表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

第11話

矛盾やおかしいところは、やさしくご指摘ください。

 次に向かった先にいたのは、オーガだ。

 オーガはゴブリンのように群れず、単独かつがいなどのごく少数で現れることが多いが、Bランクの一流と言われるハンターのパーティでもかなりの難敵だ。


 オーガは体長が2メートルを優に超える巨人だった。大きな頭にボサボサの髪の毛、大きく裂けた口から鋭い牙が見え、ボウボウの顎髭をはやしている。また鋭い爪を持ち、肌は全身赤黒く、裸に腰布のような物を巻き付けている。強靭な肉体と膂力に優れ、ゴブリンとは比べ物にならないほどの魔力マナも纏っており、通常の武器や攻撃が通り難い。簡単には倒せない魔物だ。

 

 要の攻撃力でも通常の攻撃はだいぶ威力が殺されてしまうだろう。そのため今回は最初から魔力(マナ)を纏う。出力は5%だ。要の体の周囲を薄い半透明の膜が覆う。


 このオーガは要が相手をする。事前の打ち合わせで、今この場にいない(つがい)のオーガス(女オーガ)は花月に任せることになっている。無人偵察機が張り付いているので、近付いて来たらわかるはずだ。


 要とオーガは10メートルほどの距離で対峙する。


 オーガは今まで多くのハンターを容易く屠って来た経験から、自分たちの縄張りに迷い込んだ見たところ人間の若いオスとメスに、全く警戒心を抱かなかった。


「ガァァァァ~~~~~!!!!」


 オーガが雄叫びを上げた。そのままオーガは手近な樹木を鷲掴みにして、メキメキと音を立てながら地面から引っこ抜く。大人が手を回しても一周できないような太い幹の木を、棍棒の代わりの武器としてブンブン振る。木が振られるたびに突風のような風が巻き起こる。


「いいだろう。先手は取らせてやる!」


 棍を担いだ要が挑発するように、右手の手のひらを上にしてチョイチョイと手招きする。


 オーガは怒った。今までの人間は自分と出会うと、皆恐怖して逃げ惑っていた。それなのにこのオスは不遜にもこちらを挑発してくる。自分オーガを侮るとどうなるか、思い知らせてやる。


 オーガは要に向かって突進しながら、棍棒代わりの木を頭上高く振り上げ、渾身の力で思い切り振り下ろしてくる。スピードもその巨体からは想像できないほど俊敏だ。要は棍を持った両腕を頭の上で伸ばし、軽く懸垂でもするように構えた。


「ガァァァァ~~~~~!!!!」


 オーガは潰れた獲物の姿を想像してニタリと嗤った。


「ふんっ!」


 ドカン!!


 爆音とともに、木が爆発し木端微塵になる。


 オーガは木を振り下ろした体勢のまま、困惑して動きを止めた。相手が全くの無傷で、自分の攻撃を防いだことが信じられなかったようだ。今まで相手にしてきたハンターたち例えパーティで挑んできたとしても、オーガの一撃でたやすく壊滅もしくそれに近い大ダメージを受けていた。オーガはこのような若いオスが無傷などというのは、何かの間違いだと思った。


「まあまあの攻撃だったよ、今度は俺の番だ。いくぜ?」


 要は棍で肩をポンポンしながら、特に気負った様子もなく告げる。


 ドゴッ!!


 次の瞬間、姿が霞んだ要が強烈な踏み込みと共に、オーガの腹に棍を突き入れた。オーガの体がくの字に曲がる。オーガは苦悶の表情を浮かべて血の混じった胃液らしきものを吐く。


 要の攻撃は止まらない。


 続いて頭の下がったオーガの顎を棍でかち上げ叩き割る、凄まじい攻撃で空中に打ち上げられ、無防備に体が伸び切ったところで、ほぼ同時に回転させた棍で強烈な足払いをかける。足が折れ、変な方向を向く。

 オーガの巨体が地面と平行に浮いた瞬間、真っ向唐竹割のように振り下ろした棍を喰らったオーガが、爆音と共にほぼ垂直に地面に激突しめり込んだ。


 大量の土砂が吹き飛び、辺りはもうもうと砂埃が舞う。


 オーガは辛うじて原型はとどめていたが即死だった。恐らく自分の身に何が起こったのか、認識してはいなかっただろう。


「まぁ、こんなもんかな」


 要は舞い上がった砂埃を手を振って払いながらつぶやく。


「要、偵察機から知らせが来ました。オーガスは私が」


 要たちが(うなず)き合った時、オーガスが現れた。


 オーガスはオーガの死体を見て、怒りの咆哮を上げながら、近くに立つ要に向かって突進して来た。


 花月は慌てることもなく両腰のショートソードを抜く。そのまま猫のように足音も無く静かに要とオーガスの間に入り込む。すでに全身に魔力マナを纏っている。


 オーガスは割り込んできた花月に向かって鋭い爪の生えた腕で、大振りの一撃を放つ。


 花月は、オーガ同様2メートルを超える豊かな体躯のオーガスの正面に、低い姿勢で潜り込みながらスルリとオーガスの左脇へと滑って行った。


 花月はオーガスの予想を超えた超速の一撃を放ち、一条の光が通り過ぎたあとには、オーガスの腹部は深々と切り裂かれていた。


「ゲエエエエエ~~~~~!!!」


 竜巻の直撃を受け吹き倒される大木のように、悲鳴を上げたオーガスの巨体が吹っ飛んだ。


「また、詰まらぬ「もうそれはいいから」……むう」


 ショートソードを血振りし鞘に納めながら、決めゼリフを言おうとしたところを要が止める。


 花月が不満そうに唇を尖らせる。


 要はそんな花月の様子に苦笑した。以前、一時期要のアニメ鑑賞に花月を強制的に参加させたこと、そして有名な泥棒の三代目が主役のアニメは気に入った様子だったことを思い出したからだ。


「さあ、討伐証明部位と魔石を採取しよう」


 二人はそれぞれに倒した魔物から必要な物を採取した。


「やっぱりオーガの魔石は、ゴブリンとは比べ物にならないほど大きいな」


「はい、この辺りではオーガたちはちょっとしたボスモンスター扱いなので、その魔石にどれほどの値がつくのか」


「買い取りしてもらうのが楽しみだね」


「それからオーガたちの死体は、星華に送って分析させよう。いろいろなサンプルを取った方が、この世界のことをより研究させられるからね」


 要がオーガとオーガスの死体に鞄に近付けると、「四次元ポ〇ット」よろしくするするっと中に入った。


「じゃあ次だ」


「はい」


 このあと滞りなく、本来の依頼のオヤコグザ10株の採取と、依頼書無しで一角ウサギ(ホーンラビット)を5羽狩る依頼を達成した要たちは、予定通り夕暮れまでに街に戻った。

短くてスミマセン。

戦闘の描写がムズカしいです。パワーやスピード感がうまく伝わればいいと思います。


10/20 誤字・脱字修正しました。

感想をお待ちしています。誤字脱字・矛盾などのご指摘はなるべく優しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