#43.マリアの魔法~級長決定戦、その3~
今度は、女性陣が、得意な魔法を披露する模擬戦だ。
ルカ、マリア、リリアン、そしてミランダの四人はカミラさんから渡された、クジを引いて対戦相手を決めた。
抽選の結果。ルカとマリア、ミランダとリリアンに決まった。
どちらから始めるか話し合い、ミランダとリリアンの組から先にやることが決まった。
「ミラ様、緊張せずにリラックスを。負けても終わるわけではありません。」
カミラさんが、再び審判をして、試合開始の合図を送る。
「よろしくお願いします。ミランダさん。」
「よろしく、私はミラとお呼びになってください。」
「はい。ミラさん。」
ミランダはクロたち、ブラッドウルフ5頭の群れを召喚する。
「私のパートナーを紹介しますね。」
「5頭か、一気にミランダが有利かもしれないね。」
ルカが分析する。
「ブラッドウルフですか。翔太朗様と同じくスピードのある戦い方が見られそうですね。」
「ミラさん、召喚魔法使えるんですね。すごいです。それじゃ、私は攻撃の魔法は苦手なので、これで。」
リリアンは白いボールのような紙くずを取り出す。
「では、行きますね。」
リリアンは白い紙くずを投げる。
ボーン!!
大きな音を立てて、紙くずは爆発した。
「やるわね。リリアン。」
「ありがとうございます。錬金魔法で作った爆弾です。いろいろとアピールさせてください。」
「そう来なくっちゃね。」
リリアンは、紙の爆弾を投げ続ける。
ミランダとクロ一行はかわし続けながら、リリアンを追い詰める。
「もっと、大きいの行きます。」
リリアンは、そういって、大きな石を取り出した。
その石を投げる。
これも爆弾。当然、石なので、先ほどの紙の爆弾より威力は上がる。
そして、これも当然、リリアンの錬金術で作ったものだろう。
リリアンは、もう一発、大きな石をもって、それを投げる。
ミランダは、氷の弓矢の魔法で、その石を射止めようとする。
どうやら、石を射止めることに成功したようだ。弓矢が当たった衝撃で、空中で、爆発する。
そのまま、氷の剣の魔法で、一気に突撃する。
リリアンの錬金で作った、爆弾を受けながら、氷の剣が壊れては、またミランダがつくりかえ、爆弾を受け、壊れては、つくりかえの繰り返しだ。
「行きますわよ、クロ。みんな。」
「「ワオーン!!」」
ミランダとクロ一行が、錬金魔法で作った様々な爆弾の雨をかわしながら、リリアンを追い詰めることに成功した。
リリアンはさらに、錬金魔法で、持っていた、鉄を剣に変えて、応戦する。
しかし、リリアンは力が弱いようで、その剣はミランダの氷の剣に弾き飛ばされる。
「よし、ここまでだな。ミランダの勝ちで。」
カミラさんは、リリアンの剣が弾き飛ばされたところを見て、終了の合図を出す。
「ミラ様は、翔太朗殿と出会ってからいい動きをしているな。水魔法、さらに極めて行こう。」
「はい。カミラさん。」
「錬金魔法は素晴らしいよ。どちらかというとサポートタイプなのに、よく頑張ったな。いろいろと書物を読んだのか。」
「はい。いろいろと勉強しました。読書くらいしか、趣味がなくて・・・・・。」
リリアンは照れたように答える。
「ミラ様、リリアン、お疲れさまでした。」
僕たちのギャラリーに戻ってきた、二人を迎える。
「翔太朗様。緊張しましたが、頑張りましたよ。」
「よかったです。」
「二人ともすげーぞ。」
アンソニーはただその一点張りだ。
「錬金魔法をもっと見せてほしいな。いろいろとできそうだし。回復魔法もさっきから上手そうだしね。」
ルカがリリアンに向かっていった。
「ええ、錬金術師はとても貴重ですわ。」
ミランダは、リリアンの健闘をたたえた。
「さて、次は、というより最後は僕とマリアの番だね。」
「はい。よろしくお願いします。」
ルカと、マリアはそう言って、カミラさんの元へ、広場の中央へ向かった。
「マリアの魔法。楽しみですわね。翔太朗様。」
