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第2話 旅立ち

俺は城の右塔一階にある図書室にいた。

ただでさえ高い天井に届くくらいの大きな本棚が周り360°びっしりと取り囲む。


もちろんすぐに城を出ていくつもりだが、その前にとにかく情報が必要だ。図書室の本棚内にある隠し扉、そこにもうひとつの能力(アナザーデザイア)の秘密が隠されていると聞いたことがある。当然鍵を掛けられているが、俺にはある()()があった。



ここでデザイアについて重要なことを簡単に説明しよう。

【ルール】と【キーワード】だ。

ルールとは、デザイアを使用するための条件。

達成の難しい、厳しいルールの方が大きな力を得ることができる。

俺の【解除】のルールは、爆弾男に使ったように、〝相手の能力の把握〟と〝能力者の視認〟が必要だと推測できる。


キーワードとは、能力の根幹となるもの。キーワードの意味する範囲内であればルール次第で様々な能力を設定できる。


俺のキーワードは【解除】。だから、人の能力の発動を解除することができる。しかし、能力を人ではなく物に対して使ったら? 例えば扉の鍵が閉められた状態を解除できるのではないか。

そう思った俺は、隠し扉のある本棚の前に立つ。


【解除】!


鍵の開く音がした。

…ビンゴ!

ゆっくりと本棚を動かすと、地下へと続く階段が現れた。


ひんやりとした空気に触れる。

暗っ、初めて入るな…蝋燭持ってきて正解だった。

火を灯した燭台を手に持ち、先の見えない階段を降りていく。


降りた先は小さな図書室だった。

本の背を見ていくと、ほとんど古代語が書かれている。

古代語の勉強しといてよかったぜ…って、なんだこれ。


本棚の一番端のやけに新しい本を手に取る。

『魔人伝説 六十六ノ巻』…?

きれいなくせに古代語で書かれてるって変だな…

出版年は…6年前じゃねーか。

目次を見るとアナザーデザイアの文字。該当のページを開く。


わからない言葉もあったけど要約するとこんな感じ。

この世界にはいくつも古代遺跡が点在していて、その中で、何かを守るように仕掛けが施されているいわゆるダンジョンがある。総称して六神殿。


古代都市 ランドトロイア

闇夜の森 ライラエテルノ

海底神殿 アステルブラン

天地の塔 オールベルバベル

幻龍の霧 ガイストエッグ

希望の園 アルバトロスガーデン


これらの最深部に、アナザーデザイアがあると言われている。アナザーデザイアは神殿の踏破者によって取られても一定時間でまた復活するようだ。


よくわからないが昔は七神殿だとか八神殿だとか呼ばれていたらしい。神殿ってことは神を祀ってるってことなのか? だが本のタイトルは魔人…まだまだ謎は深い。



とりあえずランドトロイアへ向かうか。地図を見るとそこが1番近い。しかもランドトロイアとライラエテルノはすでに踏破者が何人も出ているらしく、1番情報がある。


本によると次に役割を果たすのはその2つであろうと言われているが何のことなのか。


もっと読んでいたいがここで見つかると色々と厄介だ。とりあえずこの本だけ持っていこう。


自分の部屋に戻り色々とリュックに詰め込んで、剣術訓練のとき使っていた両刃の剣を腰につけ、俺は旅に出る。






城門を出ると、母子がいた。

「助けていただいて本当ありがとうございました。 王子が私たちのためにデザイアを…本当に申し訳ございません…! なんとお詫びしたらいいか…」

涙を流して謝ってきた母親に動揺する。娘はなんで母が泣いているのか分かってない様子で心配そうに母を見つめている。

「そんな、悪いのはあの爆弾男です。」

「おうじさま、ありがとう! どこかいっちゃうの?」

「うん、ちょっとね、旅に出ようかなって。」



俺が生まれてから住んできたこの景色もこの匂いもしばらく会えないと思うと寂しくなる。


「おうじさま、がんばってね!」


頑張るさ。俺ならできる。


俺のもうひとつの能力(アナザーデザイア)を手に入れる旅が、今始まる。


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