#4.烈風の双子
ガラガラと玄関の扉が開かれる。
帰ってきたか・・・・。
「父さん、母さん、ただいま。」
僕と同じような声が響き渡る。
「お帰り、龍ちゃん。ささ、任務お疲れ様。」
石畳の玄関に、僕と同じような少年は靴を脱ぎ、上に上がる。
落ちこぼれといわれる理由、家族から疎まれる理由は成績と、家柄のほかにもう一つあった。
このもう一つの理由が、最大の理由なのかもしれない。
「なんだ、翔太朗、いたのか。」
僕と同じ容貌の少年は冷たそうに言った。
「このダメ男はまた試験に落ちたの。本当にダメね。次落ちたら、うちの家政婦以下よ、一家全員の奴隷よ。」
一緒にいた、母はその少年に耳打ちした。
「また落ちたのか、本当に、お前、同じ吉田として、同じ双子の兄として、恥ずかしいぞ。失せろよ。早く飯用意しろ。」
そういって、その少年は、僕のもとを去り、屋敷、僕の家の長い廊下の奥へと消えていった。
この少年の名は。吉田龍太朗。僕の双子の兄だ。
吉田家に数百年に一度、双子が生まれることは、先祖の代から、伝えられていたらしい。
しかもその双子は、吉田一族の人間よりも多くのチャクラを生まれ持って所有しているのだとか。
チャクラは、忍術を使うためのエネルギーだ。忍術を使えばチャクラを消費していく。回復にも時間を要する。つまり、チャクラの量が多いということはそれだけより多くの、より高難易度な術を使うことができる。しかも、簡単に倒れることもない。
吉田一族の、双子にはこういわれている。
『烈風の双子』と。
しかし、僕はそんな才能はなかったようだ。
兄である龍太朗は、かなり多くのチャクラを持っていること、生まれながらにして、周りにそれを披露していった。
吉田家秘伝の、『鷲眼の術』も会得。さらに、大きな鷲とも契約ができ、口寄せができるようになった。
そして、鷲に変化しては空を飛ぶことができる。
これらを忍者学校入学前から会得した。
そして、忍者学校、弟の僕が、不合格であることに対して、兄は首席で卒業。
風ノ里の下忍になった。
そして、半年もしないうちに、那ノ国の中忍に昇格。
里の忍者、つまり下忍は里単位で試験を行うが、中忍は国単位で試験がある。
下忍に対しては、依頼主から里長を経由して任務を指示できるが、中忍は依頼主から里長そして、国の宰相、軍務卿を経由して、再び里長を経由して任務を行う。
つまり、中忍の任務は国が指示した任務になるのだ。当然、任務の内容もより高度になる。
僕の両親、そして叔父の長治や従兄の喜助、治美など、吉田一族すべての人、そして、吉田家に使える執事の人も初めは僕に対しても何事もなく接してくれた。
だが、兄の高度な術の会得、忍者学校の成績、忍者学校の卒業試験を経ていくにつれ、今の態度になっていった。
優秀な兄だけを溺愛して、弟は奴隷のように扱われる。そのようになっていった。
ただ、一人、トン吉爺さんをのぞいては。
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