第4話 一般選抜試験開始!
「これより我々のギルド《古の恋心》の精鋭と合同で古代都市ランドトロイアを攻略して頂ける方を選抜致します。試験は全部で3つございます。合格者の人数は決まっておりません。
何か質問はございますでしょうか。
…ではそこのお嬢さん。」
黒いゴスロリ服を着た少女が話し出した。
「ランドトロイアをクリアしたとき、誰がアナザーデザイアをもらえるのよ。取れるのはクリア1回につき1人までなんでしょ。あんたら応募要項にも書いてないし。」
「それは失礼いたしました。アナザーデザイアは合格者の中で、この人が最も攻略に貢献したと我々が判断した方に差し上げます。要項に掲載しなかったのは、邪な者達を寄せ付けないためです。」
「他になにか質問のある方はいらっしゃいますか。では奥のお兄さん。」
壁際に柄の悪い大男がいた。邪な奴来てるじゃないかと思ったが、口には出さない。
「あんたたちの目的はなんだ。ランドトロイアの入場条件は知ってるが、こんな俺らみたいな不確定要素と死ぬかもしれない場所に向かうなんて正気とは思えねーな。それにアナザーデザイアもこっちにくれるだなんてな。何を隠してる。」
「フフッ、ご存じのように、ランドトロイアの入場条件は『50人以上同時に遺跡に入ること』です。単に人員不足なだけですよ。」
仮面の司会者は不気味に微笑む。
明らかに含みのある言い方に柄の悪い男は不満そうだった。
「では質問はこのくらいにして、1次試験の説明をー」
そのとき壇上に一人の男が登った、そしてマイクを奪う。
「皆聞いてくれ! 俺のデザイアは【身体強化】だ! この能力が人に知られれば知られるほど俺は強くなる!!」
マイクのハウリングとともに男の能力説明が会場に響き渡った。
司会者が睨みつける。
「…さっさと降りてもらえますか。そのボサボサ頭吹き飛ばしますよ。」
「すいませーん♪ あんたのデザイアは吹き飛ばす系ってこと?」
「今見せてもいいんですよ。」
「ひー怖い怖い♪」
…これが外の世界。
能力者達の考察、駆け引き、こういったことが日常的に行われているんだ。ボサボサ頭の男もふざけているようで着実に能力の条件を満たした。
俺も早く追いつきたい。そうでないと生き残れない。
「では、気を取り直して、1次試験の説明を始めます。この会場に入る前に渡されたナンバープレートに書かれた番号と同じ部屋にお向かいください。続きの説明はそちらで行います。」
ぞろぞろと受験者達が移動を開始した。
俺の番号は1212。
「お、ライト君と同じ部屋じゃん。」
シャルルが盗み見してきてそういった。この男も油断できない。
2人で部屋に向かうことになった。どこまでも続くような長い廊下、壁につけられた豪華な燭台が遠く奥まで見える。1フロアに何部屋あるんだよ。
そして1212号室の前についた。
ドアノブを捻り、扉を開ける。
部屋に入ると、既に3人の受験者がいた。
質問していた黒いゴスロリ少女。
デザイアを開示していたボサボサ頭。
そして、怪しい雰囲気を醸し出す、長髪眼鏡男。
俺とシャルルを合わせ、5人で小さいテーブルを囲むように着席する。
部屋にはベッドは撤去されていたが、棚や机など一般的なアンティーク調の家具があった。そして小さな窓が一つある。天井には小型の監視カメラとスピーカーが備え付けられていた。
皆一言も話さない。異様な空気が流れる。
スピーカーからさっきの司会者が話し出す。
「皆さん着席しましたね。それでは一次試験を始めます。」