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#81.神絵師と神彫刻師


 ここから巻き返しを図りたい、僕たちの学級。

 次に現れたのは、ベレー帽にブラウス、その上にエプロンを着ている女の子だった。エプロン越しからも、巨乳であることが判り、色気のある子。

 

 「ボーラン士官学校、次の相手は、アン選手です。」


 試合が始まる。

 アンソニーは相手の表情を伺い、土魔法で攻めていく。


 「相手が女の子でも関係なし。攻めていくぞ!!」

 アンソニーは土魔法で、ハンマーを作り、一気に攻めていったが。

 

 アンという女の子は、紙を取り出して、絵を描いている。

 なんとも余裕の表情と思ったら。


 その絵が実体化した。

 ハンマーを持ったアンソニーだったので、巨大な盾で防ごうとしたのだろうか。鉄でできた、大きな盾が現れた。


 「へえ、やるじゃん。」

 アンソニーはハンマーをさらにその盾に打ち込もうとしているが、盾はびくともしない。

 おそらく、前の、ジョンとの試合を見ていたのだろう、パワーを防ぐようにイメージして、この盾を描いたのだろう。


 次だ。

 アンソニーは切り替えて、ハンマーを捨てて、別の土魔法に切り替えた。

 


 「あの絵の魔法、まさに神絵師だな。」

 カミラさんが言う。

 確かにそうだ、絵が実体化する魔法。忍術でも見かけたことはあるが、アンという女の子の絵を描く力は本物だ。

 一定時間内に描けなければならないという、制限があるが、特徴をとらえて、さらにどこに出現させればいいのかわかっているようだ。


 アンソニーは、『ウォールポーン』の魔法を発動する。地面からとがった岩が現れて、下から相手を攻撃する魔法だ。


 これを見たとたん、アンはウィンクをする。

 鳥の絵が現れて、上にかわした。その鳥にアンは乗っている。

 「私の勝ちだね。」

 アンは、元気よくアンソニーに言った。

 

 突然地面が揺れる、そして。

 アンソニーの足元から巨大な大蛇が現れる。

 

 「「「土蛇。」」」

 僕たちは声をそろえて言った。

 この土蛇は間違いないく絵だった。この絵をアンは地面の下に仕込んでいたのだった。

 

 土蛇に襲われ吹き飛ばされるアンソニー。

そして、吹き飛ばされて、着地した先には。

 池があった。これも、紙で描かれた池。アンは落下点を予想して、そこに仕込んでいた。

 重い鎧を着ていたため、池に沈み、溺れかけるアンソニー。


 アンソニーはギブアップを宣言し、ここで試合が終わった。

 魔法を解除し、池から助け出されるアンソニー。


 「ごめん、皆、次も勝ちたかったんだけど。」

 アンソニーは少しうつむいたが、ナイスガッツだった。最悪の場合、僕たちはジョンで全員終わっていたかもしれないのだ。


 残りは、マリアと僕。マリアの結界魔法と、閃光魔法で、一気に攻めることができればいいのだが。

 僕の体力も残り全員分相手をしてどこまでもつかもわからない。




 「よく頑張りましたね。アンソニー君。」

 マリアは言った。

 そうして、大丈夫だよ。という表情を残しながら、フィールドへ向かう。


 「どこまで、何人勝ち抜けるかわからないけれど、やってみる。」

 マリアは、深呼吸した。

 深呼吸しなくても、マリアの莫大な魔力ならば、一気に勝ち抜けることができるだろう。


 試合が始まる。

 アンは、先ほど描いた鳥に乗ったまま、一気に攻め込んでくる。


 もう一度、地面から土蛇を出現させるが、マリアはジャンプしてかわす。

 そして、閃光魔法で、土蛇を撃破する。

 「もともとは紙でできた絵。一発決めれば、大丈夫だよね。」

 マリアは、アンの絵の魔法の弱点を冷静に分析して言った。


 それならばこの鳥も・・・・・・・。

 マリアは、閃光魔法を放つが、アンは素早かった。

 すぐに鳥に指示を出して、一気に攻撃をかわしていく。


 「マリアの閃光魔法をかいくぐれる人を初めて見たかも。」

 僕は、サイドからマリアの戦いを見守る。

 「ああ、そうだな、あの絵には思いが込められているのだろう、素早く動ける鳥という、作画の思いが。だから、鳥のように早く動ける。」

 カミラさんがアンの動きを見てうなずく。


 「これで、もしもマリアが敗れたりしたら。」

 リリアンが心配そうに見つめる。

 「ああ、だが心配は要らないだろう、あのマリアだぞ。」

 カミラさんがリリアンを気遣うように言った。

 そう、あのマリアだ。そんじゃ、そこらで負けないのは知っている。


 「このまま、全員倒すところまで見届けよう。」

 ルーベルトが元気よく言った。



 アンは、狼の群れを描いた。その群れが一気に実体化し、マリアに襲い掛かってくる。

 

 「よし、来た。確実に決めるよ。」

 マリアは結界魔法を敷いた。

 しかも、結界に飛び込んだとたんに、ダメージを受ける、飛び切りの上級の結界魔法だ。


 「すごい、こんな結界魔法を扱えるのはマリアぐらいしかいないんじゃないか。」

 僕は驚いた。

 「ああ、私も、この魔法を使う人は初めて見る。」

 カミラさんが言うのだ。これはすごい魔法。流石はドラゴンに育てられた娘だ。

 

 紙で書いた狼の群れが消滅していく。そう、紙で書いたのだから、一発ダメージが入れば大方そうなる。


 そして。

 「行きます、竜閃光魔法!!」

 マリアは、アンの動きに狙いを定めて、閃光魔法を放った。

 紙でできた鳥が消滅し、アンは真っ逆さまに落ちてきた。

 