「はい。かなりの魔力を感じます。」
「おお、裏口入学君もわかるのかね。マリア、そして悔しいが裏口入学である君からもだけど、二人からは多くの魔力を感じるよ。」
ルーベルトが、付け加えた。
「確かに、ちょっと怖いですね。あの魔力量。もちろん、翔太朗君もですが、マリアさんはそれ以上に、魔力があると思います。もしかすると、風の噂ですが、マリアは一位で入学試験を突破した人なのではないでしょうか。」
リリアンが言った。
「そういえば、お爺様が言ってましたわ。全教科満点で入試を突破した人がいるって。誰かは公表しない決まりなのですが、あの魔力の量。マリアならば納得しますわ。」
「な、なんと、そうなのか。優秀であるこの僕がその生徒であることを願いたいが、実技試験もある。あの魔力量なら、わからないか・・・・・・。まあ、学術試験だけであれば僕も満点の自信があるのだが、どうだろう。まあ、学院の決まりなので、教えてくれなそうだが。」
ルーベルトが一瞬驚いたが、すぐにその自信過剰な性格を取り戻したようだ。
「あの、マリアさん緊張していますね。大丈夫なのでしょうか。」
リリアンが心配そうに見つめる。
大丈夫だろう。マリアの魔法を見てみたい。
「はじめ!!」
試合開始の合図をカミラさんが送る。
ルカは、得意の剣術で、マリアを攻めていく。
マリアは防御魔法を発動し、ルカの剣術の防御に入るが、それを見て、ミランダは驚いた。
「な、なんとまあ、すごいですわ。」
どうかしたのだろうか。
「翔太朗様に説明すると、あの魔法は『妖精の結界』と言って、古い結界の防御魔法なのです。書物にしかその名前はなく、使える人はほとんどいません。」
なるほど、つまり書物にしか確認できない、魔法を今見ているということか。
古い古い古典的の魔法らしい。
「へえ、やるじゃん。マリア。」
ルカは、結界に跳ね返されてもあきらめず、結界の周りで何度も剣を振る。
「行きます。ルカさん。」
マリアの魔法陣が発動。光の魔法だろうか。ルカを包み込むように攻撃する。
「『オーラ』という光の魔法ですね。これも古い魔法で、消費魔力が高くなかなか使える人はいません。」
ミランダの解説。なるほどこれも古い光属性の魔法か。
「うむ。『妖精の結界』を破る方法がない限り、ルカは少々不利だね。」
「マリアはすごいな。さすがだぜ。」
ルーベルトとアンソニーもマリアの魔法を見つめる。
「僕は、まだまだ、あきらめないよ。」
ルカは言った。
「騎士たるもの、どんな逆境の中でも立ち向かうのが務めだから。」
ルカは深呼吸をする。
「肉体強化~速さ~」
ルカも、速さの肉体強化魔法が使えるのか。
「剣術強化と騎士魔法。行くぞ必殺『神速剣』!!」
剣を振る速さが格段に増える。
結界を力ずくで破ろうとしているのか。
マリアは、結界が破れないように必死に魔力を込めている。
「私も、まだまだ、行きます。魔力を込めて・・・・・。結界は破れさせないようにしなきゃ。」
「それならこれはどうかな。」
ルカは一度マリアの結界から離れた。
「召喚魔法。」
ルカが召喚魔法を唱える。
そこに現れたのは、白い馬体で、金色のたてがみをしたユニコーンだ。
「きれいです。ご主人様。」
「本物のユニコーンさんだ。きれい。」
シロンとユキナもきれいな純白の体を持っているが、ルカのユニコーンが召喚されたとき見とれていた。
「ご主人様、私ももっときれいになりますから、お傍に置いてくださいね。」
「私も、もっと、もっと、もっ~ときれいになります。負けないくらいきれいになります。」
シロンとユキナは僕に向かって、頑張りますアピールを一生懸命している。
「一緒にいるよ。シロン。ユキナ。」
「「はい!!」」
ユニコーンを召喚したルカは、そのユニコーンに跨る。
ユニコーンにはもともと手綱がついている。どうやらルカが乗るときようだ。
ルカは、収納魔法の魔法陣を表し、槍を取り出した。
「行くよ!!」
