#66.感謝祭の準備
王都は、活気があふれている。
収穫の時期、あらゆるところから、農作物が入ってくる。実りの秋の時期だ。
それと同時に感謝祭が行われる。準備に大忙しだ。
この時期のギルドの仕事は、その感謝祭に関連した仕事が多かった。
芋ほりの手伝い、感謝祭の飾りつけの準備、感謝祭の警備などなど、いろいろな感謝祭にかかわる仕事が多い。
僕たちは、そのような仕事をしつつ、修業をこなした。
ワシ之信が加わったおかげて、一番の変化はホワイトイーグルの一家、特にシロンと、ユキナの弟のショーンは、かなり元気に修業を共にしていた気がする。
やはり、男性の、そして長く旅した鷲が話し相手になってくれるのか、それが一番いい。
空いた時間で、ショーンに、ワシ之信とトン吉が冒険した、飛び回った国々の話をしてくれる。
この話には、シロンとユキナも飛びついてきて、一緒に興味津々になっていた。
そうだ。このトン吉も『鷲眼の術』が使えた人物。
『鷲眼の術』を持つものに仕えた身として、精いっぱいサポートをしてくれていた。
「ショーンは伸びしろがあるぞ。スタミナを今から身に着けよう。かなり長い時間飛べる。」
ワシ之信は、そういって、何本もの長距離飛行をショーンとともに行っていた。
もちろん僕とシロン、ユキナも参加した。
「翔太朗、お前も行くぞ、こっちの大陸に来てから、お前も見違えるように成長したな。」
ワシ之信は元気よく修業を積んでいく。
ワシ之信が来てからスタミナ面が圧倒的に強化された。
仕事、趣味共に、旅することが好きなトン吉爺さんとともに、何日も何時間も長距離飛行をしていたのだ。同然だろう。
また、ワシ之信のスタミナトレーニングは、何もショーンや僕、そしてシロン、ユキナだけでなく、僕たちの学級のメンバーにもそれが波及していった。
ワシ之信が魔法を見ても驚かないのは、トン吉爺さんの好奇心があったからだろう、新しい術を編み出すことが得意な人に仕えたからだ。
それが、学級のみんなにも受け入れられて、攻撃の仕方など、訓練の相手になっていった。
そんなこともあり、いよいよ感謝祭前日となった。
いよいよ、明日から、このセントアリア王国は、一週間かけて、感謝祭が各地で行われる。
仕事をしている人もこの週は基本的に休みになり、秋の大型連休となる。
今日は簡単なギルドの仕事をこなして明日に備えようと思った。そう、明日からこの感謝祭に合わせて開催される、セントアリア全国学校対抗魔道武術大会が開かれる。
この仕事は、明日に備えてのウォーミングアップのようなものだ。
今日のギルドの仕事は、セントアリアに来た時に一番最初に行った、地下水路の定期討伐だ。
どれだけ成長しているだろう。
僕、そして僕の学級のメンバーは強化されたところを確認しつつ、地下水路に入っていった。
『スライム』、そして蝙蝠のような魔物、『スエッジバッド』。そして、ネズミにして大食いの魔物、『スエッジマウス』の三種類の魔物がここには多く生息している。
僕は、以前よりも素早い動きで、『スエッジバッド』に襲い掛かっていった。
勢いよく討伐できていることが確認できた。早い時間に、5匹、そして6匹とどんどん増えていく。
ミランダも、弓の使いが上手くなっていた。そして、氷の剣の使い方もかなり威力が増している。
アンソニ―の物理攻撃もカミラさんに匹敵するくらいだ。
さらに、ルーベルト、ルカ、リリアン、マリア。みんなそれぞれ修業の成果を確認して、準備は万全なものだった。
「やるな、翔太朗。」
「はい。ご主人様はどんどん強くなっています。」
一緒についてきた、ワシ之信、そしてユキナが言った。シロンも頷いている。
「多分、自信がついてきたんだと思う。みんなのおかげで。」
そうだ。一人ではここまで来られなかった。ミランダと出会い、シロン、ユキナと契約を結んだからだ。学級の級長になったのも忘れてはいけない。
「そうだな。みんな強くなっているよ。これならきっと・・・・・・。」
ルーベルトが感慨深い表情を珍しくしている。
「どうしたのですか。ルーベルト。あなたらしくもない。」
ミランダがルーベルトに問いかける。
「いいや、何でもないんだ。これならきっと、いいところまで行ける。」
ルーベルトがミランダの質問に答えていた。
「ああ、そうだよ。絶対本戦は負けねえ。優勝するぞ!!」
アンソニーが元気よく鼓舞していた。
「そうだな。絶対負けない。頑張ろう。」
僕は改めてみんなをまとめた。
予定よりも早く仕事が完了した。確実に成長している証拠だ。
「随分と早かったじゃねえか。なかなかやるなあ。流石は学校代表に選ばれた学級だよ。さあ、今日はみんな、明日に備えてゆっくり休めよ。」
ベンジャミンさんはすぐに報酬を手渡してくれた。
このギルド本部も、感謝祭使用になっていた。飾りつけが施され、ロビーとメインエントランスには、大きなテーブルが出ている。
僕は、珍しい光景を見回した。
「ああ、明日からの準備だよ。ここで食事する奴もいるからな。」
なるほど、感謝祭の食事会場の一つというわけだ。
「お前たち、明日は頑張れよ。」
ベンジャミンさんはそう言って僕たちを見送ってくれた。
みんなと広場で別れた。
「さあ、明日みんな絶対元気で会おうね!!」
僕は、そうまとめ上げて、学級のみんなを元気づけた。
僕は、ミランダ、カミラさん、シロン、ユキナ、ワシ之信と一緒に、みんなと別れて、貴族街の坂へ通じる坂を登っていった。
「翔太朗様は、どんどん、級長という顔になってますね。」
ミランダは僕の方を見て、笑った。
「ありがとうございます。半分はミラ様のおかげですが。」
「ふふふ。そういってくれて何よりです。これからも一緒に頑張ります。」
ミランダは元気よく笑った。
「ご主人様ぁ。私たちもいますよ~。」
「はい。ご主人様、私もミランダ様と同じくサポートします。」
シロン、ユキナも元気そうだ。
「翔太朗。お前に頼みがある。」
ワシ之信が言った。僕はワシ之信の方を見る。
「お前と契約しよう。トン吉が亡き今、そして一人でこの国、この大陸にいる今、お前だけが頼りだ。連絡を取り合うためにもどうだろうか。」
僕は、シロンとユキナ、そしてみんなの方を見て。
「確かにそうだ、メリットはたくさんあるぞ、翔太朗殿。」
カミラさんが言った。
「私たちも別に、ワシ之信様はショーンとも仲がいいですし。」
ユキナが言った。
「そうですわね。ワシ之信。翔太朗様と契約してもいいのではないでしょうか。」
ミランダも同情する。
「そうだな。これからもよろしくな。ワシ之信。」
「おう。任せとけよ。」
僕は、契約の術を発動した。
「もちろん、明日からの武術大会も手伝うぜ。」
ワシ之信が契約の術を行った後、僕に言ってくれた。
僕らは、モナリオ家の屋敷に戻り、夕食を食べて、ベッドに入った。
緊張しているのだろうか。いつもより眠ることができず、眠るのに少し時間がかかった。
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