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#98.VS鷲眼の術~翔太朗、仕返しの時、その1~


 長治は僕に向かって歩み寄る。僕に向かって歩を進めるたび、小走りになっていく。

 忍具、クナイを取り出して、長治は僕に投げる。


 「『鷲眼の術(イーグル=アイ)』」

 術を発動し、長治のクナイをかわしていく。


 「まさか、『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』同士の一族とこうして刃を交えるときが来るとは思わなかったぞ。これならどうなる、龍太朗。」

 長治も、『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』を発動する。

 先ほどより速いスピードでクナイを投げてきた。


 短剣を取り出して、はじき返す。

 

 「ふ、さすがは、上忍に一気に駆け上がっただけの腕はある。だが、敵の本拠地にまんまと乗り込むバカだったとはな。それだと、上忍という肩書が泣くぞ。」

 長治は僕をあざ笑うように言った。


  『鷲眼の術(イーグル=アイ)』同士の対決だ。気を抜けない。

気を抜けないが、僕は今、気持ちの高鳴りが抑えられない。

 僕を捨てた元家族に仕返しをするチャンスなんだ。一気に行くぞ。

 

 

 ミランダ達も僕の戦いを見て、加勢しようとしている。

 長治に向かって弓矢を放つが。

 ミランダ達の弓矢は、突如現れた、サソリの尻尾によって弾かれた。


 「忍法口寄せ。」

 サングラス男はそう言って、サソリを口寄せ(召喚)した。


 「鳳寅丸(おおとりとらまる)。【砂ノ精神】のサブリーダー。お前たちの相手はこの私だ。一族同士の殺し合いのショー、たっぷり楽しまないと損ですよ。」

 そういって、サングラス男、寅丸は、サソリを何体か口寄せして、ミランダ、カミラさん、双子のエルフのエミリア、エレノア、ジョン、そして、シロンとユキナ、ワシ之信の相手をする。


 「気をつけろよ。サソリの尻尾は毒があるぞ、あれに刺されたら、致命傷だからな。」

 ワシ之信が言った。


 ミランダ達は寅丸の相手をすることになった。

 エミリア、エレノアがサソリの目を狙い弓矢を放つが、尻尾ではじかれてしまう。


 「ほらほら、よそ見をするな。龍太朗、儂が相手だと言っている。」

 長治は、一気に僕のところまで歩み寄りクナイを振る。そして。


 「火遁、『火竜弾』」

 炎を吐いて、僕に襲いかかる。

 「風遁、『竜巻』」

 一気に竜巻が吹き荒れる。風の吉田一族、さすがの威力だ。


 「どうした龍太朗、風の吉田一族のくせに、もろに食らいやがって、これは楽勝だな。」

 長治は一気にたたみこもうとしている。



 「もう、もう、やめて。」

 その時、八重は泣きながら大きな声で叫ぶ。

 「私は、里に帰っても、両親から叱られる日々なの、今日このことも両親が知って、里に戻れば大きな迷惑をかけたと思う。だから、いいの、早く、早く、行かせて、トン吉様や、翔太朗君の元に。私は、死んで構わないのよ。」


 八重はあきらめかけた表情をする。こちらが劣勢なのに対して。


 「そんなことはない。僕は言った。八重は大切な仲間だって。忘れたことは一日もない。」

 僕は大声で叫んだ。


 そして、魔法陣を出して、長治に攻撃する。

 『ウォーターサイクロン』で。

 長治は吹き飛ばされる。


 その時、八重の目は見開いている。何かを思い出そうとしている。


 「お、お前その戦い方、どこで。どうやって。」

 吹き飛ばされた長治は戸惑っている。

 光り輝く、魔法陣を出して戦うところを初めて見たのだ。


 「お、おのれ、こうなったら。」

 長治はにやりと笑った。そして、寅丸の方を見た。


 僕の肩に痛みが伴う。チクッと刺さるような痛みをさらに強化した痛み。

 それと同時に強烈な激痛と痺れが走り、その場に倒れこむ。


 寅丸の召喚したサソリの尻尾に刺されてしまったようだ。


 「油断したな、龍太朗。何も寅丸は君の仲間の相手をしていたわけではないわ。こうしてお前にも手が出せるようにしておいたんだよ。甘かったな。お前を倒すにはどんな戦法でもやるさ。」


