表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥界送人  作者: てんまる99


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/16

それはまずいぞ

「あきら、明っ! ねぇ、起きて」

もやもやとした意識の中、聞き覚えのある声がした。

なんだろう、身体がだるい。

もう少し休んで居たい‥。


「い、息はしてるから大丈夫だよね? なんで起きないんだろ‥」

困惑する様な感情がその声に混ざる。

そう、目は覚めてる。

もう少しこのままで居たいだけだ‥。


「‥あ、これって‥」

声の主は何かに気が付いた様子。


と、唇に柔らかく湿った物が触れる。

一旦離れて、更に、もう一度。

今度は少し吸い付く様な感触。

同時に柔らかい重みが2つ、ふわりと押し付けられる。


ま、待て、これは?

慌てて目を開いた。


目前には、少しツリ目の、大きな瞳いっぱいに涙を貯めた少女の顔があった。

サイドテールに留めたロングヘアーが、さわさわと顔に触れる。


「さ、彩希さき?」

「起きた! やっぱり魔法?!」

見ると、上半身に覆い被さる様にして覗き込んでいる。

つまり、さっきの柔らかい感触は‥。


「ま、魔法って??」

言いつつ彩希をおしのけ、偏頭痛が残る上半身を起こした。

「うん、ほら、悪い魔法使いに、目覚めない魔法を‥」

「俺、森の美女じゃない‥」

「じゃあ、シンデレラ?」

「あの人はむしろ睡眠不足だと思う」

会話をしていると、ぼやけていた意識の焦点が定まってくる。


傍らにちょこんと座っているのは早瀬彩希はやせさき、旧来の友人、早瀬弘樹はやせひろきの妹。


高校2年の元気娘、中肉中背、ちょいツリ目、八重歯、サイドテール、ショートTヘソ出し、ミニスカニーソ。

そして、勿論、美少女。

欠点は早とちり、たまに発想が斜め上空8000mになる所。

うん、性癖のデパートだな。


そのデパートは、ちょくちょくと俺のアパートに顔を出し、アレヤコレヤと文句を言い、たまに世話を焼かせ、たまに居座ったりする。

俺としては、ほぼ女子の形をした猫と言う理解。


度々独身男の部屋に通ってくるとなれば、世間では恋人と思われるだろう。

が、俺としては子供の頃から弘樹と一緒に遊んだ間柄なので、ほぼ妹の感覚だ。


「来たら明が倒れてて。死んだのかと思った」

「まさか、医者とか警察とか呼んでないよな‥」

「うん、それはまだ」

言いつつ彩希はスマホをポケットに戻す。

‥ギリギリのタイミングだったようだ。


「でも、どうしたの? 具合悪い?」

再度、顔を覗き込んでくる。

アクアマリンの様に澄んだ蒼い瞳がキラキラと輝く。

「風邪かな‥ちょっと頭痛がする」

あの棒の事は黙っていることにした。

あまりに非現実的過ぎた。

熱で見た悪夢だったのかも、とも思った。


「熱あるの?」

言いながら俺の上半身を抱き、密着してくる。

頬をピタリと寄せ、思案顔。

「熱は‥無いみたいだけど」

「熱は額で計るもんだろ」

「こっちのほうが、良くわかるよ‥」

彩希のしなやかな身体が、しなだれかかってくる。

微かな柑橘系のコロンの香り。

首筋の金のペンダントがチリン、と鳴った。昔、俺がプレゼントしたものだ。

「ちょ、ちょっと待てって‥」

彩希はいやいやをするように首を振る。


不安な時、寂しい時‥。

彩希は時にこうして求めてくる。

普段の元気さからは想像できない、脆い面も持っているのだ。

俺が倒れて不安にさせてしまったせいだろう。

幼い頃に両親を失った恐怖は、心の奥底に傷となって消えていない。


「ほ、ほら、大丈夫だから‥」

軽く彩希を引き剥がそうとするが、離れない。

「やだ、離れたくない」

「困ったな‥」

俺は本気で困っていた。

俺も彩希の事は憎からず思っている。

いや、妹のような存在という事を除外すれば、むしろ好ましいとも思っていた。

その相手が、二人きりの状況で抱きついてきている。

俺だって木石でできている訳ではないから、我慢の限界がある。

本当は彩希の事を抱きしめてやりたい。

だが、そんな事をすれば後で無限の自己嫌悪に陥るから必死に堪えているのだ。


追い詰められた俺は、遂に最後の手段に出ることにした。

目前の彩希の耳に“フッ”と息をかける。

「ひゃうんっ!」

見事なまでに反応する彩希。


今度はゆっくりと長く‥

“ふ~~~っ”

「ンッ、駄目、そこはっ、んっっ」

見事に艶っぽい声をあげる。

実は彩希は耳が弱点だ。

この事を知っているのは、当人以外は恐らく俺だけ。

「ほら、離れないと‥」

“ふ~~~”

「あっ、やっ、あきら、そこっ」

ピクピクの身体を震わせる。

俺は構わず更に息を吹きかけた。


数分後、彩希は畳にくったりと倒れ、微かな寝息を立てていた。

「勝った」

俺は嘆息する。

もちろん彩希に、ではない。

自分の情動に、だ。


寝息を立て始めた彩希を起こさない様に注意しながら、立ち上がる。

机の上に置いた、あの小箱を手に取る。

何故か他人に見せてはいけない物のような気がする。特に彩希には。

小箱を引き出しに仕舞い安堵した時、外からの爆発音が響いた。


“ドッカーン”


慌てて窓を開け音の方を見ると、黒い煙が上がっていた。

ガス爆発だろうか?

煙の下から、チラチラと炎が見えた。

嫌な予感がした。

原因を確かめないと、取り返しの付かないことになる。

不意に湧いたその想いに突き動かされ、俺は爆発点に向う事にした。


結局毎日更新してますね‥もう少し寝かせて、吟味した方が良いのかな‥。

でも寝かせれば良くなるとは限らないんですよねぇ(汗)

ご意見、ご感想お待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