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第14話 突入!!!

 

 翌朝、誰かがシャワーを浴びる音で目を覚ました。


 歯を磨こうと洗面所に向かうとジャンがいた。

「お、おはよー。」


 …思い出した。昨晩あのまま寝てしまったジャンをいくら起こしても起きることはなかったのでそのままにするしかなかったのだ。いや起きたんだったら自分の部屋に帰れよ、何シャワー浴びてんだよ。


「あれライト、目のクマがひどいぞ。やっぱ緊張して寝れなかったのか?」

 茶化すように聞いてきた。

「まぁそんなところ…早く集合場所へ向かおう。」

「よっしゃ今日は頑張ろうぜ! 皆でアナザーデザイアとろうや!」

 昨日の“ライバル同士”の発言を忘れているのか?正直俺はあの発言の方が心に刺さって眠れなかったというのに。


 支度を済ませ、1階のロビーへ向かい、案内に従って外へ出る。すでに何人も人が集まっており、特に長髪眼鏡(フィクサー)を始めとする《槍星の探索者達(ランスシーカー)》の精鋭たちは紺色をベースとし、黄色のラインが入った隊服を着ていて歴戦の佇まいだ。

 バスと呼ばれている巨大な鉄の長方形に受験者もギルドの人たちも全員乗り込んだ。バスもそうだが、俺の国(ベルニア)では見たことないものが沢山あって面白い。俺が王になったら導入したいものばかりだ。


 窓から見える景色を次々を置き去りにしていく。馬車の何倍も速いそのスピードに少しビビりながら、徐々にランドトロイアに近づいていった。


 そしておよそ1時間後、イージアン市郊外のカレッチャというところについた。温かい風が土の匂いを運んでくる。あたりは、粗く舗装された道路と1つの建造物を除いて砂や瓦礫しかなかった。遠くの方に森が見え、振り返るとイージアン都市部の超高層ビル群がぼんやりと見える。


「皆、注目してくれ。ここが古代都市ランドトロイア。およそ800年前に滅びた都市で、我々が中心となって研究を行っている。」

 ギルド《槍星の探索者達(ランスシーカー)》の、おそらく隊長であろう装飾のついた隊服を着たステラ=メルメダルが話し出した。彼女の金髪が風に揺られる。

「そしてあそこに見えるのが、ランドトロイアのダンジョンの(ゲート)、クレセント教会だ。不思議とこの教会のみが何百年間も壊れずに唯一残っている。」


 皆で歩いて教会へ向かう。近づいていく度に緊張は高まっていき、誰も口を開かなかった。

 大きな石造りの教会。屋根や柱はボロボロで今にも崩れそうだ。しかし誰かが手入れをしているのか雑草などは生え散らかっておらず、入口に位置している謎の男の石像も綺麗だった。周辺には、建物の跡地であろう瓦礫がいくつも見られ、ここを中心に発展していたことがわかる。


 ステラの部下の男たちが重そうなドアを開ける。中に入ると奥の壁の上部にある巨大な穴が目に入った。かつてはそこにステンドグラスが嵌っていたのだろう。周りには細かい装飾が施されていた。何百年も前にこんな技術があったとは信じられない。


 横の方には、3枚の不気味な壁画があった。

 1枚目は、白い宝石のようなものを手にしている1人の男を人々が崇めている様子。

 2枚目は、人々が1人ひとつずつ白い宝石を手にしている。

 そして少し離れた位置に3枚目があり、建物が崩れた街が描かれている。

 2枚目と3枚目の間が壊れている。最後のは4枚目で、もう1枚壁画があったのだろう。


 ランドトロイアはどうして滅んでしまったのだろう。


 教会内にほとんどの人が入った時、主祭壇に禍々しいオーラを纏ったゲートが出現した。ゲートが放つ紫色の光が教会内を淡く照らす。

「いいか、このゲートの先がダンジョンだ。この先はもう第一の部屋〝混沌の異空間〟。50人目が突入した時点でゲートの向こうからこちらに戻ってくることは不可能になり、ダンジョンでは〝混沌の異空間〟の仕掛けが発動する。我々でさえ突破するのに苦戦する、つまり君たちに構っている余裕はない、1人ひとりがギミックを回避して生き残れ。

 では私について来い。幸運を祈る。」

 そういってステラは紫の門の中へと消えた。


 次々と門の中に入っていく人たち。

 俺はまだその足を踏み出せずにいた。

「何?あんたビビってんの?」

 とリリス。

「意外だね、ライト君が。」

 とシャルル。

「いやー俺も正直怖いね。でも行かないといけない理由があるんだろ。」

 とジャン。


 そうだ、怖気づいてる場合じゃない。俺は俺のために頑張るんだ。

 俺ならできる。


 そうして、ゲートへと足を踏み出した。

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