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#91.セントアリア最大の問題

第6章突入となります。

よろしくお願いします。


 ボーラン士官学校のメンバーと親睦会をした翌週。

 僕たちは、セントアリアの王宮の門の前にいた。

 

 僕たちの学級のメンバーと、ボーラン士官学校の、ラピスと、サファイアのメンバーが勢ぞろい。

 もちろん、ピエール先生、カミラさん、ポールさん、フィリーネ、そして、ワシ之信が一緒だった。


 王宮の兵士たちに出迎えられた。

 僕たちは王宮の中に入った。王宮の中はとても豪華だった。

 純白の王宮のその中は、大理石の柱が荘厳な雰囲気でたたずんでいる。

 床には赤い高級な絨毯が敷かれ、それが謁見の間まで続いているのだろうか。

 王宮内には、大理石でできた噴水もある。


 きっとこの広間で舞踏会などの、一大イベントがあるのだろう。


 一日では回り切れない、王宮の中だった。


 兵士たちは、玉座の間に案内してくれた。

 玉座の間、つまり、謁見の間に、国王、カルロス=アリア3世がすでに座っていた。


 「国王様、お連れ致しました。」

 「ありがとう。」


 国王は立ち上がり、僕たちの表情を一人一人、確認した。

 「先日の魔道武術大会、素晴らしい健闘ぶりだった。まずはそなたたちに敬意を示そう。」


 僕たちは深々と頭を下げる。

 「君たちを呼んだことはほかでもない、この儂からの重大な頼みを聞いてほしいのじゃ。」

 国王は、続けた。


 「この頼みを話す前に、この国の重大な問題について話しておかなければならない。」

 この国の重大な問題・・・・・・。

 一体何だろう。


 「すでにセントアリアの出身の物なら聞いているであろうが、翔太朗君は別の国の出身のため、お話しよう。この国最大の課題・・・・・・・。」


 どうやらほかのみんなは知っているようだ。


 「それは、儂の世継ぎがいないことだ。つまり、儂が死んだら、この国の王はおらず、最悪滅んでしまうことになる。」


 なんと、国王の王族が居なくなるという由々しき事態にこの国は直面していたのだった。


 「いろいろと対策を練ったのだが、どれもうまくいかなくてな。」


 対策に当たった人たちを見回した。兵士たちやポールさん、そして、フィリーネ、ピエール先生。国王は彼らを見回す。きっと一緒に、対策をしてきたのだろう。


 「だが、儂はもともと子供がいなかったというわけではなく。息子がおったのじゃ。」


 国王は写真を僕たちに見せた。そこには若き日の国王と、国王の息子さんらしき人が映っていた。

 若き日の国王と、国王の息子、つまりこの国の王子は赤毛だった。今の国王は年老いて、白髪だが、昔は燃えるような髪色をしていたのだろう。


 「我が息子にして、この国の王子、ハンス=アリアだ。」


 ハンス王子はこの写真で微笑んでいる。


 「10年以上前になるかな。暗殺されてしまったのだよ。海を越えた、『那ノ大陸』の『砂ノ国』のある組織に。」


 『那ノ大陸』の『砂ノ国』だって・・・・・・。なんと、ここで、『那ノ大陸』の文字が出てくるとは。


 「砂ノ国には、いろいろな資源が眠っていてな、それを採掘、そして貿易をするため、当時、我が国から、使節団をどんどん派遣していた。那ノ大陸の南ノ国を経由してな。その使節団のまとめ役、つまりトップに立ったのがハンスだった。この事業は国の一大事業だった、だから王子が先頭に立ったのだ。」


 なるほど、貿易関係だったか。


 「最初は上手くいっていた、我が国からも、採掘のスペシャリストをどんどん派遣していった。だけど。」


 「だけど・・・。」


 「砂ノ国では反対派も多かった、得体のしれない、別の大陸の国に乗っ取られてしまう、という見方もいてな。その反対派の中でも特に過激な武装集団。『砂ノ精神』と呼ばれる組織が砂ノ国にある、セントアリアの大使館を襲撃、放火。そして、炎上。ハンスもそれに巻き込まれて、暗殺。もともとの狙いもハンスだった。だから、奴らもハンスが砂ノ国の大使館に駐在している時を狙った。」


