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#53.変身魔法の修業、その3


翌朝、週末の日曜日。

みんな早めに目が覚め、昨日の野菜の残りで朝食を済ませて、再び特訓へ向かうことになった。


リリアンの収納魔法に昨日使用した、全員が座れるテーブル、椅子、そしてテントや布団をしまっておくことにした。

「皆さんの野営用です。今後も使うことがありますから、収納魔法にしまっておきますね。」

とのことだった。これに関しては満場一致でそうすることにした。


今日の特訓は、昨日の復習からだ。

基本動作の羽ばたき。そして、外へ出て風の力を見極め、前へ飛ぶやり方だ。


昨夜、休憩を行ったからだろうか。

昨日の特訓よりもわかってきた気がする。


「その調子です。ご主人様。」

「はい。いけますね。」

シロンと、ユキナが声をかけてくれる。


生まれたばかりのショーンも同じで、飛べるようになっていた。

「風魔導士様。やっぱり流石です。僕なんかまだまだ・・・・・。」

ショーンはそうやって、僕に敬意をもって接してくれたが、ショーンも上達は速くなっていることを告げると、素直に、照れたような表情を見せた。

「まだまだ、頑張ります。」


だんだんと、言葉をしゃべるのもうまくなっている。


復習が一通り済んだところで、今日の課題。

「上昇と下降についてやっていきましょうか。」

ということなので、上昇と下降についてやっていくことにした。


 「昨日もやりました、羽ばたくだけで、上昇は出来ますので、まずは昨日の復習を兼ねて、羽ばたいて上昇してみましょうか。」

 ライスさん、スノーさんに言われた通り、羽を羽ばたいて上昇する。

 シロンとユキナを含む、ホワイトイーグルのファミリーはそれについてくる。

 「いいですね。うまくできているようです。」

 まずはクリアだろう。


 「では、下降してみましょうか。これに関しては、見本を見せますね。羽を広げて、下降したい場所めがけて・・・・・。」

 ライスさん、スノーさんは一気に下降していった。

 シロン、ユキナもそれに続く。


 「ご主人様、ショーン。私たちのところまで下りてきてください。」

 シロンに促されたので、僕は、ショーンとともに降りていく。


 思ったより早い。

 ブレーキを掛けないと。

 と思ったところで、シロンたちを通り過ぎてしまい、地面すれすれのところまで来てしまった。

 シロンとユキナが、助けに来てくれて、支えてくれる。


 「思ったより早いね。ブレーキをかけるのが難しい。」

 「はい。ブレーキのかけ方は、前面の、空気に触れる羽の面積を大きくするのがいいですね。人間の、理学とかでも習ったかなと思うのですが、それと同じです。」


 なるほど空気抵抗というものか。

 翼を前面に出して、空気に触れる翼の面積を大きくする。

 確かにそうだ。なるほど、鷲たちも、こうやって加速したり、減速したりしていたのか。


 

 「では、繰り返しやってみましょうか。とその前に、下降はこのようにやっていただければ大丈夫なので、上昇のもう一つのテクニック、急上昇も見てもらいましょう。」


 翼を広げて、一気に羽ばたき、スノーさんは急上昇をやって見せた。

 「このように自力で、一気に駆け上るということもできますが。シロン、ユキナ。」


 「はい。ご主人様、弱めで、トルネードの魔法を唱えてくれませんか。」

 と、お願いされたので、僕は、トルネードの魔法陣を発動させる。少し弱めだ。


 「では、見ていてくださいね。」

 シロンとユキナは僕のトルネードの魔法に乗り込み、翼を広げて上昇した。

 スノーさんの上昇スピードより、断然、素早い。


 「上昇気流を発生させてもらいました。このように上昇気流を使って急速に上昇することもできます。翔太朗様のトルネードの魔法は竜巻、つまり、上昇気流を発動させるものなので、こうやって、上昇気流に乗れば、より早く上昇することができます。慣れないうちは、翔太朗様の場合、本当に弱めのトルネード使いながら上昇するのがいいでしょう。」


 なるほど、上昇気流。これも理学の時間で習う。

 再度弱めにしてトルネードを発動して、上昇してみる。意外と早く行ける。


 「素晴らしいです。ご主人様。」

 シロンと、ユキナが褒めてくれる。少し照れる。


 「では、より素早く、より高く上昇、下降を繰り返してみましょう。私たちについてきてくださいね。」

 そういわれて、僕はホワイトイーグルのファミリーについていった。

 

