で学園のアイドル。
「 朝は和食? 」
「 うん!鮭だよ鮭! 」
「 あ、うん 」
鮭が大好き。理由は知らない。
「 朝ごはんもうできるから二人を起こしてきてくれない? 」
「 ん、わかったー 」
さて、世間一般では性格に難があると言われる我アルター家の残りの二人を紹介しよう。