#41.貴族街の広場にて~級長決定戦、その1~
貴族街の広場に僕たちは移動した。
「そしたら、みんな冒険者ギルドに登録しているというわけだから、一通り、何回戦か演習をやってみて、みんなの特技を見てみたいと思う。ではまず、そうだな。アンソニー君と、そこにいる裏口入学君でやってみようではないか。」
僕と、アンソニーは両者で向かい合い、一対一のゲームをすることになった。
「よろしくね、翔太朗君。」
「よろしくお願いします。アンソニー君。」
お互いに挨拶をかわす。
「大丈夫ですわよ。翔太朗様。少しでもいいところを見せて、ルーベルトを見返しましょう。」
ミランダが熱くなっている。
「ふん、何度でもいうがよい。僕は、アンソニー君が余裕で勝つ方に一票入れましょう。」
ルーベルトが言った。
「審判は私がしよう。あくまでも模擬戦だ、学級の仲間なのだから、お手柔らかにな。私が止めたら、やめること。」
カミラさんが進んで前へ出た。
「ルーベルトのことがあるが案ずるな。翔太朗殿。今までの私との修業の成果、ギルドの仕事を思い出せ。きっといいところまで行ける。」
カミラさんが、僕の手に肩を乗せた。それで、リラックスすることができたかもしれない。
そうだ、忍者学校のトラウマを知らず知らずのうちに背負っていた。ルーベルトが級長になって、何かされたらどうしようか。僕はそう思っていた。怖いくらいにそう思っており、それが恐怖と感じていたのかもしれない。
確かに、そのせいで、さっきまで緊張していた。
だが、そこまで緊張してはいなかった。それはきっと、ミランダとカミラさんがいてくれたのかもしれない。
そうだ、重要指名手配犯を追い払ったじゃないか。大丈夫だ。
僕とアンソニーはお互い離れた。
「はじめ!!」
カミラさんの合図で、試合開始。
「翔太朗君。先に攻撃を仕掛けていいよ!!」
アンソニーが言ったので、お言葉に甘えることにする。
魔法陣を出して、呪文を唱える。
「風よ、切りさけ。『ウィンドカッター』」
「行くぞ、土魔法『ウォール』」
アンソニーの前に、巨大な土壁が現れる。ウィンドカッターは土壁の前にふさがれる。
なるほど、大きな体に、身に着けている強そうな鎧。そして、得意な土魔法。アンソニーの戦い方は目に見えて判った。
「へへへ、防御することと、土魔法が得意なんだ。」
アンソニーは素直だ。
「今度はこっちから行くね翔太朗君。」
よし、かかってこい。
「土魔法。『ウォールポーン』」
地面から土でできた、巨大な棘、針が出現する。
どうやら土壁を分散させ、いたるところに出現させる感じだ。
僕は、間一髪でそれをかわし、
「肉体強化~速さ~」
肉体強化でスピードを上げた。
確か、土魔法の弱点は地面から離れていれば良くて・・・・・。
薬草園の時、土遁のサングラス男とたかっているとき、トン吉爺さんから教わったよな。
あの時は忍術で、何もできなかったが、今は魔法で少しできるようになる。
肉体強化~速さ~の魔法をさらに連続してかけ、ジャンプをしてかわす。
土壁がいたるところに出現してくるが、出現する土壁を蹴り、飛び回りながら、前に進み続け、アンソニーの近くまで行こうとする。
「すごいね、翔太朗君。風魔法やジャンプが得意なんだ。これじゃ、土魔法の僕は不利だね。」
素直にアンソニーはほめる。
「その調子ですわよ翔太朗様!!」
ミランダが、応援してくれる。
「うん。翔太朗君は良い動きをしているね。」
「はい。この学級のメンバーの中で、一番速いかもしれません。」
一緒に見ていた、ルカとリリアンが冷静に分析をする。
「速いですね。翔太朗君。」
マリアも素直な感想。
「うん。だが、速さと少しの風魔法だけで、勝てるのかな。アンソニー君の防御もなかなかだね。」
ルーベルトの感想はアンソニーをひいきしているようだ。
「じゃあ、これはどうかな翔太朗君。行くよ。土魔法『ウォールタワー』」
土壁が現れる。ジャンプで、上へ、上へとかわす。
だが、上へ、上へとかわしても土壁はそれ以上の高さまで、さらに積みあがってきている。
さすがに肉体強化だけでは登り切れなくなった。
僕の体はゆっくりになり、さらに重力に従って、落ちていく。
「これで、一気に決めるよ。僕のオリジナルで、一番得意な魔法。行きます。土魔法『ハンド』」
土の中から巨大な手が現れる。
まずい、この手につかまれたら、一溜りもない。巨大な手に飲み込まれる。
「アンソニー君、すごい。」
「いい防御だね。」
「ええ、防御こそ、最大の攻撃ということですね。」
女子3人。ルカ、リリアン、マリアはアンソニーの戦い方を見ている。