 なんとも、痛々しい出来事だ。王子が異国の地で暗殺されてしまうなんて。


 「そして、われわれ、セントアリアもこの一大事を見て、この事業から撤退したのだよ。その後、『砂ノ国』がどうなったのかわからないが。ハンスが暗殺されたことによって、この国の王族の家系はこれで途絶えてしまった。」


 確かにそうだ、王子が暗殺されてしまっては、この国の王族の家系は途絶える。

 その当時も、国王の年齢を考えると、子供に恵まれるには相当な、幸運が必要かもしれない。


 「だが、一つ世継ぎに関しては希望があった。」


 国王のこの一言に、僕の目が見開いた。

 王家は断絶寸前なんじゃ・・・・・・・。


 「ハンスの最大の短所は遊び人でもあった。一人思いを寄せた女性が居たのじゃ。そのものは旅芸人としていろいろな国、世界中を回って旅をしていたと聞く。ハンスも、その女性も、そなたの大叔父みたいな人のようだな。最初、ハンスは、『砂ノ国』の資源事業に全く関心がなかった。だが、その旅芸人の女子が、セントアリアに来た時、ハンスは惚れた。そして、その旅芸人にまた会いたいという、心があったのだろう。その旅芸人が、『那ノ大陸』の出身とわかると、事業に乗り出したのじゃ。」


 「恐れ入りますが、そして、那ノ大陸の旅芸人に・・・・・・・。」

 僕は、国王に聞いてみた。


 「ああ。再会したよ。そして、お互い深く愛し合った。幸運にも、大使館が炎上したとき、その旅芸人は、別の場所を回っていたので、事件に巻き込まれなかった。そして、子を身籠っていたことを知った。」


 「「「えっ!!」」」


 僕は驚いてさらに目を開く。

 そして、他の人、特にセントアリア出身者も驚いていた。

 驚いて僕は見回す。


 「私も、初めて知りました。」

 ミランダが言った。アンソニーやルーベルトも頷く。どうやら、彼らも初めて知ったようだ。


 「そうじゃろう、これは極秘だったからな。それに、儂は最初反対していた。得体のしれない旅芸人に恋をしていると、兵士たちから聞いたとき、一国の国王として・・・・・。だが、ハンスが暗殺されてから儂の考えは変わった。王位を継承できるのはその身籠っている子供だけだからな、その旅芸人を保護しようと、必死に密偵を追わせた。だが、行方が分からなかった。『那ノ大陸』のことは儂らは知らな過ぎた。」


 国王はため息をついた。

 確かに、船で4日も費やすような遠い大陸だ。あまり地理が判らないのは当然だろう。


 「手掛かりになるのは、名前だった。その旅芸人の名前は知ることができた。名前は、【舞子=岩月】、『那ノ大陸』の中央、『那ノ国』の出身ということが判った。だが、それでも行方が分からなかった。名前と出身が判っても肝心の本人を保護しないと無意味だったからな。」


 ん?舞子=岩月、【岩月舞子】どこかで聞いたことがあるような・・・・・・・。


 「王位継承問題、行方不明の旅芸人。この件は当時の極秘情報であり、行方が分からなかったところで、調査は打ち切りになったのだ。そして、今でもこの件は極秘。なぜ魔道武術大会入賞者の諸君に話したのかというと、この件の重要な手掛かりを持ってきてくれた、しかも。『那ノ国』出身の。翔太朗君、君の手によって。」


 国王は僕に視線を向けた。


 「結論から先に話そう。舞子=岩月が身籠っていたという子供の名前。その名は、【八重=岩月】。【岩月八重】といった方が、君には聞き覚えがあるだろう。」

 「そ、そ、そんな。」

 僕は息をのんだ。八重が、八重がこの国の王女。セントアリアの王女。


 「君と一緒に修業した、八重。彼女こそがセントアリア王国の姫君。正当な後継者なのだよ。」

 頭が真っ白になっている。


 そして、一緒にいる学級のメンバーも唖然としている。

 そうだろう、この国の王女が、生きていたというのだから。



今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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