ユニコーンに合図を出し、マリアとそれを囲む結界に向かって、突撃する。
魔力を込めているのだろうか、槍とユニコーンの角から炎が現れ、炎の魔法で突撃する。
一発、二発と、突撃する。
「それなら、こっちはどうかな。」
今度は、雷をまといながら、マリアの結界に突撃する。
少し結界が揺らいだ。マリはまずいと思ったのだろう。
魔力を込めつつ、もう一度、『オーラ』という光魔法で、ルカを追い込む。
ルカも負けじと、槍とユニコーンの角で、突撃するが、追い込まれたようだ。
オーラの魔法で力尽きた。
「うん、そこまでだな。マリアの勝ちだろう。しかし、ルカは流石騎士だったぞ。精神力は賜物だな。」
「マリアはすごいな。古い魔法をどうやって会得したのか気になるな。」
カミラさんが、終了の合図を送る。
「二人とも素晴らしかったですわ。」
「はい。古い魔法と騎士の戦い、本当に良かったです。」
ミランダとリリアンが話をした。
「はは、負けちゃったよ。僕はもっと鍛錬しないとだね。」
ルカは笑いながら答える。
「さて、これで、みんなの得意な魔法。みんなの戦い方を一通り見たな。私個人としては、みんな全員、それぞれの良さを活かした戦い方だった。誰が級長になってもおかしくないぞ。」
カミラさんが今日の好評を行う。
「ふん。そうだろう。なら僕が級長になるべきだ。僕こそ貴族。それにふさわしい。」
ルーベルトが言った。
「うーん。僕は、今日のみんなの特技を見て、さらに迷っちゃったな。」
ルカは迷った表情をする。
「私も、かなり迷います。」
リリアンもルカに同情する。
「俺は、マリアか翔太朗君がいいと思ったぞー。」
アンソニーが言った。
「「えっ?」」
僕と、マリアは驚いている。
「マリアは、古い魔法が使えて、いろいろ知ってそうだし、翔太朗君はこの中で唯一、二回戦闘していて、一回は負けたけれど、すごい戦い方だった。複合魔法の話もあるし、かなり伸びしろがあると思う。」
「たしかに、そうですわ。私よりもマリアは色々知ってそうですわね。勉強しなくてはと思いましたわ。」
ミランダが、アンソニーに同情する。
「それ、いいかもしれないね。翔太朗君の戦い方はかなりしびれたし。マリアは僕が戦って分かったけど、おそらく一番強い魔法が使えるんじゃないかな。」
「そうですね。いいですね。アンソニー君は色々機転が利くね。」
ルカと、リリアンも同情する。
「さあ、ルーベルトあなたはどう思いまして。」
ミランダは改めて、ルーベルトに言った。
「うーむ。仕方がない。それなら、断然にマリアを僕は選ぶ、こんな裏口入学君が級長は話にならない。」
ルーベルトは渋々の表情だ。
「翔太朗殿とマリア殿の決選投票になりそうだな。多数決にするか?この対戦は全員の特技と現状を見ることが目的だったから、二人の決選の対戦はする必要はないとみている。特に、翔太朗殿は休みがあったとはいえ、人より余計に対戦しているからな。」
「そうですわね。多数決ということにしましょうか。カミラさんも入ってくださるかしら。」
ミランダの提案にカミラさんは頷く。
「そうだな、では、マリア殿と翔太朗殿の多数決という・・・・・・・・。」
「ちょっとまったぁぁぁぁぁ!!」
どこからともなく声がする。
「ちょっとルーベルト、みんなの民意を反映させるのも貴族ですわよ。独断で、マリアにしないでくださる。」
「いや、僕は、何も言ってない。空から叫び声が聞こえてきたんだけど。・・・・・。」
「そうだ、我はここだぁぁぁぁ!!」
僕らは空を見上げた。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。
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まだまだ冒険は続きます。新しい、魔道学院の個性豊かなパーティーメンバーもどうぞよろしくお願いいたします。こういうゼミ。大学のゼミをもう一度受けてみたい今日この頃です。