「さすがは、アンソニー君だ。防御の仕方の基本がものすごくできているね。このまま飲み込まれてしましそうだね、裏口入学君は。」
ルーベルトはアンソニーの戦い方を見て、アンソニーが勝ったと思っている。
「翔太朗様。しっかり・・・・。頑張って・・・・。」
ミランダは祈る思いで見つめている。
「行くよ。シロン、ユキナ。」
僕は魔法陣を発動させた。
シロンと、ユキナが現れてくれた。
「「・・・・・・・!」」
ギャラリーは固まっている。おそらく下降している僕が、なぜか一気に上昇したからだろう。
間一髪、魔法で現れた、土の手から逃げられた瞬間だ。
僕は召喚した、シロンに乗って、大空高く舞い上がったのだ。
隣にはユキナも一緒に飛んでいる。
「お怪我はありませんか?ご主人様。」
「ご主人様ぁ~、すごくしびれた戦いですね。シロン、頑張っちゃいます。」
「ありがとう、来てくれて。シロン、ユキナ。」
「「もちろんです。召喚魔法で、ご主人様をお助けします。」」
「さすが、シロン、ユキナ。」
地上にいる、ミランダが叫んでいる。
「ホワイトイーグル、召喚魔法か。」
「へえ、翔太朗君、さすがだね。」
ルカ、リリアンは感心している。
「ホワイトイーグルさんですね。とてもきれいですね。」
マリアは、シロンとユキナの純白な体に見とれているようだ。
「へえ、やるじゃないか翔太朗君。だが、まだまだ、これから。」
アンソニーは土魔法を唱えるが、空を飛んでいる僕たちは彼にかわしていく。
「ご主人様、行きますよ。」
「わかった。」
シロンとユキナは、アンソニーめがけて突撃する。
「『ウィングアイアン』!!」
シロンと、ユキナは翼を鋼に変えて、その翼で、アンソニーをたたいて、突撃する。
一発、二発、三発と続く。
アンソニーはひたすら装備している大きな鎧や防具でひたすら防御している。
「ご主人様。行きますよ。最後決めましょう!!」
「「「『ウィンドカッター』」」」
シロンとユキナは翼を羽ばたかせ、そして僕は魔法陣を唱えて、三人同時に、ウィンドカッターを放つ。
アンソニーは後方に飛ばされて、受け身を取った。
「そこまでだ!!」
カミラさんが、終了の合図を送る。
「この試合の勝者は翔太朗殿だ。」
カミラさんが、言った。
「翔太朗殿、ナイスだった。アンソニー殿もなかなかの防御力だ。土魔法も見事だったし、普通、一発目の突撃で、吹き飛ばされてしまう。お互いの良さを十分に生かした戦いだったな。」
カミラさんは好評をくれた。
「すごいよ翔太朗君。こんなに速いなんて。俺、防御しきれなかった。」
アンソニーは握手を求めた。
「アンソニー君もなかなか固かったよ。」
「おう、これが俺の防御だからな。」
「すごいですわ、翔太朗様。」
「普通にこのパーティーメンバーでいちばん速い人と、一番固い人だと思うよ。」
ミランダ、ルカが、声をかけている。
「お二人とも大丈夫ですか。」
リリアンは、そういって、僕とアンソニーに『ヒール』をかけてくれた。
「ありがとうリリアン!!」
「ありがとうございます。」
僕と、アンソニーはそれぞれ言う。
「よかったです。私、これくらいしか才能ないので・・・・・。私の番はとても緊張します。」
「うむ。さすがに、裏口入学君の腕前もなかなかのものと認めるしかないな。だが一度勝ったからって油断はしないことだな。」
ルーベルトはまだまだ余裕の表情で言った。
「ちょっと、アンタ、ご主人様に失礼よ!!」
「お姉ちゃん。ちょっと・・・・・。」
「ほお、君のホワイトイーグルは口がなっていないようだな。」
ルーベルトはシロンとユキナに向けて言った。
「よろしい。では次は僕が裏口入学君と、そのホワイトイーグルの相手をしよう。その従魔たちの減らず口を叩き直してあげましょう。」
「ちょっと、ルーベルト、翔太朗さまは連続して戦うことになるのですよ。それは流石に行けませんわ。」
「僕もそれに関しては、同感だよ。」
「あの、それは流石に公平ではないかと・・・・・。」
ミランダ、リリアン、マリアが続く。
「僕は、大丈夫。さっき、リリアンにヒールかけてもらったし。それに、ルーベルトは、最初からシロンとユキナも一緒に戦っていいと言っているんだし。」
「翔太朗様・・・・・。」
「問題ないと彼は言っているんだ。始めようではないか。」
ルーベルトが鼻を高くしている。
「翔太朗様、無理しないでくださいね。」
「翔太朗君なら平気だよ。頑張って見せてやろうぜ!!シロンちゃんもユキナちゃんも頑張れ。」
ミランダとアンソニーが気遣ってくれる。
「うん。多分大丈夫。」
僕とルーベルトは、広場の中央に向かった。
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