#80.これがガッツ!!パワーあふれる土魔法
魔道武術大会決勝。僕たちは、相手チームのジョンを相手に苦戦している。
決勝戦は勝ち抜き戦。ジョンはすでに、ルカ、ルーベルトの2人に勝ち、相手チームである、ボーラン士官学校を有利な展開に進めている。
僕たちのチーム。次のメンバーはミランダだ。
ルーベルトの範囲攻撃もあっさり倒され、ミランダは次なるプランを立てた。
―人数をかければどうだろうか。―
ミランダは自分の得意とする、召喚魔法。『ブラッドウルフ』たちを召喚し、一気に攻めるプランにした。
試合開始。
ミランダは予定通り、『ブラッドウルフ』たちを召喚し、一気にジョンを取り囲む。
「へえ、いい召喚士だね。」
ジョンは笑いながらミランダを見る。
「集中して、一気に行きますよ!!」
『ブラッドウルフ』はリーダーのクロを先頭に、一気にジョンに噛みつき、追い込もうとする。
『炎の牙』という、牙に炎を生ませた魔法攻撃を仕掛けてくる。
ぎりぎりまでジョンを追い込んだ。そしてついに。
「よし、シャツの袖が破れた。」
ミランダとの戦いをフィールドの外から見ていた僕たち。
袖が少し破れて、『ヨシッ!!』とガッツポーズをする。
これで一気に、ミランダの弓矢で。
ミランダは氷の弓矢を一発、二発、とはなっていく。
決まれ決まれと思い、祈りながら待つが、ジョンにかわされていく。
それならばと思い、ミランダは水属性魔法を呼び出した。
「『水流連弾』!!」
ミランダは水属性の上級魔法を放つ。水流連弾は文字通り、水の流れを一気に呼び寄せ、一網打尽にする。
ジョンにその水が一気に襲い掛かる。これならば行けるか。
水の流れがジョンを巻き込む。
数秒が経過。水の流れが止まる。
「へえ、少しはやるね、お嬢ちゃん。」
ジョンは、平然と立っている。
「間一髪、肉体強化魔法で防御して、耐えきったって感じかな。危なかったよ。」
なんと、この男素早さもそうだが、守備力も見た目以上の能力を秘めていた。
「犬さんたち、ごめんね。」
ジョンは魔法をかけると、『ブラッドウルフ』眠ってしまった。
「少し催眠術をかけただけだよ。」
なんと、催眠術も使える。まさに万能な魔法剣士。
「それじゃ、対戦サンキュー!!」
ジョンはそう言って、ミランダに一気に近づき。
剣を一振りし、風の魔法でパワーを兼ね備えたパンチをミランダのお腹に命中させた。
ミランダは倒れこみ、試合終了。
ジョンの3人勝ち抜きで勢いに乗る。
ミランダが引き上げてくる。
―ミランダとクロたちでも勝てないのか。―
僕は思った。
拍手で迎える。
「よく戦ったよ。ミラ様。」
「はい、翔太朗様。ありがとうございます。」
ミランダは涙ながらではあったが、元気がよかった。
「水魔法かあ。」
次に相手となるアンソニーは言った。
「アンソニーの防御魔法でねじ込めるか・・・・・・。」
僕はつぶやく。
「大丈夫だよ、翔太朗君。何とかして見せる。」
アンソニーは笑顔だった。これに救われる。
アンソニーが出て行く。
「次の相手は、大柄な君か。防御が得意なので、こちらから行かせてもらうよ!!」
ジョンが剣を持ちながら、ニヤニヤしながら、アンソニーを攻める。
一度ジョンにダメージを与えたのだが、今はピンピンしているようだ。
「行くぞ、僕はガッツがあるんだ!!」
アンソニは、ジョンの剣術に合わせて防御魔法を作る。
得意な土魔法。『ウォール』を唱えて、土壁が現れる。
「とにかく水、水。」
アンソニーはそう思っていた。
アンソニーの脳裏にはミランダの水流連弾が印象に残っていた。
冒険者ランクB以上のチームに、果敢に挑んでいくアンソニー達の班。
突破口はこれしかない。
土魔法の得意なアンソニーだからできる技があったが、いまだに試したことがない。
しかし、水との複合魔法なら・・・・・・。
アンソニーに突破口が見えてきた。
防御魔法の土壁の裏側、アンソニーが魔法陣を思いつく。
「行くぞ!!ガッツで、ガッツで挑む。まずは!!」
「『ハンド』!!」
アンソニーがハンドを唱えると、土の手が現れる。手に飲み込まれて握りつぶそうとしている。
それをジョンは見事にかわす。
「おっと。危ない危ない。かなりパワーがあるな。」
アクロバットにジャンプして、ジョンは地面に着地する。
着地とともに、「ベチャ!!」という音がした。
「ん?なんだこれは?」
「今思いついたぜ、土と水の複合魔法。『マッドスワンプ』」
ジョンの体が沈んでいく。
『底なし沼』だ。底なし沼をアンソニーは出現させたんだ。
「なるほど、さっきのミランダの水流連弾を見ていたからね。」
僕は思った。水属性と土属性のアンソニーの複合魔法だ。
「よし、アンソニー良いぞ。そのまま沈めちゃえ。」
ルカも応援する。
「どうかな。彼のジャンプ力や瞬発性なら、脱出されるかもよ。」
カミラさんはいたって冷静だった。
確かにそうだ、ジョンは底なし沼から出ようとしている。
「へへへ、そう来ると思ったぜ!!」
アンソニーはこの動きをすると予想していた。そして。
「「「!!」」」
「『マッドスワンプ』を」
「『底なし沼』を」
「「「解除した!!!」」」
「アンソニー君、どうして、確かにジョンはもがこうとしていたけれど、魔法を解除してしまえば。」
リリアンが言った。戸惑った表情をしたが、僕たちはリリアンに向けて親指を立てた。
「さすがだね。」
「ああ、かわされて、脱出されることを想定済みだったみたいだね。」
僕とカミラさんはそう言った。
「なるほど、あのような戦い方をする相手はこのように、してしまえばいいのか。」
ジョンの足は、すでにふくらはぎのあたりまで沈んでおり、魔法を解除したことによって、かたい土に変わった。つまり、ふくらはぎまで固い土の中に埋まっており、身動きが取れなくなっていたのだ。
「おのれ、足が、足が動かない。それでも負けない。」
ジョンは剣を振り回すが、その動きはさっきよりも狙いが定まっておらず、ただただ、闇雲に動いているだけだった。
アンソニーは岩を出現させて、ジョンに思いっきり投げ込んだ。
ダメージが相当入った。
ジョンは戦闘不能になった。
「やりました、アンソニー選手やりました。」
ついにジョンによる連戦連敗を止めた。だがしかし、アンソニーを含めて僕のチームは残り3人。対する、ボーラン士官学校、サファイアたちのチームは残りは5人。
負けられないし、後がない。アンソニーはさらにもう一人倒すことができるのか・・・・。
「翔太朗殿、とりあえず、連敗は止めたよかったじゃないか。」
「そうですわ、絶対にアンソニーは勝ちます。彼のガッツ、アンソニーのガッツの魔法を信じましょう!!」
カミラさん、ミランダに言われて、僕は笑顔を取り戻す。そうだ、級長が不安な顔になってはいけない。
絶対にここから巻き返すんだ。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
少しでも続きが気になる方は、ブックマーク登録、高評価をお願いいたします。




