#96.予告のチラシ
もう一度作戦を立て直し、今度は地上に降りてみることにした。
偵察任務は先ほどのメンバー。僕と、マイコフさん、マリア、サファイア、シロンとユキナ、ワシ之信。
今度は万が一に備えて、何かあった場合、信号弾を上げるように指示があった。
魔法で、花火を打ち上げれば来てくれるそうだ。
アルベルトさんたちも、花火の見える位置で待機してくれているという。
そして今度は、顔を隠せるように、髪の毛をフードで覆うような服を身に着けた。
マリアの結界魔法で、再び姿を見えなくし、町の上空へ飛んで、そのまま、町の道路に着陸した。
門からだと怪しむだろうし、これが一番いい。
僕たちは、フードと頭巾をかぶっているので、適当に人影が見えなくなった場所で、結界を解いてもいいようにマリアに伝える。見えないといっても、ぶつかったような衝撃はあるのだから。
【砂城】市の街を歩くと、それは普通の街だった。
「どうも全員が、武装集団というわけではなさそうですね。」
僕は、言った。どうもこの町は普通過ぎる。
「いいや。翔太朗。普通の街ほど危険だ。少なくとも、こいつらは武装集団の仲間ではないにしろ、彼らを支持している。政策に誰も反対する者もいないということだ。強引なやり方であれば、貧困層や奴隷とかの人もいるはずなのだが。そういう人も見当たらない。そんな奴らと戦うのだ。」
言われてみればそうだ。確かに、【砂ノ精神】に反対する人は一人もいなさそうだ。
ここで自分たちが【砂ノ精神】を滅ぼしたら、ここの住民からの反発運動は避けられない。
「ワシ之信様のいう通りですね。ここは、八重様の奪還を最優先にして、余計な戦闘を避けましょう。【砂ノ精神】の幹部を殺す必要もなさそうです。殺したら、殺した分だけ、こちらの犠牲が出ると考えた方がいいですね。私たちの見方をしてくれそうな人も居なさそうです。期待はしていませんでしたが。」
マイコフさんもワシ之信の意見に同情する。
つまり二人の意見を総合すると、完全アウェイな状態で敵地に乗り込むということだ。何か方法は・・・・・・・。
「あの、翔太朗君。あのチラシは何でしょう。」
マリアが指さす。彼女は張り紙が貼ってある掲示板に気が付いたようだ。
「おお、ナイス!!マリア。何か情報が載っているかもしれない。」
僕は、少し興奮する。
「まだ興奮は速いぞ、翔太朗。」
ワシ之信が僕の肩に手を乗せ、そっと戒める。
「ですが、掲示板を発見できたのは良いですね。一応見てみましょう。」
確かにワシ之信の戒め通り、掲示板を除いた僕たちであったが、関係なさそうな情報ばかりだった。
ごみの収集、バザーの案内、そろばん塾、亡くなった人の葬儀日程などが貼られている。
「うーん。あまり手掛かりはなさそうですね。」
マイコフさんが言う。
ここでは、さすがに僕たちもがっかりする。
「そう落ち込むな、すぐにヒントが隠されるわけがなかろう。」
「あちらの方から、何か聞こえます。」
サファイアの声がする。
「号外だよ~、号外だよ~」
そういいながら、号外を配っている人がいた。
そして、親切にも、その人は僕たちの目の前の掲示板にもその号外というのを張り付けていく。
「おっと、危ない危ない。」
僕は、号外を配っている人とぶつかりそうになる。
「気を付けてくださいね。結界魔法で、相手には見えないので、平気でぶつかったりします。周りを見ないと。」
マリアが言った。
「ごめん、ごめん。マリア。」
僕は謝る。
「号外、ラッキーですね。」
サファイアが貼られた号外のチラシをのぞき込む。
『公開処刑決定。砂ノ精神本部の塔屋上より、明後日の10時。我が国に著しい害を成した敵国の王女。』
と記されている。
僕たちは、改めて、砂ノ精神の本部の塔を見つめる。
「なるほど、そういうことか。」
「そういうことになりますね。」
僕と、マリアは言った。
これは乗り込むチャンスである。
だが、ワシ之信とサファイアとマイコフさんは違った。
「まてまて、翔太朗、罠かもしれない。念のため、不法入国者のニュースが流れていないかチェックしよう。」
「そうですね。ワシ之信様のいう通りです。私たちの存在をおびき出すためならこのようなこと、いくらだってできます。」
ワシ之信とサファイアが言った。
僕たちは、引き続き、町の様子を探る。
乗り込んですぐにでも八重を助けたいという興奮はあるが、ワシ之信のいう通りだ。
その気持ちを押さえて、僕たちは、不法侵入者のニュースは無いか片っ端からチェックした。
「これは、私たちがこの国に侵入しているという報告はなさそうですね。」
「そうですね。明後日の未明にでも塔に乗り込みましょう。」
僕たちは、引き上げて、すぐにアルベルトさんたちに報告した。
アルベルトさんやみんなも同意見だった。
「うん、よくやったよ、翔太朗君。」
アルベルトさんは笑顔だ。
「怪我無くよく頑張ったわね。」
パメラさんも祈る思いで待っていたという。
「では、異論はなさそうだな。公開処刑当日の未明、【砂城市】に突入。一気に塔の最上階まで駆け上がる。」
「「「おー!!!」」」
僕たちは、拳を高くつき上げた。
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