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あなたは『サクリファイス』という言葉をご存知だろうか?

元は『神に生贄、犠牲を捧げる』という言葉だったのだが、自分を傷つける事によって発動する『自己犠牲魔法』が発見されてからは「自分が痛みを代価に何かを得るまたは与えるギブアンドテイクな魔法」に意味が変わってしまっていた。


何故こんな話をするのかと言うと俺、いやわたくしペイン=アルターがその第一発見者でもあり世界で唯一を使える人間だからである。

まずは、《サクリファイス》を見つける迄の話をしようか。






♯♯♯♯♯






王都メルイレンに今年で十四歳になった子供達が集まっていた。 この国、ファムコークルでは十四歳になると個々に合った魔法の系統を見つけ、その魔法に宿る精霊(聖霊とも言う)と契約を交わすしきたりがある。

が、一四歳以下は魔法が使えないという訳ではない。

俗に言う天才の素質がある子供は無意識に魔法を使っていたりするそうだ。

因みに魔法系統は五つあるのだが、それの説明は後程しようと思う。



そんな訳で俺、ペインは王都に四つ年上の従姉フィールときていた。

俺は別についてこなくていいと言ったのだが、「私も王都にようがある」とやや強引に言いくるめられてしまった。

フィー姉の事が嫌いというわけではない。むしろ大好きだ。求められるのであればこの血肉の全てを捧げるだろう。





それはおいといて今俺達は王宮内にいる。

何故か、というと代々精霊との契約は神聖な儀式とされていてそれなら神聖な王宮でしないと精霊様に失礼だ、という理由らしい。

なので基本この国の人間なら誰しも必ず一度は王宮に入っている。



( ………まぁ…………王宮になんて何回も入らないだろうし………… )



二度と見ることの無いであろう王宮内の景色を目に焼き付ける。

そんなこんなで道中の風景を満喫して楽しんでいると、契約の場である大広間が見えてきた。

そこには十数名の少年少女とその親と思わしき人達、そして神官のお爺さんがいた。


やはり、自分の子供がどんな魔法かは見ておきたいようだ。




しばらくすると、子供の集団から淡い金髪で前髪の切り揃えたおかっぱの少年が、子供たちの集団から歩み出た。


どうやら今から儀式が始まるようだ。少年はまず神官の前に移動し神官の持つ水晶に手をかざした。

すると、水晶の色がみるみる変わっていき最終的には赤くなった。



「 成る程、赤魔法ですか…… 」



少年はボソッと呟き、神官の横に鎮座する十字架の前に移動した。この十字架は巨大な水晶から削り出された貴重な物だと本で読んだ。およそ十メートルはあるだろう。


そして金髪の少年は胸の前で手を組み、祈るようなポーズで、精霊を人の世界に降ろす為の言葉を紡ぐ。



「我が内に宿りし力を形容する霊よ、我が前に姿を表したまえ……」



スゥ、と辺りの空気が変わった………気がした。

気がした、というのは普通の人間じゃあわからないからだ。

その精霊を降ろした本人か高位な魔法使いにしかいまそこにいるのかわからないらしい。

例外もあるが。



しばらくすると少年が小声でぶつぶつと十字架に向かって喋りかけている。

端から見ると独り言を言っている痛い人だが、彼はちゃんと会話をしている。







精霊とは不思議なもので知名度によって姿の有無ができる。


先程の例外というのはとても有名な精霊の事だ。例を挙げると水の精霊『ウンディーネ』や木の精霊『ドリアード』等だ。逆にマイナー過ぎると姿が見えず、声しか聞こえない。

しかし、別に知名度によって精霊から受ける加護に強弱がでるわけでは無いので知名度を気にする人は少ない。



因みに、精霊じゃなくて直接神が降りてきたり神獣や聖獣がくる事もあるらしいがそんな人間はかなり稀だ。

特殊な血族でもない限りは基本的に皆精霊だ。

だが前世が英雄だったーとか神様の気分だったり知るよしもない事で降りてきたりするらしい。



………いつの間にか契約は終わったらしい。少年が両親と思われる二人に駆け寄っていった。身なりからして中々に良い家系なのだと伺える。

もしかすると………


少しくらい盗み聞きしてもなんら問題は無いだろう。



『 父上!母上! 』



『 おぉ!マルコよ! 』



なるほど、あの少年は『マルコ』という名前なのか。



『 あぁマルコ、私の愛しいマルコ!貴方にはどんな素晴らしい精霊様がお憑かれになったの? 』



んーなんか言動がいちいち芝居臭い家族だなー………



『 それが母上、私にお憑きになったのは精霊様ではなかったのです! 』



ん、やっぱりか……



『 それはいったいどういう事なのマルコ!? 』



『 それが、私に憑いて下さったのはシウテクトリという火の神なのです! 』



やっぱりかなり良い家系とみた。


シウテクトリ、焚き火なんて滅多にしなくなった今でこそ知名度は地に臥せたがとても昔、まだ魔力や電気なんてものが存在しなかった時にはとても崇められていた。


神が降臨したのに誰も認識出来なかったのはそういう訳だ。

うーん良いなぁ………


加護は契約した精霊の司るものが与えられるハズだから恐らく火炎が消える迄の時間を延長とか魔法に延長の付加が与えられるだろう。

使い勝手の良い加護だ。

俺もそういうのだったらいいなぁ。


じゃないと、ね?


でも一番槍があれだったので何が来ても見劣りしそうなんだけどなぁ。

頼みますよー水晶さん赤なんて出してくれるなよー?絶対。

青とかが良い。うん青だ。緑とかでもいい。



「 シウテクトリってなんだろうね~

知ってる?ぺーくん? 」



フィー姉も聞いていたのか。俺が言うことじゃないが盗み聞き良くない。



「 んー毎度言うけどねー?

ぺーくんはやめてほしいかなーって 」



アホの子みたいな響きで好かない。呼ばれてあまり良い気はしない……



「 ん、シウテクトリは火の神だよー

暖炉の火はそいつのおかげで灯ってるって言われてる 」


俺は博識だったりする。



「 さすがはミリちゃんの弟だね~ 」



「 ……………… 」



んー………嬉しいようなーできればあまり触れられたくないようなー………黙ってしまう。

それに気がついたのかフィー姉がやってしまった、という顔になる。

この事は別にやましいことがある訳じゃないがあまり人に知られたくない。





「 ………青か…… 」



………ん、いつのまにか次の子供が水晶に触れていた。どうやら青魔法のようだ。




おっとー!魔法についての説明を忘れていたね。

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