 長治の声が聞こえる。

 その声を遮るように僕は、叫ぼうとするが力は入らない。


 「八重・・・・・。八重・・・・・・・。死んじゃだめだ。生きたいというんだ。八重は僕が連れて帰るんだ。一緒に帰るんだ、仲間のもとに・・・・・・。八重は、大切な仲間だから・・・・・・・。初めての・・・・・。里の・・・・・。」


 僕は、意識を失った。




 「しょ、翔太朗様!!」

 「翔太朗!!」

 「「ご主人様!!」」

 ミランダ、ワシ之信、そして、シロンとユキナが叫ぶ。


 カミラさんが駆け寄り、僕を抱きかかえる。

 「翔太朗殿、しっかりするんだ、翔太朗殿。」


 「回復魔法ができるのは翔太朗殿しかいない。」

 カミラさんがあたりを見回す。

 「エルフのポーションであれば、少しだけなら。」

 エミリアとエレノアがエルフ特性のポーションを取り出して、カミラさんに渡す。

 

 「飲むんだ、翔太朗。すぐに楽になる。」

 カミラさんが口に含ませる。

 僕は意識を失っているが、少しだけ、ほんの少しだけ、ポーションの味を感じる。



 その様子を血相を変えて、長治は見ていた。

 八重も表情が変わっている。



 「しょ、翔太朗だって。そんな、バカな。死んだんじゃ。」

 長治は驚いた表情で、ミランダ達を見る。






 バーン!!その時だった。

 「親父、大変だ。」

 「父上、大変です。」

 二人の男女が血相を変えてやってきた。


 「「翔太朗が生きている可能性が高いです。」」

 そこへやってきたのは、長治の息子と娘、喜助と治美だった。つまり、翔太朗の従兄に当たる。

 そして、喜助と治美は、カミラさんが抱いている、翔太朗を見て、血相を変えた。


 その喜助と治美を追って、ルーベルトとアンソニー、ルカとマリア、それにリリアンがやってきた。

 同じ学級の仲間も、倒れている翔太朗を見て、血相を変える。


 「しょ、翔太朗君、そんな。」

 ルーベルトが叫ぶ。

 「「翔太朗君、返事をするんだ!!」」

 ルカと、アンソニーが叫ぶ。


 


 時は、少し前にさかのぼる。

 順調に突入を続けている、アルベルトさんたちの部隊。

 アルベルトさんたちの部隊に、突入部隊が押されているとわかると、喜助と治美が颯爽とアルベルトさんの前に立ちはだかった。


 「我ら、砂ノ精神より雇われた、那ノ国、風ノ里の忍。吉田喜助。」

 「同じく吉田晴美。侵入者よ、我ら兄妹にこの『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』がある限りここは通さん。」


 そう勢いよく名乗って、アルベルトさんたちの隊列に突っ込んできた。


 二人に応戦したのは、防御魔法の使える、アンソニーとマリアだった。

 だが、彼らは、『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』になれていた。翔太朗とともに戦ったからである。

 『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』を持っていても、互角に戦える。


 「なぜだ、なぜこんなに『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』になれている。これを見たのは初めてではないのか、異邦人の侵入者ども。」

 喜助は、少し疑問に思った。今まで、『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』を披露すると、一瞬で喜助や晴美たちが優勢になる勢いなのに、アルベルトさんの部隊が、この動き方に少しではあるが慣れている。