 今度は再度下降して、地面すれすれの場所まで下降する。

 そして、地面すれすれの場所から急上昇する。

 

 それを数回繰り返す。

 地面すれすれの場所は最初はとても怖く、シロンやユキナ達の少し手前の高度で、急上昇に切り替えたが、

 「だんだんと、回数を重ねていきます。なれますよ。」

 とのことだったので、地面すれすれの場所まで再度下降し、再び、上昇するという繰り返しだった。


 ありがたいことに、みんなで飛んでいくことができたためだろうか。

 上昇と下降の幅が広がっていくように感じた。

 上昇は、先ほどよりもより高くというイメージ、下降は、地面すれすれまで次は行ってみようと思うようになった。


 「うん。よさそうですね。」

 ライスさんが、よさそうという言葉をくれた。

 確かに、上昇下降、など、移動を繰り返していると、動きがよくなっていって、だんだんとコツをつかんだ気がする。


 

 「いいですね。ご主人様。では、ここからは実戦形式ということで、一度、洞穴に戻って、ミランダ様を呼んできてもらっていいですか。」


 洞穴に戻り、ミランダを呼んできた。

 「翔太朗殿か、みんなもこの週末で強くなったぞ。」

 カミラさんが、嬉しそうに話す。


 「ミラ様をお借りしたいのですが。」

 僕は、カミラさんに言って。

 「ああ、いいよ。ミラ様もとても強くなられた。修業の相手にするのは良いと思うぞ。」

 カミラさんはそう言って、ミランダを僕の方に来るように促した。


 「翔太朗様。私もかなり修業しましたよ。」

 ミランダはかなり笑っている。


 洞穴の入り口。崖の上ぎりぎりのところまでミランダを連れてきた。

 

 僕は鷲に変身して、崖の上を離れる。

 

 「では、実戦形式の修業ですね。ミランダ様には、氷の弓矢の魔法で、実際に翔太朗様達に向かって、矢を放ってみましょう。翔太朗様は、シロンとユキナと一緒に、矢の攻撃をかわし続けてみてください。」

ライスさんに促され、シロンとユキナと一緒に定位置に着いた。


「ふふふ、翔太朗様。私も、氷の弓矢。ルカと一緒に修業しましたから、かなり遠くまで飛ばせますよ。見ててくださいね。」

ミランダは機嫌がよさそうだ。


「では始めましょう。」

 ライスさん、スノーさんに促られて、実戦の修業を始めた。


 氷の弓矢が飛んでくる。

 一発、二発。

 ミランダの矢の飛距離が確実に伸びた。


 上昇したり、下降したり、横に動いたりと、弓矢の攻撃をかわしていく。

 「いいですね。こんなに動けるなんで素晴らしいですわ。」

 ミランダが、僕に向かって言う。


 「さあ、もっと早くテンポを上げて矢を射ますね。」

 先ほどより、速いリズムで、弓矢が飛んでくる。


 シロンと、ユキナと一緒に攻撃をかわし続ける。


 右に、左に、そして、上に。

 ミランダも僕の動きを予測しながらだろうか、だんだんと、かわすのがぎりぎりになってくる。


 そして、一発目をかわしたところで、二発目の矢が僕の目の前に現れた。

 つかさず、翼で防御するが、少しダメージを受ける。

 このタイミングで、そこまでの合図が送おくられる。


 「うむ。ミランダ様も翔太朗様も、そして、他の学級の皆さまもこの週末で強くなられたようですね。」

 「はい。風魔導士様をこの場にお連れして正解でした。」


 確かに、みんな強くなっていた。


 「よかったですわ、翔太朗様。ホワイトイーグルの皆様も本当に感謝です。」

 ミランダは改めて、感謝を述べる。


 「はい。お礼を言うのはこちらの方でございますよ。ミランダ様、皆様。」

 ライスさんは僕たちに向かってお礼する。


 「ライスさん、スノーさん、そして、シロン、ユキナ、ショーン。ありがとうね。」

 僕もお礼した。一番ホワイトイーグルのファミリーにお世話になりっぱなしだった。


 明日からは月曜日、王都で授業ということで、今週末の修業はここまでにして、シロンと、ユキナ、そして、スノーさんに王都まで送ってもらう。


 また次の週末も、みんなスケジュール的に問題なかったということなので、みんなで修業することになり、また迎えに来てくれるそうだ。

 僕らは王都に降り立ち、それぞれの家に帰宅していった。


今回もご覧いただきありがとうございました。

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