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#56.みんなでギルドの仕事


 授業、そして班の演習が終わり、再び週末。

 今回は、洞穴で修業ではなく、みんなでギルドの修業へ出かけることになった。


 王都の中央広場にある、冒険者ギルド本部。

 そこからの張り紙で、仕事を選んでいく。


 「やっぱり、修業もいいですけれど、どれだけ強くなったか、こういったところで試すのも素晴らしいことですわ。」

 ミランダがみんなに向かっていった。


 「うん。僕もミラ様に賛成だよ。せっかく僕もシロンとユキナ達と変身魔法を教わったしね。みんなも久しぶりに腕がなっていると思うから。」

 僕も、ミランダの言葉に同情した。


 「ちょっと、翔太朗様。ここはミラ様ではなくて、ミランダですわよ。あなたは、級長なのですから。なんだか私が級長みたいだと思われて、恥ずかしいですわ。」

 ミランダは顔を赤くする。


 「はははッ。翔太朗君はどうやら癖が抜けないようだね。そこがまたいいんだよね。」

 「はい。翔太朗君は誰に対してもそうであるから、級長に選ばれたんだと思います。もちろん、『鷲眼の術』の効果もありますけど。」

 ルカとリリアンは笑顔だった。


 「うむ。みんな、元気そうだな。そうでないとこれからみんなで仕事に行くのだから少し困るな。」

 ルーベルトが落ち着かせるようにまとめた。

 「同感だ。私もサポートするが、これくらい元気がないと、サポートしきれない面がある。」

 カミラさんもミランダの護衛ということで、付いてきた。


 「おうよ。みんな元気百倍。」

 アンソニーが一番元気よく、筋肉を見せるポーズをとったところで、仕事を決めることにする。

 

 「それでは、カミラさんよろしくお願いします。」

 僕は、一番に挨拶をした。

 

 「よろしくお願いします。カミラ。」

 ミランダもそれに続いた。


 「そうだな。ここは経験豊富なカミラさんと仕事を選ばないといけないな。」

 「「「よろしくお願いします。」」」

 ルーベルトと、そして学級のみんなもカミラさんに挨拶する。


 それもそのはず。おそらくこの学級のメンバーの中でいちばんギルドのランクが高いのはカミラさんのAランク。

 Aランクのカミラさんがいるから、僕も、そして学級のみんなもAランクまでの仕事が受注することができる。


 ちなみにカミラさんを除く、学級のメンバーの現時点のランクの最高は、ルーベルトとルカのEランク。

 さすがは師団長の息子と、騎士たちの兄弟に鍛えられた経歴を持つ二人だ。

 続いて、僕と、ミランダ、アンソニーのF。マリアとリリアンは、王都に来たばかりで、登録したばかりなので、最低のG。


「翔太朗君も登録して、2か月くらいで、一つランクが上がるのはすごいと思うよ。僕は、兄上たちについて行って、そのままランクが上がったっていう感じかな。」

ルカが謙遜するように言う。

「僕も同じだ。父上たちについて行って、この間、Eランクになったばかりだ。」

 珍しく、ルーベルトもへりくだってはいるが、その目の奥には何か輝きがある。

 みんなよりランクが上だったということを誇りに思っているような瞳の色だった。


 「うん、みんなそんなに力の差は大差ないと思う。ギルドランクが上の二人は、登録した時期がほかの人よりも早かったというだけで、レベルに関しては、そこまで大差ないだろう。というのが私の見解だ。」

 カミラさんも同じように言った。


 「では、早速の仕事だが、みんなのランクを上げるという意味で、私サポートの下、少し上のランクの仕事をしてみよう。」

 カミラさんが依頼書を持ってきた。

 

 『ビッグコンガ、5体の定期討伐』

 

 と、記載してある。

 

 「ビッグコンガという、巨大な猿。ゴリラのような魔物だな。近くの街道に出没しては、その巨大さを利用して、通せんぼしている被害が多くて、こうして再発防止のために間引いているのさ。」


 なるほど。巨大な猿系の魔物だ。


 「とりあえず、この依頼のランクはEだ。一番ランクの上の二人、ルーベルトと、ルカに合わせてみた。まずはみんなでやってみよう。必要があれば私もフォローする。」


 「ありがとうございます。カミラさん。僕は賛成です。」 

 僕は、賛成の意見を述べた。

 みんなも同じような意見であり、すぐにこの討伐依頼に参加することになった。


 ギルドマスターのベンジャミンさんにこの依頼に行く旨の報告をする。

 「おお。ついに魔道学院に入学したのだな。学級のみんなも頼もしそうじゃねえか。ミランダに翔太朗。」


 「はい。とても頼りになる仲間です。」

 「ええ、すぐに達成できそうな頼りになる仲間ですわ。」

 僕とミランダはそのように答えるが、事実その通りである。


 早速、僕たちは、街道へ向かった。

 「ビッグコンガをおびき出してみようか。ミラ様と翔太朗殿で、できないだろうか。」

 カミラさんから提案される。


 「えっと、どうすれば。」

 僕は、迷ってしまったが。


 「簡単ですよ、翔太朗様。召喚魔法を使って、クロの群れに匂いをたどってもらいましょう。翔太朗様はシロンとユキナに乗って、クロたちの後を追ってください。」

 なるほど、そういうことか。そういうことなら。


 「ルカ、ユニコーンに乗って、一緒に来てもらえないか。」

 と、僕は提案してみる。ルカもまた、従魔契約でユニコーンを召喚できる。


 「OK。任せといてよ。」


 早速、ミランダがブラッドウルフのクロの群れを召喚する。

 さっきまで、一緒にいたシロンとユキナもホワイトイーグルに変身する。

 

