#34.ギルドへ報告
王都に戻り、冒険者ギルドにてまずは依頼の報告を実施した。
「なんと、ギエル=ロドバンドが、潜んでいたと。」
ギルドマスターのベンジャミンさんは目の色を変えた。
「カミラ、それにミラ様、翔太朗。大変な目にあってすまなかった。」
「いえいえ、ベンジャミンさん、大丈夫です。悪いのはギエルや悪逆グリフォンなのですから。」
「いや、それでも、侯爵令嬢に、このような危険な依頼をさせてしまっては・・・・・。」
「とにかくだ、ベンジャミン殿。急ぎ、ギエルの調査、確保の仕事依頼を、モナリオ家、そして王国から正式依頼して、発行できないか。ランクは最高峰の『SS』。そして、ギエルの懸賞金の増額も。最低でも、白金貨300枚、3億マネーで。」
「ああ、わかった。もちろんだよ。カミラ。」
さ、3億マネー。
事の重大さを今初めて理解した。そんなやばい奴と戦ったのか。
「翔太朗殿、これがもともとの指名手配所だ。お前は初めてギエルと会ったからな。」
カミラさんが差し出してくれた手配書には、半日前に戦った男とそっくりな写真が乗せられていた。
もともとの手配書。
この時点で、懸賞金、白金貨160枚、1億6千万マネー。
「ちなみに、懸賞金が5千万を超えれば、自動的にセントアリアを超えて、国際指名手配になる。それだけやばい奴だったってことだ。」
カミラさんが、目の色を真剣にして言った。
それ以前に、途方もない懸賞金がかかっている時点で、相当やばい奴だ。
「対応してくれて、ありがとうよ、カミラ。ギエルはこれで良しとして、もう一人やばい奴がいたとはな。」
ベンジャミンさんが僕を見る。カミラさんもミランダも、そして、シロンとユキナも僕を見る。
「お前だよ、翔太朗、まさか伝説の風魔導士だったとはな。」
「はい、ご存じなんですか、ベンジャミンさんも。」
「そりゃあ、『イーグル=アイ』を持つ伝説の風魔導士のおとぎ話。1000年以上も前から存在して、この国、この大陸では知らない人はいねーぞ。鳥獣のすべての魔物を従魔契約し召喚して大戦争を終わらせた。目にもとまらぬ速さで風魔法を連発して無双した。」
まさか、『鷲眼の術』がこれだけ大事になるものとは思わなかった。
「問題は、翔太朗の‘元’家族が同じような術を持っていて、翔太朗の一族秘伝の術になっていることか。厄介なことにならなければいいが・・・・。いいか、翔太朗、家族との縁はとうに切ったといっているが、‘元’家族については誰にも話すんじゃねーぞ。この冒険者ギルドでも翔太朗の事情を知っているのは俺だけだ。わかったな。」
僕は、深く頷いた。
「まっ、とにもかくにもよかったじゃないか。こっちの元気そうな子がシロンで、こっちのおとなしそうな子がユキナなんだろう。」
ベンジャミンさんがシロンとユキナをじろじろ見ている。
ここからは楽しい話題に変えようと取り繕ってくれた。
「うん、どっちもかわいい。翔太朗の従魔としてお似合いだ。それに人間の姿だと、『アリアンローズ』そのままだ。」
「『アリアンローズ』?」
「ああ、この国の国花、薔薇から由来している、この国の美人の条件だな。色白できれいな肌で、ピンク色の頬、上品な人のことだ。それに、はっきり言える人も入ってくるかな。」
なるほど、確かに、シロンもユキナもとてもかわいい。
「確かにそうですね。ベンジャミンさん。」
「ご主人様ぁ~ありがとうございます。」
「・・・・・は、はい。」
二人、特にユキナは顔が赤くなっている。
「翔太朗様、私はどうですか?」
ミランダがいつになく積極的だ。
「ええ、もちろんミラ様もです。」
「ふふ。」
「それにカミラも魅力的だぜ。」
「よせ、ベンジャミン。」
「そうだな、こいつは戦いの方が好きだからな。」
少し和やかな雰囲気が戻った。
「さーてと、事後報告になってしまうが、こちらの報告書にみんなサインをしてほしい。」
ベンジャミンさんが書類を持ってきた。
「特例の許可書だ。以前話したが、基本的に仕事の依頼のランクは、自分のランクより上の仕事は参加できないのだが、様々な理由により、国王や貴族、ギルドマスターが許可した場合、参加できる特例があってな。その都度説明していくが、今回の場合、予期せぬ敵に遭遇して戦闘を余儀なくされた場面もその様々な理由に含まれるわけだよ。この場合は事後報告でも構わないし、すぐに許可の承認が下りる。簡単だが、一応、ルールなんでね。」
なるほど、そういうことか。
確かに、この指名手配犯が出てきたところで、このランクはAAランクに格上げされている。
当たり前かもしれない。
僕らは、事後報告書にサインをした。
「しかし、よかったじゃねえか、シロンもユキナもかわいくてよ。俺が契約したいくらいだ。」
ベンジャミンさんは、僕たちを冒険者ギルド本部の正面玄関まで見送ってくれた。
次はポールさんの番だ。僕らはモナリオ家に向かっていった。
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