 アルベルトさんが、仁王立ちして喜助と治美の攻撃を、アンソニーとマリアとともに迎え撃つ。

 「教えてあげるよ。君たち吉田といったね。つまり、翔太朗君の親戚か何かだろう。」

 アルベルトさんの言葉に動揺する。


 「しょ、翔太朗だって。」

 「翔太朗は、死んだんじゃ。」

 喜助と治美は、動揺している。


 「ああ、君たち一族が捨てたみたいだね。彼は生きているよ。僕たちセントアリア国民が引き取ったんだ。翔太朗君の今までの気持ち、お前たちの恨み、翔太朗君に変わって、百万倍で返してやる!!」


 アルベルトさんの号令の下、マリア、アンソニーは一気に攻め込む。

 喜助と治美は動揺しきっている様子で、この隙を突かれ、あっという間に劣勢になってしまう。


 「治美、とにかく父上に報告だ。」

 喜助の言葉に治美は頷き、すぐさま、砂ノ精神の塔に、引き上げた。


 「翔太朗君と同じ学級の皆、あいつらを追って、塔を駆けあがり、翔太朗君と合流してくれ、俺たちとボーラン士官学校のみんなで、道を作る。」

 アルベルトさんの指示で、アンソニー達、セディア魔道学院のメンバーは一気に塔を駆けあがったのだった。

 

 そして、ここに至る。



 長治、喜助、治美の3人はカミラさんに抱えられている、翔太朗を見つめる。

 「こ、こいつが翔太朗。生きていやがっただと・・・・・・・。」

 長治が口を開く。


 「おのれ、兄上と龍太朗、しくじりやがったな。一族の恥さらしとして、捨てて殺す計画をするのはわかるが、最後まで抜かり追って、こうなったら叔父であるこの俺が・・・・・・。」


 長治がクナイを持ち腕を振り上げた瞬間、氷の矢が長治の腕に命中。


 「いい加減にしなさい!!」

 ミランダが叫ぶ。

 「私は、いいえ、ここにいる、私たちはあなたたちを絶対に許しません。優しくて、いろいろな回復の魔法が使えて、多くの魔力の才能のあふれる、素晴らしい人を最悪の方法で、見捨てるなんて。翔太朗様の気持ちを考えたことはありますか。許しません、絶対に、絶対に、私はあなたたちを今ここで、始末します。」

 ミランダが、一息で言った。


 「ご主人様をこんな形で踏みにじるなんて、意味わかんない。あたしのご主人様の仇。」

 シロンは変身を解いて、ホワイトイーグルの姿になる。

 「私も、絶対に許しません、優しくて、素敵なご主人様を見捨てるなんて、私も一緒に、ここで。」

 ユキナも目に炎を宿しながらホワイトイーグルの姿になる。



 「そ、そんなバカな。純白の鷲だと。」

 長治が呆然としている。当然だ。ホワイト―グルはこの大陸では見かけない。

 「翔太朗が、口寄せ契約をしやがった。那ノ国ではめったに見ない、純白の大きな鷲と。」

 「しかも、双子の鷲だなんて。そして、『鷲眼の術(しゅうがんのじゅつ)』も会得しているなんて、あなたたち一体。」

 喜助、治美も呆然としている。



 「お前たち、もうあきらめろ、少なくとも儂もここで、翔太朗とともに最後まで戦うのが本望じゃ。」

 ワシ之信も変身を解く。


 「き、貴様はあのくそじじいの。」

 長治がワシ之信の姿を見て驚く。

 「おのれ、おのれ。」

 長治は気が狂ったかのように、武器を振り回すが。

 マリアの結界魔法で、弾かれてしまう。


 「私だって、許さない。あなたたちをここで倒すまでは帰らない。」

 マリアの低い声が響き渡る。


 「君たち、里の貴族なんだろ、だったら弱い人間のことも考えるのが最善のことだ、見捨てるなんて、あまりにもひどすぎる、僕たちの仲間をこんな目に合わせたのを後悔するといい。」