 「試合終了!!マリア選手の勝ち。流石は大きな強大な魔力量だ。神絵師アン選手を圧倒しました。」

 割れんばかりの歓声が飛び交う。


 「「「やったあ!!」」」

 僕たちも飛び跳ねて喜ぶ。

 

 「さっすが、マリアだね。」

 ルカも頷いている。


 だが油断はできない。決勝のルールは勝ち抜きバトル。相手チームは次で4人目。僕たちのチームはマリアと僕しかいない。




 次に出てきたのは、中国風の帽子をかぶり、明らかに、これからカンフーと魔法の両方を披露します。という雰囲気の男性だった。だが、顔つきは舞踏家とは異なり、眼鏡をかけた人物だった。


 「サイモン=リーです。お見知りおきを。」


 試合開始前、マリアに握手を求めてきた。

 マリアはそれに応じる。


 「神絵師はあなたによって倒されましたね。では僕はどうでしょうか。」

 サイモンはにやりと笑う。


 お互いに離れて、試合開始。


 サイモンは案の定、カンフーのような武術と、波動の魔法でマリアを攻めてきた。

 すぐにマリアは、結界で応戦する。


 「かなり破られない頑丈な結界ですな。」

 

 「気を付けて、マリア。カミラさんのような相手だが、カミラさんよりも手数が多いぞ。」

 僕はマリアにアドバイスを送る。


 「ありがとう。了解!!」

 マリアはそれにこたえる。


 カンフーのような武術はかなり手数で勝負してくる。それに対して、カミラさんのような格闘系の武術は一撃で勝負をしてくる。

 素早さが求められる。見た目からしてかなり素早い。


 マリアはすぐに、閃光魔法を放つ。

 光の速さで・・・・・。それに近い閃光魔法を。


 だが、サイモンは土魔法で、大きな岩を出現させて、それを防いだ。巨大な岩だ。

 閃光魔法で、その岩は一部が貫通しているが、攻撃は防げたようだ。



 「今からその結界を破壊しましょう。どこまでもつかな。」

 

 サイモンは自慢の手足で、岩を壊していく。

 そして、こちらも素早い動きで、その岩は魔神像になった。サイモンが岩を解体して、自分の手足で一気に作ったのだ。

 魔神像を一体作ったら、コピーの魔法を使用し、残りの岩で、同じような魔神像を作れるだけ作り、魔神像は合計5体になった。


 そして、さらに・・・・・・。

 サイモンは素早く魔法を唱えて、その魔神像は一斉に動き出した。

 マリアの方に向かって魔神像は攻撃を開始してくる。


 「ただの武闘家と思わないでほしいな。確かに僕の父親家系は武闘家の家系だが、母親家系は、こういう彫刻家の家系なんだよ。そこで思いついた僕のこの魔法。どうだ、先ほどの絵は所詮紙だったが、これならばちょっとやちょっとじゃ壊れないよ。」

 サイモンはマリアに向かって言った。


 「さあ、魔神像たちよ。結界を破壊するのだ!!」

 サイモンは魔神に指示を出す。



 まさに、神彫刻師が出てきた。こんなにもすごいものを一瞬で作り上げるなんて。


 どうする。どうするマリア。


 ―どうしよう、あんなのが5体。同時に結界に攻撃したら、破られるかもしれない。―

 マリアはそう思っていた。額から出た汗が、マリアの顔の輪郭をなぞっている。

 魔法で、結界の層を厚くする。

 


 そして、ゴン!!ゴン!!ゴン!!ゴン!!ゴン!!

 魔神像は結界に向かって殴りかかってきた。

 先ほどと同じように、結界の層を厚くし、一番外側の層を攻撃したら、ダメージが跳ね返ってくる結界にしたのだが。


 サイモンのいう通り、アンの時は紙でできたものだから一撃で倒すことができたが、今度は頑丈な岩でできた魔神像だ。


 一発、また一発と殴ってくるたび、ぽろぽろと砂が崩れる程度にしか、魔神像にダメージは入らなかった。

 

 「ここは、行くしかないか。」

 マリアは、閃光魔法を放ち、魔神像の片腕を一つ落とす。

 マリアでも、片腕一つ落とすのがやっとだった。


 それでも、マリアの魔力の高さを生かして、ようやく、全ての魔神像を撃破することができた。

 残りは、サイモン一人。

 

 もたもたしているとまたサイモンに魔神像を造られてかなり大変なことになる。

 そうはさせまいとマリアは攻撃の手を緩めることなく、炎の魔法をサイモンにものすごい速さで打ち込む。

 

 これが魔力の高い、またドラゴンに育てられた少女の真骨頂。

 カンフーの、拳法のような手数で、炎の球を薙ぎ払っていくが、マリアは光の速さのように魔法を打ち込んでいったため、ついに、サイモンの手数が間に合わなくなり、炎が次々に命中。


 サイモンはその場に倒れこみ試合が終了した。


 マリアが勝った。

 

 「やった。やったぞ。マリア。」

 「一時はどうなるかと思った。あの魔神像が出てきたとき。」

 僕たちは、安心する。



 「私もすごく怖かったです。魔神像が出てきたとき、結界の量を多くしても大丈夫かなと。」

 マリアは素直に感想を述べた。

 確かに、人間とまったく接していなかったせいだろうか。ああいう強そうな魔法をぶつけられるとびくびくするよね。


 マリアが2人勝ち抜いたおかげで、ボーラン士官学校の人数は残り3人だ。

 マリアがこのまま勝ち抜いてくれるといいのだが。


今回も読んでいただきありがとうございました。この章長くなってすみません。いよいよ大詰めですね。

少しでも続きが気になる方は、是非高評価と登録をお願いいたします。

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