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第5話 嘘吐きだらけ


「それでは1次試験を開始します。クリア条件は『先程の披露宴会場へ戻ってくる』こと。」


ボサボサ頭がすぐに立ち上がり、ドアノブをガチャガチャと捻る。

「おーい、鍵が掛かってるぞ。」

「ええ、遠隔操作でこちらから施錠させていただきました。」

天井のスピーカーから司会者が答える。こっちの音声や映像も届いてるってことか。


「扉の解錠条件は、『皆さんのデザイアを明かすこと』。部屋を出るために壁や窓、扉を壊した時点で失格といたします。期限は今日の昼12時までです。」


「あと30分しかないじゃない。」

とゴスロリ少女。壁掛け時計は昼の11時半を指している。


「それではスタートです。」

部屋中に緊張が流れる。

だが、俺は逆に安堵していた。

これはラッキーだ。俺の【解除】なら簡単にクリアできる。

能力を察せられてしまうが、どうせ話さなければクリアできないのだから結局同じことだ。


いや待てよ、それだけじゃダメだ。皆のデザイアを聞けば、2次試験以降俺の能力で対策することもできる。ここで黙っておき、1番最後に俺の能力を明かせば、全員分【解除】の条件を満たせる。下手に先に俺の能力を明かしてしまってはその時点で部屋を出ることになりかねない。よし、やっぱり俺は冴えてるぜ。


しかし、能力を明かすなんてこと誰が積極的に行うだろうか。能力の情報がどれほど大事か、誰でも認識していることだ。


そんな俺の思考とは裏腹に、シャルルが口を開いた。


「…じゃあ仕方ないね、僕はシャルル。能力は、人を意のままに操る能力さ。条件は操りたい人と握手をすること。」

いや、何言ってるんだこの男は。そんな簡単に明かしたら誰も握手してくれなくなるぞ。


ん、ちょっと待てよ…握手って。


やばい! 俺、シャルルと会った時にしちゃってるじゃねーか!


迂闊だった。既に脱落競走(サバイバル)は始まっていたんだ。


焦る俺をよそに、他の3人も口々に話し始めた。

「俺はジャン。俺のデザイアはさっき皆に言った通りだ。俺の能力がたくさんの人に知られれば知られた分だけ俺は強くなるぜ。」

とボサボサ頭。

「私の名前はリリス。悪魔を使役してるわ。条件は悪魔の好物をあげることよ。」

とゴスロリ少女。

「能力は雷。条件は天気が雷雨であること。名を名乗るつもりはない。」

と長髪眼鏡男。


待て待てどういうことだ。なんで皆、簡単に能力をバラす。

「さ、次はお前の番だぞ。」


俺は戸惑いながらも話す。

「お、俺はライト。能力は【解除】。能力の詳細を把握した相手を見ることでデザイアの発動を解除できる。あとは閉まった扉を解除したりできる。」


「へぇ今回のにピッタリじゃん。」

とゴスロリ少女、リリスが笑いながら言う。


「じゃあライト君、扉を開けてくれるかい? ただし()()()()()()()使()()()()。」


なんでわざわざと思ったが、シャルルに言われるがまま、扉に近づきドアノブを捻る。

「あれ? 開かない。」


「やっぱりか、これで2つわかったね。1つは僕たちの中に嘘吐きがいること。もう1つは(それ)を判断できるやつがカメラの向こう(主催ギルド)側にいるってことがね。」




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