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第四章 創成の異端者 (8)

 ピエナート・シンプランツァ灌教督かんきょうとくは深々とため息をついた。


 午前の太陽が照らすバルコニー。その手すりに置かれた指が神経質にリズムを刻んでいる。

 はるか眼下のフィロマ市街からは、いつも通りの活気に満ちた街の気配が届いていた。彼の背後、白木しらきで組まれた鎧戸よろいどは開け放たれている。彼が立つ位置からでも室内の様子が良く見えた。


 不安を隠し切れないシンプランツァは首を左右に振り、バルコニーから部屋の中へ戻った。


『宮殿』の上層階、南に面した部屋。差し込む日光は室内を柔らかく照らしている。普段は宮殿の『あるじ』が内外の客人との謁見に使用する場所であった。今日の『作業』にはもってこいだろう。


 シンプランツァの視界のはし、廊下へ通じる扉がなめらかに開く。

 入室してきた二人の衛兵は、今日のため特別に選びぬかれた手練てだれだ。短槍を手にたずさえ、腰には剣が下げられている。歩くたびに衣服の下に着込んだ鎖帷子くさりかたびらが小さく音を立てた。

 油断なく周囲を見まわす彼らは、シンプランツァにまで一定の警戒心を向けている。


 二人の後ろから純白の礼服に身を包んだ老人が部屋に歩み入ってきた。


 大陸西域にかけての最大宗教勢力である、イリユヌス教。その最高指導者、『会皇かいおう』である。


 会皇は真っ白な頭髪を手で整えながら、まなじりを下げてみせた。最高級の礼服を着ていなければ、街のどこにでもいる好々爺こうこうやにしか見えないだろう。


「どうかな、シンプランツァ。私の髪は乱れてはおらぬか?」

「問題ございません、会皇台下だいか


 むっつりと答えたシンプランツァに、会皇は目をぱちくりさせる。やがて相手の心中しんちゅうを見透かしたのか、今にも吹き出しそうな顔になる。その地位に似合わぬ人懐ひとなつっこそうな微笑みだった。

 そしてシンプランツァの肩に会皇の手が優しく置かれる。


「十五年前の聴聞会のことをまだ根に持っているのか? いい加減、水に流したらどうだ?」


 シンプランツァはさらに眉をしかめた。絞りだすような声は葛藤がにじんでいる。


「そうではありません。『あの男』を安易あんいに近づけるべきではないのです」


 はあっとため息をついた会皇が耳の穴を指でこする。


「それは聞き飽きた。彼が私に何かをしでかすと本気で思っているのか? お前の心配性は歳を取るごとにひどくなるな。武装した衛兵までわざわざ用意させてからに」


 げんなりと言葉を吐き出し、会皇は部屋中央の豪華な椅子に腰をおろす。

 その両側に衛兵が無言で立った。体の前に短槍を捧げ持ち、警戒をゆるめる気配はない。

 左右にじろりと視線を向けて、会皇は嘆息たんそくする。


「こちらから頭を下げて、フィロマ最高の芸術家に肖像画をえがいてもらうのだぞ。これは、あまりに礼をしっした態度だと思わんか?」


 シンプランツァがかぶりを振る。


「いいえ、甘すぎるくらいです。あの男は絶対に信用なりません。そもそも……」


 さらに畳み掛けられようとした言葉は、扉のノックでさえぎられる。唇をぴくりとさせたシンプランツァは気勢を削がれたようだ。

 無愛想な声で彼はこたえる。


「入れ」


 若い修道士に案内されて、エルネオ・チェヴールが部屋のなかに進む。彼のあごひげは黒ぐろした中に白いものが混じり始め、そこに浮かんだ笑みにアンバランスな印象を与えている。両手には三脚画架イーゼルと画板を抱え、肩からはカバンを下げている。


 シンプランツァが腕組みをして不機嫌そうににらみつけた。刺すような視線に気づいたエルネオが、ニンマリとわざとらしい笑顔になる。


「これはこれは、シンプランツァ灌教督猊下げいか。お久しぶりです」


 ばか丁寧なあいさつを残したエルネオは、部屋の中央に座る会皇へ一歩を踏みだした。

 だが、それをシンプランツァが押しとどめる。一文字に結ばれた口から疑心に満ちた声がつむがれる。


「荷物と体を調べさせてもらう」


 エルネオは肩をすくめた。相手を見る褐色の瞳は愉快そうな色にあふれている。


「どうぞ」


 シンプランツァの目配せに、修道士がエルネオのカバンの中をあらためる。また、ふところに何か隠し持っていないか、エルネオの衣服のあちこちに触れて回った。くすぐったそうに薄気味の悪い声が上がる。

