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第六話 嫁ぎ損ねの勇者は荒ぶりたい!

 当時のルルリカは、16歳だった。

 あれから、5年が過ぎた。

 貴族の令嬢としての婚期はとっくに逃していた。


 ――――が、もはや、そもそも、そういう問題ではなかった。


 今現在のルルリカの恨み節は、運命から魔王方面へ向かって行った。


「大体、魔王も魔王だ! 倒しても倒してもポコポコ、ポコポコ! これまでずっと、一度につき一体の魔王だったのに! なんで、私が勇者の代になった途端に、おかわりリレーが始まるんだ!」

「…………」


 荒ぶるルルリカに、ティトは無言でお茶を差し出した。

 魔王サイドの事情なんて、ティトには分からない。

 これまで通りのセオリーからすれば、一つの時代に現れる魔王は一体限りのはずだった。勇者が魔王を倒してしまえば、その後数百年は安泰が約束されていたのに、なぜか今回は、倒しても倒しても、次なる魔王が魔王城と共に生えてくるのだ。

 そして現状、魔王を倒せる勇者の力を持つものはルルリカただ一人だ。

 一度に複数の魔王が現れるのではなく、倒したら「はい、お次の魔王、お待たせしました」状態なのは、世界にとっては不幸中の幸いだったが、ルルリカにとっては、ただひたすらに不幸でしかなかった。

 まるで、この後数千年分の勇者の素質と出現するはずの魔王が、ルルリカとルルリカの時代にギュギュっと押し込まれたみたいだな……とティトは密かに思ってはいたが、お口には厳重にチャックをした。

 何の根拠もないただの思い付きに過ぎないし、口に出したらルルリカが発狂しまくるのは目に見えているからだ。

 ティトはルルリカを敬愛していた。

 だから、ルルリカを傷つけることは、したくないのだ。


 ティトは、身寄りのない平民の少年だった。

 魔物に襲われたところをルルリカに助けてもらったことで、ルルリカに恩義と敬愛を抱き、勝手に押しかけ従者になったのだ。

 今から3年前。当時、ティトは10歳だった。

 その時には、もう。

 ルルリカにお供はいなかった。

 騎士も魔法使いも、誰も。

 見限られたのではなく、お役御免にしたのだ……とは、ルルリカの弁だ。

 理由を教えてもらえたのは、それから1年が過ぎた頃だった。


 嫁ぎ損ねた勇者として腫物扱いされるのが耐えられなかったというのが理由の一つで。

 お供がいては、荒ぶる本音をぶちまけられないというのが、もう一つの理由だった。


 その頃には、ルルリカはティトの前でも遠慮なく本音をさらけ出すようになっていた。

 もちろん、ティトと二人だけの時だけだ。

 元々のお供たちよりも信頼されているようで、ティトは嬉しかった。


 ティトが頭を抱えたくなるような事案が発生したのも、この頃だった。


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