第16話 関係性の再構築
再開します。
またタイトルを変更しました。
よろしくお願いします。
私が暴走したことにより、ミシェンとの生活はもう終わるべきものだと私は考えていた。
しかし、まだ結論を付けるには早すぎると、教会で泣いているミシェンを見て悟った。
最終的に同じ結論――私がミシェンから離れるという結論に行き着くにしろ、まだまだ言葉を尽くして話し合う必要がある。
何より優先すべきはミシェンの感情であり、私はそれを蔑ろにしていた。
私とミシェンは『私たちは今後どのように暮らすのか』話し合うことになった。
事情を把握しているシスターが第三者として間に入ってもらった。
話し合いは数日かけて、時間をかけて行うことを心がけた。ミシェンは一時的に教会で暮らすことになり、話し合いの時にはシスターの立ち会いのもと行われた。時にはミシェンとシスターのみの話し合いも行った。
……今回起きた問題についての対処方法として適切な方法かどうかは分からない。しかし他に選べる方法もない。
ミシェンの幸福が何より大切である、ということを念頭に置いた上でやるしかないのだ。
1.私の立場について
最初に私の意見を表明した。
「まず私の今の気持ちについてだ。
暴走して君に暴力を振るいかけた私が言えた義理ではないが……ミシェン。私は君を愛している。もちろん『愛情』という感情は私が振るおうとした暴力を肯定するものではないし、君が私と再び暮らすことを強制するものではない。
愛しているからこそ――君が幸福であることが何よりも大切だと思う。
もし仮に君が私と再び一緒に暮らしてくれるのなら、私はそれを嬉しく思う。
君が自分の幸せのために私と離れて暮らすことを選ぶのなら、それを嬉しく思う。
ミシェン。君の選択を尊重する。
例えば、もう一度一緒に暮らすことを選んでくれた後、『やっぱり離れて暮らしたい』と改めて選択することも問題ない。
君の意思や感情を優先して構わない。
君が自分自身のことを大切に思って選択してくれることが、私にとって嬉しいことなんだ。
そして選んだ選択肢に対して私は援助もしよう。金銭的な援助に限らず、必ず君の助けになる。
勿論、私の助けを君が望む場合に限る。その場合はシスターを頼って欲しい」
2.ギレイの暴走の危険性について
「現在、私に仕掛けられた暴走魔法の仕掛けは解除されている。
私に仕掛けられた魔法はもうないが、それで安心できるかどうかは別の話だろう。
もし――仮に私が再び暴走し、ミシェンや周囲の人間に危害を加えることがあった場合――シスターによる魔法が発動することにした」
3.ギレイが暴走した。もしくは人間に危害を加えた場合への対処。
シスターは以下のように語った。
「私の不死鳥は『誓約』という魔法を扱うことができます。
規則を取り決めて、その規則を破った者には罰を与える魔法です。
対象者はギレイさん。
規則は『ミシェンさんを始めとして人間に危害を加えてはならない』。
規則を破ろうとした瞬間に不死鳥による炎がギレイさんを襲います。
……ええ。規則は『人間に危害を加えてはならない』とさせていただきました。ギレイさんが改めて人間の社会で生きていくために必要な処置だと判断しました」
4.上記の内容を踏まえて、改めて私はこれからどうするつもりなのか?
私は以下のように語った。
「ミシェン。私には君の側で――人間の社会で生きていくという認識が足りていなかった。
私も決心した。
私は人間の側に立つ。そのために努力もして、認識も改善できるよう努める」
上記の通り、私はミシェンに自分の立場を説明した。
ミシェンは「まだ自分の意見がまとまらない」と言った。
彼女が自分の意見をまとめるための時間を取ることにした。その間ミシェンは教会に住み、時折シスターと二人きりで話し込んでいたらしい。
私も自分の体を改めて調べてみたり、『今後』のための準備を進めていた。
一ヶ月後。
「意見がまとまった」とミシェンに呼び出され、私は教会へと出向いた。
ありがとうございました。