 「さあ、ご主人様。乗ってください。」

 「あの、私でも大丈夫ですよ。」

 

 「なによ。ユキナ、ご主人様は私に乗るの。」

 喧嘩が始まりそうだったがこれを僕は止めて。


 「今日はユキナに乗ろうかな。シロンは素早い動きがユキナよりできそうなので、おびき出すときに追い込んでくれる。」

 うん。こういう時はシロンを身軽にして、落ち着いて、冷静な性格のユキナに乗ったほうがいいと思っていた。


 「あーあー。詰まんないのー。でもいいわ。こうして戦える役をもらったんだからいいもーん。」

 シロンはそう言っていた。


 「よろしくお願いします。ご主人様。」

 ユキナは翼を広げて僕が飛び乗るのを待っていた。


 「ユキナ。ご主人様に何かあったらただじゃ置かないわよ。」

 シロンがユキナを睨むかのようにこちらを見た。


 「はいはーい。お姉ちゃんはどうぞ、思う存分ご主人様を守ってください。」

 


 ルカもユニコーンを召喚して飛び乗っていた。


 「じゃあ、みんなお願いね。」

 ミランダに促されて、僕とルカは黒の後を追った。


 

 街道を外れて、森の中。早速、クロたちはビッグコンガを見つけたようだ。

 ビッグコンガ6体。森の中をうろうろしている。


 「ワオーン。ワン、ワン」

 クロたちは遠吠えで威嚇し、ビッグコンガの視線をこちらに集中させた。

 

 ウホ、ウホ、と言いながら、次の瞬間、クロたちにビックコンガたちは、襲い掛かってくる。

 クロたちの群れは来た道に一目散に逃げる。


 僕と、シロン、ユキナは森の上で待機し、ビックコンガたちの背後に回り込む。

 今のところ、6体すべてが、ミランダ達が待機する場所へ向かってきている。


 

 やがて、森の出口へと出て、ミランダ達の視界からも、ビッグコンガたちは確認できるようになった。

 

 まずは最初の2体。これは落とし穴に見事成功した。

 アンソニーの土魔法で、見事落とし穴を掘り、成功したのだ。

 

 ミランダの弓矢と、ルーベルトの炎魔法で次々討伐していく。

 ブラッドウルフたちがミランダ達の場所に戻ってきたところで、襲われそうになったため、マリアが慌てて結界魔法を唱える。

 その間に、リリアンが錬金術で作成した爆弾を投げて威嚇攻撃する。


 最後は僕とルカの番。

 ルカは剣を持ち、一番後ろにいた、ビッグコンガに切りつける。

 

 その勢いに僕も加勢する。

 風魔法、『ウィンドカッター』をお見舞いしてやる。

 

 「よし、いいぞ翔太朗君。」

 ルカが言ってくれる。

 

 「ありがとう、ルカ。ルカも気を付けて、左からくるぞ。」

 僕もルカに声をかける。

 ルカの左側から、ビッグコンガのパンチが来る。

 ルカは慌てて体をかがめてかわしてく。


 僕の方にも、別のビッグコンガがやってきて、パンチを僕に浴びせようとするが、シロンとユキナとともに、ジャンプして軽快なステップを踏んで、かわしていく。

 さすが素早さを身に着けた僕だ。

 パンチの攻撃が激しかったので、遠投用の短剣で投げる。見事、ビッグコンガの左腕にそれが刺さった。

 その瞬間にビッグコンガの動きが鈍くなり、つかさず、ウィンドカッタ―を浴びせていく。

 よし、1体討伐できた。


 その他のビッグコンガはどうだろうか。

 うん。みんなのおかげで依頼より、一体多く6体のビックコンガの討伐ができていたようだ。


 「よし、みんなありがとう。やったね。」

 僕は、声をかける。


 「よくやったぞ、翔太朗殿、早く正確にみんな片付けていたようで感心したぞ。」

 カミラさんがねぎらいの言葉をかける。


 「当然だ。僕にかかればそんなこと。」

 ルーベルトが自慢気に言う。


 「私たちも頑張ったからですわ。特に、クロ、シロン、ユキナ。そして翔太朗様。ルカ。おびき出してくれてありがとうございました。」

 ミランダが褒めてくれる。


 「よし、依頼は無事に完了だね。」

 僕がまとめると、みんな頷き、王都へと戻っていった。


 ギルドに報告をして、報酬を受け取る。

 当然、報酬はみんなで山分けだ。取り分が少なくなるが、まあ仕方ない。

 魔道学院にいる間は仲間たちと交流が持ててとても楽しいのだから。


 このような感じで、魔道武術大会までの週末は、修業とギルド依頼をこなしながら、みんなの絆を深めていった。

今回もご覧いただきありがとうございました。

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