 修道士が上司にうなずいてみせた。


 だがシンプランツァの表情から懐疑が抜けることはない。エルネオが眉を上げて首をかしげる。


「お気は済みましたかな? まずは台下にご挨拶あいさつしたいのですが」

「ふん」


 鼻息で苦々しく答えるシンプランツァに、エルネオがうやうやしく頭を下げる。

 作業用の椅子が会皇と相対あいたいする位置に置かれている。エルネオはそこに荷物を立てかけると、会皇の前に進み深々と辞儀をした。


「お目にかかれて光栄です、会皇台下。このエルネオ・チェヴール、いまだ未熟者であります。ですが、お召しとあらば私の全霊をもって台下のお姿、えがかせていただく所存しょぞんにございます」


 やたらと堅苦しい口上に会皇が苦笑いをする。


「いやいや、光栄なのは私の方だ。何せ『フィロマの奇跡』とまで呼ばれる者に描いてもらえるのだから。これ以上の贅沢ぜいたくは無い。出来上がりが今から楽しみだ」


 再度深く頭を下げてから、エルネオは後ろに下がる。三脚画架イーゼルを立て、さっそく作業の準備をはじめたエルネオ。その様子を横目にシンプランツァは、会皇の左右で控える衛兵二人にひそひそと耳打ちをする。


「チェヴールが妙な動きをしたら、その場で取り押さえろ。責任は私が取る」


 耳に届いた言葉に、会皇が苦虫を噛み潰したようになる。

 

「まったく、お前は……」

 

 責めるような視線をシンプランツァはあえて無視した。


 別に何も起きなければそれでいい。何の文句もない。だがどれだけ会皇から不興を買おうとも気をゆるめるつもりは無かった。

 確かに自分も老いはしたが、人を見る『目』だけは衰えていない自信があるのだ。


 エルネオ・チェヴールは間違いなく何かを企んでいる。





 フィロマ市の街並みは人がにぎわい、各々おのおのが日々の働きにいそしんでいる。


 市場や工房が立ち並ぶ区域で行き交う大人たち。皆、手元や足元に注意を向けており、『それ』に気付く者はほとんどいない。


 たまたま『上』を見上げていた子供や野良猫がハッキリと目撃してはいたが、それがどんな意味を持つのかは誰も理解できないはずだ。


『屋根の上』を建物から建物へ飛ぶように疾走する、二つの白い人影。


 白い外套マントをはためかせて走る彼らは、足場の不安定なはずの高所においてもまったくフラつくことがない。


 近づいて見れば、彼らの体がほんの少し浮いており、靴が屋根にれていないことが分かるだろう。宙空に橋渡はしわたされたガラスの板の上を進むがごとく、二人は建物から建物へと迷いなく駆けていった。


 彼らが一直線に進む先には、太陽に照らされる『宮殿』。その荘厳そうごんな威容がたたずんでいる。





 室内は奇妙な緊張感がただよっている。

 余計な家具が片付けられた室内で、向かい合うように置かれた二つの椅子。


 中央の椅子に座る『会皇』は上機嫌で、エルネオと肖像画の構図について談笑まじりのやりとりをしている。

 エルネオがすっと片手を上げて向きを示した。


「申し訳ありません、台下だいか。少し右肩を私の方に向くように……ええ、そうです。ありがとうございます」


 会皇が小首をかしげる。


「なるべく動かんほうがいいのかな?」

「いえいえ、楽になさって下さい。絵描きの『目』というものは、一瞬の光景を切り取ることにけているものです」


 笑って答えながらエルネオはすでに手を動かし始めている。薄く茶色がかった紙の上に、細く削られた木炭がすらすらと線を描いていく。


 廊下に通じる唯一の扉の前に立つシンプランツァは、エルネオと会皇を交互に視線で観察している。


 部屋の中にいるのは五人だけである。

 会皇、シンプランツァ、衛兵二人、そしてエルネオ。


 力ずくなら間違いなく自分たちにがある。エルネオは確かに大柄ではあるが、鍛えられた武装衛兵二人の前には赤子も同然だろう。なんとなれば自分が加勢してもいい。


 事が起きたとしても圧倒的に有利な状況のはずだ。だが、シンプランツァの胸からは不安が消える気配はない。

 エルネオが手元と会皇を見比べながら、控えめに尋ねる。


「失礼ですが、台下。少し、お話をしながらでも構わないでしょうか?」


 一瞬目を丸くした会皇が、にこやかにうなずく。


「もちろんだとも。私も個人的にエルネオ・チェヴールと話をしてみたくもあるのでな」

「恐れいります」


 さらさらと迷いのない動きで紙の上に線を引きながら、エルネオが尋ねる。


「台下は『奇跡』というものについて、どうお考えですか?」


 さっと顔色の変わったシンプランツァを、会皇の鋭い視線が制する。十五年前の教義の解釈に絡んだ揉め事については、会皇もよく知っている。ただ、立場上そこに関連した発言を外部の人間に聞かせることは控えざるを得なかった。


