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現実改変能力 豊穣さやかのケース②
私は普通に結婚して、子供が欲しかった。
だけれども、子供が産めない体だった。
不妊治療もした。大変な治療も行った。自分の体が妊娠できないという現実を認めたくなくて、親にも彼にもきつくあたってしまった。
平凡な幸せ。
結婚して子供を作ることもわたしにはできないのだと、幸せにはなれないのだということを知って泣いた。絶望した。
自殺したかったけれど、親や彼の助けもあって、現実を受け止め、仕事を生き甲斐として生きた。
でも、妊娠できなかったことは心のどこかでしこりとなっていた。
だから、私が望んだのは「人間は妊娠しないで良く、機械が妊娠代行してくれる世界」だった。