#44.マリアの母親
僕らは空を見上げた。
小さな点、それがどんどん、どんどん大きくなってくる。
そして。
ドーン!!
僕たちの目の前に、巨大なものが土煙をあげて、着地した。
「お前が裏口入学の生徒か。」
巨大なものがしゃべった。
全員の目が点になる。口をあんぐり開けて唖然としている。
しかし、ただ一人、マリアは平然としている。
巨大なものの正体。
そこにいたのは『ドラゴン』だった。
「ぶ、『ブルードラゴン』がなんでこんな王都のど真ん中にいるのですの?ふつうは山奥にいるのでは・・・・。」
『ブルードラゴン』確かに青いドラゴンだ。
「ご、ごめんなさい皆さん。この『ブルードラゴン』は私の母様なのです。」
マリアがみんなに謝って説明した。
「「「え、えーっ!!」」」
僕たち含めてみんな普通の反応。
「私、その、孤児で、人間の親に捨てられて。このブルードラゴンに拾われて育ったのです。すみません。」
「いかにも、我はマリアの育ての母親、ブルードラゴンのエドラだ。同じ学級の諸君のことはマリアから聞かせてもらっている。今日もマリアから話を聞いて、ブレゾラン山脈の山奥から飛んできたのだ。」
なんと、ドラゴンに育てられたとは・・・・・・。
「おい。そこの裏入学の少年。」
ドラゴンは僕を指さす。
「お前が、我が娘、マリアと同じ学級、つまり同じパーティーなのが納得いかない。そもそも、娘を優秀な魔法使いとして、人間の元へ送り出そうとしたために、この、王都の魔道学院を選んだのだ。つまり、お前が魔道学院にいること自体も納得いかない。我もそこの偉そうな貴族のガキと同じ意見だ。」
全員が沈黙する。
「なるほど、だからマリアは古い魔法に詳しかったのですわね。私たちよりも古い時代から生きている、ドラゴンに教えてもらっていたから。」
「は、はい。」
ミランダの納得した表情にマリアが答える。
「おい。そこの裏口入学の少年。我と、我ら家族と戦え。我が娘と一緒に学ぶべき学友としてふさわしいか、我が直々にテストしてやろう。」
「おいおいマジかよ。ドラゴンって、俺達でも倒せないぞ。」
「ああ。確かに裏口入学については同情するが、さすがにドラゴンと戦うのは。とてもハイリスクだと思うがね。」
アンソニーとルーベルトが言った。確かにこれはハイリスクだ。
最悪だ。よりによって僕はドラゴンと戦うなんて。
「あの、マリア殿の保護者の方。もしも、この者、翔太朗殿というのですが、翔太朗殿が戦いを断ったら。いかがなさいますか。」
カミラさんは、戦わずして、勝つ方法を模索しているようだ。
それならありがたい。
「魔道学院に抗議、ということで、魔道学院内と、理事長でもあり、そこの小娘と裏口入学のガキの住んでいる家の敷地内で、とことん暴れるまでだ。建物を壊すくらいに暴れてやろう。」
どこにでもいるんだよな。このモンスターペアレントというのは。確か、忍者学校の先生もそんな親に苦労していた記憶があった。
いや、このドラゴンの場合。完全にモンスターなのだが。
僕は、ため息をついた。
「いいですよ。カミラさん。戦います。」
「しかし、翔太朗殿。」
カミラさんが、止めに入る。しかし、ドラゴンといっても、力比べに来ただけだろう。
「おそらく、向こうも力比べですよ。殺されませんから。」
と念を押す。
「・・・・・わかった。」
カミラさんはどこか納得いかない表情だ。
「おお、このガキは話が早くて助かるではないか。」
ドラゴンが、納得している。
「保護者の方。いいでしょう。模擬戦を許可します。ただし、審判は私です。模擬戦では、私の言うことを聞いてください。翔太朗殿が負けた場合は、今後の対応はきちんと協議しますので。」
「いいだろう。まあ、とにかく、負けても強いことが証明できればそれでいい。お前の言うことを聞いてやろう。」
「感謝する。」
カミラさんは、ドラゴンのやり取りを丸く収めたようだ。
「おい、裏口入学の少年。ここだと、ドラゴンは目立つので、王都の北側の崖の上に来い。そこで、我ら家族とともに待っている。そこで決着をつけてやろう。」
そういって、マリアの母、ブルードラゴンのエドラは飛び立っていった。
「必ず崖の上に来い、さもなけば、魔道学院と貴様の家をぶっ壊す。」
そういって、僕らの視界から消えていった。
「しょ、翔太朗君。ごめんなさい。皆さんもごめんなさい。私の母のせいで。文通魔法や手紙でやり取りをしていたら、こんな風になってしまって。」
マリアは、僕に謝ってくる。
「マリア殿、過ぎてしまったことには仕方があるまい。だが、お前はお前だ。今回の件も、あいつらが勝手に押しかけてきたのだろう。」
カミラさんが言う。
「翔太朗様。行かれるのですね。」
ミランダが言った。
「ああ、大丈夫。何とかなるだろう。ダメならだめで辞めればいいし。」
「ご主人様、私たちも行きます。」
「そうだね、シロン、ユキナ、崖の上まで乗せて言ってくれる。そして、できることなら、みんなも乗せられる。」
「「はい。お任せください。」」
僕らは、シロンとユキナに乗り、王都の北側の崖の上まで行った。
学級のメンバーとカミラさんを一度に運ぶのは困難だったので、シロンとユキナは二回に分けて運んでくれた。
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