『会皇』という地位は、たった一つの不用意な発言が国をも巻き込むとてつもない火種になりうるものなのだ。

 思慮深さを感じさせる落ち着いた声がエルネオに向けられる。


「それは教義の解釈かね。あるいは……」


 会皇を遮るように、感情の起伏の少ない声が返された。


「ただの世間話です。一人の信者の他愛もない好奇心ですよ」


 言葉を切ったエルネオは相手の返事を待つように、紙の上に意識を集中する。水を打ったように静まり返る室内。木炭が紙に線を引く音のみが流れている。


 会皇はじっとエルネオを見つめていた。そしていつまでも続くかと思われた沈黙を、会皇の声がそっと破る。


「奇跡とは『希望』だと思う」


 会皇は長い人生の中で経験してきた、人の欲や世界の矛盾を思い起こしながら言葉を継いでいく。


「生きることは苦しみ続けることでもある。だが、いつか神の加護が……『奇跡』が与えられ救われる。そう信じられれば、苦痛はやわらぎ、日々を乗り越える助けにもなるだろう」


 エルネオの唇に皮肉めいた笑みが浮かぶ。それでも手を動かすことは止めようとしていない。


「奇跡など『まやかし』であるとおっしゃっているように聞こえますな」


 会皇がわずかに視線を足元に伏せる。信仰は『力』を持ち、同時に『無力』でもある。なにが真実なのか未だに彼は確信が持てなかった。

 やがてぽつりと声がこぼれる。


「人の力でぎょしえない事物じぶつ。それをどういう意味に取るかだろうな」

「……私たちはあてのない奇跡を信じながら、ただ耐え、待つことしか許されないのでしょうか?」


 瞑目した会皇はあきらめの混じる声だった。


「それが神の御意志ならばな」


 ふとシンプランツァの背中に奇妙な違和感が触れる。この感覚は何なのだろうと、部屋の中を注意深く見回す。そして違和感の正体に気づいた。


 エルネオ・チェヴールの『手』の動きだ。


 シンプランツァは絵を描く技術を持っているわけではない。だが、エルネオの仕草は彼の想像する絵描きのものとは一致していない。まるであらかじめ頭の中に用意したものをそのまま形にしているような迷いのなさだったのだ。


 そしてエルネオの手が止まった。

 彼は会皇に向かって軽く目礼もくれいする。


「なるほど。ありがとうございます」


 会皇は申し訳無さそうな微笑みを浮かべた。


貴方あなたの好奇心を満足させられたかな?」


 シンプランツァの足が引き寄せられるように動く。エルネオの手元が徐々に見えてくる。画板の上に置かれた紙に描かれた物が、シンプランツァの視界に少しずつ形を現しだす。

 エルネオの唇がにやりと笑う。


「いいえ。時間を稼げた、という意味です。ようやく『書き終わりました』よ」


 シンプランツァはエルネオが紙の上に描いていたものを見た。


 それは会皇の肖像などではなかった。


 奇妙な記号や文字がびっしりとサークル状に記述されている。何を意味する図柄なのかは当然理解できない。

 だが一見した瞬間、それが『危険』なものだという直感がシンプランツァの心を貫く。彼は反射的に衛兵に叫ぶ。


「チェヴールを止めろっ!!」


 命令に素早く反応した二人の衛兵が短槍を水平に持ち、エルネオへと距離を詰める。


 瞳を狂気に輝かせたエルネオが、左手をその環状図柄、すなわち『魔法陣』にかざす。

 間髪入れずに彼の口から奇妙な音節の連鎖がほとばしる。現在の世界においてエルネオ以外には決して理解できない言語だ。

 それはまさに『呪文』であり、ここではあえて人の言葉に訳しておく。


『この身に宿りし『力』に命じる。我に従い発露はつろせよ。天地をつらぬ螺旋らせんを成せ』


 画板の上の紙に描かれた『魔法陣』が『呪文』に呼応し、青く淡い輝きを放つ。

 空気が一瞬で張り詰めるような感覚。

 

 そして『嵐』が室内に出現した。

 

 エルネオ・チェヴールを中心に猛烈な空気の渦が竜巻を作り出す。部屋全体がみしみしと震える。大気の濁流だくりゅうと轟音が肌を殴り、耳をつんざく。


「わ、わ、ひえぇっ!」


 叩きつける風に会皇が椅子ごと後ろへと倒れこむ。

 

「台下っ!!」

 

 吹き付ける暴風に思わず顔を腕でおおったシンプランツァが必死に叫ぶ。だが声が届いたかどうかは疑問である。


 二人の衛兵も想定外の怪現象に驚愕きょうがくの色を浮かべている。だが任務への忠誠心は失っていない。荒れ狂う風圧を押しのけて短槍をエルネオに突きつけようと全力で前進する。

