#37.裏口入学
「おはよう翔太朗君。よく眠れたかな。」
ダイニングルームでポールさんが待っていた。
ポールさんは、僕らが来て嬉しそうだ。
僕たちは席について、朝食を食べ始める。
「さて、翔太朗君。実はミランダは今夏休み中で、夏休みがもうすぐ開けて、秋から、セディア魔道学院という、王都の魔道学院に通うことになっている。」
なるほど、王都に魔道学院という場所があるのか。魔法を学べる学校だ。
「もちろん、ギルドに登録して日雇いの仕事をしながら、学校に通うことができる。この国ではそれが普通だ。この国の若者の多くは学校に通いながら仕事をしているのだ。もちろん、学校での学び一本にしている人もいるが。よりよい生活を求めて、働きながら修業や学びをしている人の方が多い。」
なるほど、学費や生活費を稼いだりしながら学校に通っている人がいるということだな。
ギルドというのは、素晴らしいシステムだ。
「そこでだ。翔太朗君。君もさらなる魔法の修業のために、ミランダと一緒に、セディア魔道学院に通わないか?そこでなら、カミラの修業プラスアルファで、勉強もできる。そして、魔道学院は王都にある、特に引っ越しの必要もなく、この屋敷から通うことはもちろん可能だ。」
ポールさんの提案にうれしくなる。
さらに魔法の修業ができるのはうれしいし、さらに高度な勉強もできることはとても素晴らしい。
確かに忍者学校ではろくな学びができなかったな。
魔法の修業は楽しいので、学んでみたいと思ったが。
「ぜひ学んでみたいですが、入学の試験とかは・・・・・・。」
「大丈夫です。ポール様はセディア魔道学院の理事長です。そして、わたくしアレックス=ジャスパーもモナリオ家の執事長兼、セディア魔道学院の理事の一人です。さらに、このモナリオ家が、400年前に、魔道の後進育成のために、セディア魔道学院を設立しました。」
「ああ、私とアレックスの推薦で、入学許可書もすでに発行準備ができている。ただ、現状を知りたいので、今日、丁度、追加募集の推薦、編入試験がちょうど行われるので、そこで学術試験と、実戦で使える魔法を一通り見せてもらいたい。
大丈夫だ、学術試験も小論文のみだから。しかも、小論文の課題は君が今まで読んでいた魔道の書物を対象範囲にしておいた。
そして、忍者学校時代の話では、いじめを受けていたので、今回はそれがないように、入学後はミランダと同じクラスになるように手配しておいた。ミランダもこの秋から入学するのでな。」
典型的な裏口入学だ。うん、裏口入学が目に見えている。
冷や汗が出てきて、唖然となった。
「もちろん、入学後は私たちもフォローしますし、魔道学院という名称を名乗っていますが、現在では、その名前は名ばかりに近く、実際には、昨今の事情を踏まえ、士官学校的な要素も取り入れ、魔道の他にも剣術、格闘術、戦術、もちろん高度な学問など様々なことが学べますので、翔太朗様もぜひ学んでいただきたいと・・・・・。」
いや、そういう問題ではなく・・・・・。
とも思ったが、確かに一度、この国でそういった学びをしてみようとも思っていたところだ。
このチャンスを逃せば、次はいつになるかもわからなかった。
「は、はい。試験受けます。よろしくお願いします。」
裏口入学という面では、納得いかなかったが、せっかくのチャンスなので、試験を受けることにした。
「そうか、よく言ってくれた。さあ、朝食を食べて出発しよう。」
ポールさんはとてもうれしそうだ。
「私も、翔太朗様と一緒に、同じクラスで、学園生活ができてうれしいですわ。」
ミランダが、とてもうれしそうに、飛び切りの笑顔でこっちを見ている。
さらに、勝ち誇った顔で、シロンとユキナを見た。
「ご主人様ぁ~。私たちも一緒に魔道学院へ行っていいですかぁ。」
シロンが変に誘惑しながら言っている。
「シロンと、ユキナは翔太朗君の執事ということで、魔道学院に言っている間はお留守番だな。せっかくの執事なのだから、留守番している間に、掃除などして、翔太朗君の身の回りを整えてあげたらどうだ。」
「「そ、そんなぁ~。」」
シロンと、ユキナは、何かがお預けになった顔をしている。
ミランダはさらに勝ち誇った顔をしている。
「私、人間の魔導士に生まれてきて本当に良かったですわ。シロン、ユキナ。翔太朗様の‘執事’として、お留守番をお願いしますわね。」
ミランダはさらに勝ち誇った顔をしながら、シロンとユキナに言った。
「まあまあ、シロン様、ユキナ様。学院では実践の授業もあります。そこで、翔太朗様が召喚魔法を唱えれば、一緒にいろいろと学院を楽しめることができますよ。」
アレックスさんはシロンとユキナを安心させている。
そのとたんに、二人の目の色が輝きだす。
「ご主人様。実践の授業があるときは絶対に召喚魔法をお願いしますね。」
「あの、その日を教えてくれたら、いつでも準備します。」
「あ、うん。わかったから、二人ともご飯を食べよう。」
「「はーい。」」
シロンとユキナは元気がいい。
朝食が終わり、ポールさんとカミラさんに案内されて、魔道学院に向かった。
追加の推薦、編入試験ということで、出題された小論文は、僕が呼んだことがある書物だったため、すらすらと書くことができた。
実践を伴う実技試験も順調で、魔法や短剣ですべての的を命中させた。
そして、数日後、案の定、入学許可証が発行された。
許可証の上に魔法陣があり、身分証明書を置いた。こうすることで魔道学院の在籍証明書の魔法が付与されるそうだ。
入学式の日までは、カミラさんとミランダ、シロン、ユキナと一緒にギルドの仕事へと向かった。
さすがに戦いとなると、みんな協力的で安心した。
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