 ルーベルトも長治達に怒りの目を向けている。


 「うん、騎士として、国を守る人として、最低だね。そんな人は僕が一から鍛えなおす、覚悟しろ!!」

 ルカも剣をる。


 リリアンはカミラさんの元に駆け寄り、翔太朗を渡し、治癒術をかけている。

 「私は、懸命に治癒術をかける。何千回も何万回も、それだけ大切な人だから。大好きだから。そんな大好きな人を見捨てた人は許さない。」


 「そういうことだよ、お前ら。俺だって戦うぞ、力の限り戦うぞ。」

 アンソニーの勢いが止まらない。


 「ごちゃごちゃ、うるさい、黙れ、黙れ。黙れ!!一族の方針に合わない奴はごみなんだよ、そんなごみ俺が捨ててやるよ。おい、行くぞ。兄上のミスを今俺が取り返す。行くぞ。」

 長治達が襲い掛かってくる。

 そして、それに応じて、寅丸、合流した、喜助と治美も翔太朗めがけて襲いかかるが、学級の仲間が必死に応戦する。


 「翔太朗様は・・・・・・。」

 「「「翔太朗君は・・・・・・・。」」」


 「「「「絶対に渡さない。」」」」



 八重は翔太朗と、その仲間たちの動作に涙を大粒の涙をこぼしている。


 「八重様、聞こえていますか。私は、翔太朗君とこのメンバーをサポートしている、カミラです。翔太朗殿はあなたのために全力で戦いました。翔太朗殿は無事です。死んでなんかいません。捨てられたところを私たちが拾ったのです。そして、海を越え、セントアリア王国で、魔法の勉強をして強くなりました。

 私たちは、那ノ国の忍者なんかではありません。あなたのことも翔太朗殿から聞いています。あなたの居場所は那ノ国ではないのです。私たちはあなたをセントアリアに連れて、翔太朗殿と一緒にまた、過ごさせてあげたい。」


 カミラさんは、八重の方向を向いて、そして、魔道学院のメンバーの応戦をサポートしながら言った。


 「なぜなら、あなたは。」

 カミラさんが一息入れた。


 「あなたは、八重様は、あなたの本当の母親と、セントアリア王子との間にできた娘だからです。だから敵対する、この砂ノ国に狙われたのです。あなたは、セントアリア王国の唯一の王位継承者。希望を持ってください。さあ、翔太朗殿と一緒に生きたいと。翔太朗殿に届くように。」



 「おのれ、女ぁぁぁぁ。よくも、この赤髪の女の秘密を暴きやがったな。お前ら、そんな気絶している男を狙うのではなく、こいつから始末しろ!!長治、お前は八重を始末しろ、とりあえずは、その気絶している少年が那ノ国の忍びではないこともわかった。その代わり、後で話は聞かせてもらうぞ。」

 気が狂ったかのように、八重を捕らえていた、リーダー格の男が叫ぶ。


 「翔太朗君・・・・・・・。」

 八重がつぶやく。

 「あ?どうした。もう気絶してどうなるかわかんねーぞ。一緒に送ってやるよ。」

 リーダー格の男は八重に向かって叫ぶ。


 「生きてて、本当に良かった。ありがとう・・・・・・・。」

 八重は涙を流す。


 「私は、生きたい。希望を持ちたい。未来を見たい。私を認めてくれた翔太朗君と一緒に、未来を生きたい。」

 八重は叫んだ、八重は声がかれるくらいの声で叫んだ。そして声を上げて泣いた。


 「うるせぇ!ごちゃごちゃごちゃごちゃ言いやがって。こうなったら俺様が・・・・・・・。」


 バシャ―ン!!

 後ろの泉の水が突如暴れだした。今までは壁からちょろちょろと下に落ちていたのだが、ここに来て急に大きな滝のように、流れ出し、リーダー格の男を水が飲みこんだ。


 大きな、大きな水の魔法陣が現れていた。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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