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第15話 混沌の異空間

 ゲートを抜けた先は、綺麗な教会だった。向こうの世界と同様に、主祭壇の場所にゲートは位置している。


 いや…この細かい装飾は…あのボロボロの教会と同じものか。


 先に行った他の人達は既に教会の外へ出ているのか、外から驚きの声が聞こえてきた。

 俺たちも出てみる。


 そこから見る景色は…向こうの世界のものとは全く違うものだった。


 何件も家が立ち並び、レンガで舗装された道、街灯、向こうに見えるのは恐らく商店街。さらにその奥には高い塔と城壁が見える。


 ステラが話し出した。

「ここは、ランドトロイアが栄えていた時代を再現したものだ。恐らくな。」

「再現? タイムスリップしたとかじゃなくてか?」

 ジャンがタメ口で聞く。

「根拠としては、まず人がいない。そして、太陽の位置は全く動かないんだ。」


 確かに、街は明らかに栄えているのに人が俺たち以外に誰もいないというのも不気味だ。


「ステラ隊長!私で49人目であります!」

 部下の男が報告してきた。ギルド側で人数調整をして、〝混沌の異空間〟が発動するのを調整しているのか。

「よし、皆聞いてくれ。これよりランドトロイア攻略を開始する。まずはこの異空間で生き延びろ、昨日話したように、もし逃げ出したくなったら教会内へと入れ、第一の部屋終了時まで生き残っていれば、現実世界へと帰れる。もう二度とランドトロイア(ここ)へは入れなくなるがな。さぁまずは散り散りになるんだ!」


 そう、混沌の異空間から飛んでくるギミックは人を目掛けて飛んでくるらしく、人と人の間はある程度の距離を取らなければ巻き込み事故的に被害が出るようだ。



 そのとき、遠くに見えていた山の方から、何本もの光線が空へ向かって放たれたのが見えた。光線は空中で曲がりこちらへと凄い勢いで向かってくる。


 その空を切る音は刃を研いでいる時のように鋭い。


 俺を含め皆、逃げるように散らばっていった。だが1人、その場から動かないものがいた。ステラ=メルメダルだ。


 教会から離れながら、俺は振り返る。


 ステラは迎撃体制に入っていた。神々しく輝く光の球を創り出し、とてつもない気を放っている。それに気づいているかのように光線群はステラに全て吸い寄せられていく。




「久しぶりだな。ランドトロイア。私はもう負けない。負けられない理由がある…‼︎」


閃光の(シャイニング)戦姫(ヴァルキリー)】‼︎


 彼女の周りに浮かぶ無数の光のエネルギー球が、一気に光線となって放たれ、光線と光線で相殺する。その音と衝撃はこの空間にいる者全てに届くぐらい大きなものだった。



 これを皮切りに、遠くの空からあらゆるものが飛んできているのが見えた。岩石、サーベル、炎の塊、(いかづち)、竜の石像、そして、四足歩行の動物…図鑑で見たことがある…確かあれはサイだったか。

 そして次々に街を破壊しながら地面に落ちてくる。


 …なんだこれは…やばすぎる。


 と思った矢先、横から何かに吹き飛ばされた。衝撃と共に宙空に浮く。目に入ってきたのは家よりも大きい人型の黒い何か。例えるなら悪魔だ。あれに蹴り飛ばされたようだった。


 まさに混沌。


 俺の解除(デザイア)じゃ抵抗することも逃げることもできない。もっとできることがあれば…


 いやとにかく生き残るんだ。

 なんとか立ち上がり、近くの家屋に逃げ込む。


 安心したのも束の間、大きな音を立てながら屋根を突き破り岩が降ってくる。


 あっぶね…!


 ギリギリで躱すも玄関の方から、竜の石像がまるで命が吹き込まれているかのようにその身体をうねらせながら突撃してきた。

 体制が崩された俺は避けることができない…!


 駄目だ…ぶつかる…!


 …【固定・(フィクスト・)(アームド)


 竜の石像は俺にぶつかって砕けるも、俺にダメージはない。

 そして俺の体はピクリともしない…このデザイアは!


「1次試験で俺を突破した褒美だ。ライト。」

 という声とともに固定が解かれた。


 見覚えのある長髪眼鏡、確か名前は…

「フィクサー!」



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