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#52.最初の野営


 洞穴に戻る。

 明日もみんな一日空いているということなので、ここで野営して、明日もここで修業をすることになった。

 この学級の、この班のみんなで行う最初の野営。

 といっても、リリアンの大活躍で、野営の苦労はそこまでなかった。


 錬金術で、全員が座れる、テーブル、そして、椅子を全員分用意した。

 そして、収納魔法から、野菜と肉を取り出す。

 あとは、お得意の錬金術で、鍋、フライパンなどを作成し、調味料も錬金術で作り上げて料理をした。

 火に関しても、ミランダとルーベルトが炎の魔法が使えたので、簡単に用意できた。

 そして、綿と、この洞穴に散らばっていた、シロンとユキナ、もしくはホワイトイーグルの家族のだれのものかわからない、抜けて地面に落ちていた羽毛をいくつか使って、布団やテントもリリアンは錬金術で作ってくれた。


 ここまで僅か、数分の出来事。

 学級のメンバーは僕と、カミラさんを含めて、唖然とする。

 


 「ご、ごめんなさい。私、戦うのあまり得意ではないので、今日の修業も、錬金術磨きで足を引っ張ってしまったので、その、こういうところでしか皆さんのお役に立てなくて・・・・・・。」


 「「「いやいやいやいや・・・・・・・・。」」」

 みんなの声がハモる。


 十分すごすぎる・・・・・・。

 

 「すごいよ、リリアン。錬金術ってこんなこともできるんだね。」

 僕は素直にリリアンに言った。


 「ああ。そうだとも。事実、こういった、食事担当や持ち物を管理する人も部隊のメンバーには必要なことだ。現に僕の父上の率いている、魔法部隊でもこういうメンバーがいる。」

 「私のお父様とお母様の部隊もですわ。」

 ルーベルト、ミランダが言った。


 「ああ。こんなに素晴らしい野営は今までやったことがない。自信を持つのだな。リリアン。」

 冒険者ランクA、きっとたくさんの場所に行ったことのあるカミラさんでも、この評価。


 「はい。ありがとうございます。」

 

 「リリアンは、うらやましいです。美人だし、料理もうまいし。」

 マリアは素直にリリアンに言った。


 「ありがとう。マリア。何だが照れますね。」

 リリアンは顔を真っ赤にしている。


 この学級のメンバーでの初めての野営。

 

 リリアンが作ってくれた食事はどれもおいしかった。

 食休み、また少し時間があるので、話し合いをする。


 もちろん、この野営で大活躍した、リリアンの錬金術についてだ。

 「錬金術はこんなこともできるんだね。」

 僕が素直に感想を言う。


 「はい。ほかにも武器とかも作れます。翔太朗君の短剣少し強くしましょうか。」

 「できるの?」

 「はい。やってみます。」

 

 とのことだったので、僕は短剣を渡した。

 羽型の見た目で、グリフォンの羽が錬金されている短剣だ。

 

 リリアンは収納魔法で鉄を取り出し、短剣に合わせる形で、錬金した。

 「少し、強度が増して、壊れにくくなったかと思います。少し、攻撃力も上がったかと。」

 

 なるほど、確かに頑丈そうに見える。

 念のために、リリアンとアンソニーに鑑定魔法をお願いしたが、少し強度と攻撃力が増しているようだ。

 「すごい、ありがとう。」

 僕は、お礼を言った。

 

 鑑定魔法についても、リリアンは使えるが、さすが商家の息子、アンソニーも鑑定魔法の質は素晴らしかった。

 僕自身も薬草の選定などで、鑑定魔法、風ノ里ではトン吉爺さん流の鑑定の術、を使用していたが、植物のみに実施することが得意で、こういった金属類での実施はまだまだ、二人よりも未熟なようだ。


 「逆に植物の鑑定ができれば、こういった金属の鑑定魔法はすぐに使えるよ。」

 「おう。植物の方が鑑定魔法難しいんだぜ。」

 リリアンと、アンソニーに言われた。


 ということだったので、僕も実際にやってみることにした。

 植物の鑑定魔法の魔法陣を思い浮かべて発動する。

 そして、ここから、金属などの鑑定魔法の魔法陣にアレンジしていく。


 「うん。いけそうだね。翔太朗君。」

 リリアンに言われて、僕は先ほどの錬金してくれた、短剣を鑑定してみる。

 

 「おお、同じような結果が出た。」

 僕は、言った。

 

 「うん。何回かやってみて、コツをつかめばいけそうだね。」

 「そうだね。ありがとう。」


 「はあ、翔太朗様は色々できてうらやましいですわ。」

 ミランダが僕に向かっていった。

 

 「まあ、薬の調合とかに使ってたし。錬金術もそうだな。薬とかならいけるかな。」

 「そうだね。薬の調合の授業、これからもよろしく。」

 リリアンは、僕にハイタッチしてきた。

 

 おそらく、魔法薬関連の授業で薬関係の錬金は少し習うだろう。錬金魔法はその時に知識を深めることにした。


 そして、みんなで今日の特訓はどんなことをやったのか話すことにした。

 僕は、変身魔法の特訓を行ったことを話した。

 

 「本物の鳥みたいだったですわよ。」

 ミランダが言った。


 「うん。これで、鳥獣系の魔物ができない魔法とか特技とかが覚えられそうだね。」

 ルカが付け加えるように言った。


 「ただ、飛び方が難しい。かなり風の抵抗を受けたりする。二人はすごいね。僕たちを乗せて飛べちゃうんだから。」

 僕は素直に風の抵抗が難しいということを話した。

 そして、シロンとユキナに尊敬と感謝の目を向けた。


 「いいえ。ご主人様。私たちも最初はショーンみたいに苦労しました。」

 「はい。ご主人様の方が上達は速そうですね。私たちホワイトイーグルにとっては、空を飛ぶという行為は、人間が歩く訓練をするということですから。もう少し、ショーンも上達してもらわないと。」

 

 シロンと、ユキナは声をそろえている。


 なるほどな。

 「そうか、確かに赤ん坊が最初、歩くときはかなり練習がいるもんな。」

 確かにそうだ、赤ん坊は、ハイハイから始めて、タッチして、立てるようになり、そしてその後歩く、しかもよちよち歩く感じだ。

 そうなると、ショーンの方が練習が要るかもしれないな。と僕は思う。


 「まあ、今の話を聞いていると、僕は、実際に歩く訓練を先にやったからね。」

 「確かにそうですね。私たちも、ご主人様と一緒ですね。」

 シロンと、ユキナが納得していく。


 さて、日が沈み、あたり一面暗くなった。

 「さて、みんな眠るとするか。」

 カミラさんの鶴の一声で、寝る支度をした。


 リリアンの錬金術で用意してくれた、テント。そして、仕切りも用意され、水浴びもすることができた。

 最高の野営になった。


 そして、テントの中には、錬金術で作られた布団がある。

 布団の中からほんのりいい香りがする。

 ミランダに誕生日プレゼントに贈った香水の匂いだ。


 「翔太朗様からいただいた香水をかけてみましたわ。」

 きれいな香りがする。誕生日プレゼントは成功したようだ。ミランダも気に入っている。


 「おやすみなさい。」

 「おやすみ。」


 火を消して、僕たちはすやすやと寝息を立てた。

 


今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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