 衛兵たちは恐怖を振り払うように咆哮した。だがそれは蟷螂とうろうの斧にも及ばない行為だ。


 嵐の中心、無風部分に立つエルネオは涼しい顔を乱すことは無い。目の前にせまる衛兵を見て、酷薄こくはくな笑みとともに指を正面へひょいと振る。

 見えない『力』が空中を飛んだ。


 指先から放たれたのは、ごく細くじり絞られた『力』の矢である。それは衛兵の鎖帷子くさりかたびらをあっさりと『透過』し、胸骨を砕き心臓と肺の一部を瞬時に挫滅ざめつさせた。

 一撃で絶命した体が、糸の切れた操り人形のごとく床に崩れ落ちる。


「お、おのれっ!」


 倒れた相方の姿に色めき立つもう一人の衛兵。エルネオが眉ひとつ動かすことなく、殺気立つ相手に向かって再度指を振り向ける。

 

 放たれた『力の矢』は相手のあごから後頭部へと貫通し、頭骨とうこつと脳の一部をえぐり抜いた。

 抵抗の暇すらなく即死させられた衛兵が、頭から血を吹き出しながら棒を倒すように床に転がる。


 吹き荒れる風圧に立っているのがやっとのシンプランツァ。目を血走らせ怒りに叫ぶ。


「チェヴール、貴様っ! やはりっ!!」


 退屈な物を眺める顔でエルネオがシンプランツァに指を向ける。

 みぞおちにねじ込まれる衝撃に、シンプランツァがえずいて膝から崩れ落ちる。鉄の棒で思い切り突きこまれたような痛みだ。呼吸が止まり意識が一気に刈り取られそうになる。


 これでもおそらく手加減しているのだろうと、シンプランツァが苦悶のなかで想像する。

 半眼はんがんになったエルネオが冷たく言い放つ。


「そこでおとなしく見ていろ。世界が変わる瞬間をな」


 そして正面の床で這いつくばって嵐の風圧に耐える会皇を眺めやる。エルネオの柔和にゅうわな笑みが向けられた。奇跡や慈悲を与える神がいるとすれば、こんな表情なのかもしれない。


「では親愛なる会皇台下。これにて、おさらばです」


 暴風で白い髪をかき乱され、床の上で口を半開きにして呆然とする会皇の眉間みけん。エルネオの指がそこにすうっと向けられた。

 シンプランツァは痛みで力の入らない足腰に歯噛みしつつ、無力感にさいなまれる。


 悪い予感が的中してしまった。

 もはや頼れるものは神の奇跡くらいだろう。『絶望』が一気にシンプランツァの胸を満たす。頼む、誰でもいい、この男を止めてくれと心の底から願う。


 エルネオが会皇にぽつりと宣告する。


「死ね」


 その瞬間、白い人影がバルコニーから室内に飛び込んでくる。

 

 転がるように会皇の前に立ちはだかった人物はエルネオに向かって右手をかざす。

 金属同士が打ちつけこすれあうような甲高い音が鳴り響く。


 同時にその人物の周囲の床がえぐられて無数の傷跡が生じる。削り取られた床板のこまかな破片が雪のように舞い散った。


 あたかも透明で鋭い刃物が、床板へ盲滅法めくらめっぽうに叩きつけられたような情景。

 それは会皇の頭へと向けられる予定だった『攻撃魔法』の凄まじさを現している。

 

 エルネオのまぶたがすっと細められ、褐色の瞳に鋭さが増す。いらだちと怒気のにじむ声が静かに響く。

 

「……何のつもりだ、キュウタ」


 大槻キュウタは片膝をついて、開いた右手をまっすぐエルネオに向けている。

 白い外套マントはしはギリギリの距離ではじき散らした攻撃魔法の余波で、あちこち引き裂かれていた。


 鋼鉄にも匹敵する強靭さを誇る『空気の盾』。

 そのおかげで室内に吹き荒れている暴風も、彼の周りでは多少緩和かんわされている。

 空気の盾をさらに念入りに展開しつつ、少年は背後の老人が無事であることをちらりと確認する。


「僕の後ろから出ないように」


 少年の端的な言葉に、会皇はかくかくとうなずく事しか出来ない。


 そしてキュウタの視線がエルネオに向けられる。少年の顔は普段の控えめで温和な物腰の欠片かけらもない。

 それはまぎれもなく『戦士』の顔であった。


「エルネオさん。僕は貴方あなたを止めなければならない」


 キュウタの言葉に相手は歓喜にも似た表情になる。

 そして『異端者』、エルネオ・チェヴールはまぎれもない『殺気』をその全身から存分にはなっていた。


 少年はこの男が『本気』なのだと知る。


 人類の歴史上おそらく最初の事例となる、『高度な魔法』を使った『殺し合い』。

 それが今まさに始まろうとしている。



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