第6話 大事な話(※ミシェン視点)
ミシェンの視点です。
読みにくくて申し訳ありません。
内容はギレイが「自分はミシェンの親ではなく、彼女を、拾って育てていたこと」を打ち明けた話となっています。
「ミシェン。今度、大事な話がある」
とギレーに言われてから三か月けいか。
「ミシェン。大事な話をする準備が出来た」
とある朝。ギレーによばれました。
むかいあって私がイスに座ると、ギレーはいろんなことを説明してくれました。
私にはお父さんとお母さんはいないこと。
森にいた私をギレーが見つけてくれたこと。
私を育ててくれていたこと。
私がちゃんと理解できるまで何度も説明してくれました。
このお話をする前はギレーも色んなことを考えているみたいでした。ギレーはとても頭が良い人なのですが、どんな風に話すか随分と悩んでいるみたいでした。
私はちゃんとギレーが言っていたことを理解できたのでしょうか?
……分かりません。
私の家はほかの人の家とちがうってことはなんとなく気づいていました。私とギレーはぜんぜんにていませんし、ギレーは自分のことを「お父さん」とは呼ばせません。
だからおどろきませんでした。
……ただ。
ギレーとはいつまで一緒に暮らせるのだろうか。
とこわくなりました。
「ギレーはずっと一緒にいてくれますよね?」
私が尋ねるとギレーは固まってしまいました。
……ああ。ずっと一緒にいることはできないんだ、と分かってしまいました。
…………。
私はベッドの上で目を覚ましました。いつの間にか眠ってしまいました。
ギレーと一緒にいることができないのが悲しくて、子供みたいにワンワン泣いてしまいました。それから泣き疲れて寝てしまったのでしょう、私は私をそうブンセキします。
ブンセキとカンサツ。ギレーはよく周りをカンサツしているので私もマネします。
私はベッドの側のイスにギレーが座っているのに気づきました。
彼はすぐに私に気がついて、私にこう言いました。
「ミシェン。私はずっと一緒に暮らすことはできない。しかしそれは君のことを疎ましく……嫌いになったからではない。いつか別れが来るが今すぐでもない。君が大人になるまで、準備が出来るまでは一緒にいよう」
私が「本当?」と言うと、
「本当だ」
と言ってくれました。
ギレーは嘘を言いません。
私も頷きました。
まだ本当は。ぜんぜん悲しくて仕方がなかったけれど。
悲しいのが本当になくなるのかも分からなかったけれど。
今はギレーがいてくれてよかったって嬉しい気持ちもありました。
もうすっかりお外は暗くなっていて眠る時間でした。私もまた眠くなりました。
ギレーは私が眠るまで側にいてくれました。私がなかなか眠れない時はいつもギレ-が側にいてくれます。
ギレーがいてくれて本当に嬉しいと思います。
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その日、夢を見ました。
たまに見る夢です。
私は私の家にいます。けれどギレーが見当たりません。家の中はとても散らかっています。家具はめちゃくちゃに壊されていました。
怖い。
不安でたまらなくなります。
ギレーの声が部屋の奥から聞こえてきました。
でも近づくのが怖いのです。いつもなら安心する筈の声が別のモノに聞こえます。
私はそれでも声の方に近づきます。
一歩、また一歩。
ギレーを見つけました。
けれど彼の姿は変わっていました。
全身が真っ黒な毛皮に覆われて顔はオオカミになっています。手にはおっきなツメも映えていました。
彼は私を見ました。
目はギラギラと輝いていて……私は……
私はそこで目を覚ました。
夢でした。
けど体が痺れて、汗も止まりません。
私は急いで起きます。もうとっくに朝になっていました。
リビングにつきます。
「おはよう。早いな」
ギレーはちゃんといました。
私がよく知るギレーの姿です。
なんだか安心して泣きそうになります。
「うん。おはようございます」
私は彼に朝のあいさつをします。
……いつも通りの日常です。
……たまに彼が『化け物』になる夢を見る。
たまに彼が自分とぜんぜん違う生き物みたいに見える時がある。
けど私は……ギレーを信じています。