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#32.鷲眼の術


 僕の目から魔法陣が現れた。

 目を開けると、そこには、飛び回るグリフォンの動き、すべての視界が止まって見えるようだった。

 

 この状況に気付かず、僕の上に再び雷を落とす、グリフォンウィザードがいたが。

 その雷も止まって見えたので、余裕で、雷を防御魔法で防いだ。

 

 ギエル、キンググリフォンは口をあんぐり開けている。

 

 「どういうことだ、ギエル。聞いてないぞ、こんな奴と戦うなんて。」

 「俺も初めて見た。こいつが出てくるとは。」

 

 「翔太朗殿、まさか、『イーグル=アイ』が使えるのか。」

 何が起きているのか、自分でもわからなかったためだろう。カミラさんが口を開く。


 「『イーグル=アイ』・・・・。」

 「ああ、おそらく、お前がいた世界だと、『鷲眼の術』というのは聞いたことがあるか?お前はいまそれが発動している。さっきの雷も止まって見えたのだろう。」


 鷲眼の術。もちろん聞いたことがある。

 吉田一族に伝わる秘伝の術。まずはこの術を会得することが目標・・・・・。

 

 風ノ里に居たときは会得できなかったが・・・・。ここに来て。


 カミラさんのことばにうなずく。

 使える。今、会得できた。


 行くぞ、ギエル。グリフォン野郎ども・・・。


 肉体強化魔法~速さ~。

 一気に加速していく。ものが止まって見えるかのよう。


 「なに、なんという速さだ。」

 ギエルは僕の動きについていけてない。

 短剣を取り出し、一気に攻める。


 上空で待機している、グリフォンウィザードたちも何が何だかわからないような表情をしていたが、魔法で攻める。


 「やめろ、グリフォンウィザードたち。」

 キンググリフォンが叫ぶ。

 「そいつは、今、イーグル=アイが発動中だ。」


 グリフォンウィザードたちの表情がこわばる。そして。

 雷が、グリフォンウィザードたちに跳ね返ってきた。


 その通り、鷲眼の術。すなわち、イーグル=アイの効果の防御魔法で、受けた呪文を跳ね返したのだ。


 上空にいたグリフォンたちが、バタバタと落ちてくる。


 「おのれ。許さん。」

 キンググリフォンも迎撃するが、僕の速さについていくのがやっとのようだ。

 一瞬、ギエルと、キンググリフォンの位置が重なった。


 「行くぞ、『トルネードカッター』!!」

 ギエルと、キンググリフォンに命中する。ギエルとキンググリフォンが倒れる。


 「おのれ・・・・。畜生。まさか、イーグル=アイの使える。おそらくこの大陸一の風魔導士に遭遇するとは。退却だ。」

 ギエルと、グリフォンたちは、消えていった。


 「逃がすか。」

 カミラさんが、追いかけるが、術が発動してしまい。逃げられてしまった。


 「あと一歩だったのに。」


 僕は、イーグルアイを解放した。

 カミラさんも、僕もハアハア、と息をあげている。


 ミランダとシロンは、攻撃を食らって倒れていたその場で、僕のことをじっと見つめている。

無事だったようだ。


 そして、ユキナ、シロンとユキナの両親。

 そして、卵も無事だ。


 「素晴らしい。」

 カミラさんが僕の方を向いた。


 「素晴らしかったぞ、翔太朗殿。」

 僕のほうに歩きだし、頭を撫でる。


 「すごかったですわ、翔太朗様。」

 ミランダも、立ち上がり、こちらへ向かってきた。

 「そして、『メガヒール』ありがとうございました。シロンも無事ですよ。」


 「よかったです。うまく、『鷲眼の術』、『イーグル=アイ』が発動出来て。」

 「ああ、本当だ。しかし困ったものだ。」

 カミラさんの表情が曇る。


 「翔太朗殿、一体どこで、『イーグル=アイ』を会得しようと思ったのだ。」

 僕は、吉田一族のことを話した。

 『鷲眼の術』が吉田一族の秘伝の術の一つだということ。

 卒業試験の過酷な修業の中に、この術の会得も含まれていたこと。


 「なるほど。そうか。なんという親だと思っていたが、それが使える一族がいたとはな。今の話、ギエルが潜んでいて、聞いていなければいいが。」

 「あの、一体どういうことでしょうか。」


 僕は、カミラさんに聞いてみる。


 「私が説明します。」

 「あのぉ・・・・・。私も捕捉で説明します。」

 ミランダとユキナだった。


 「ああ、頼む。お前たちの方が詳しいだろう。」


 「『イーグル=アイ』は伝説の風魔法の魔術なのです。


 セントアリアに行くときに船の上でアレックスさんからお話があった、伝説の魔法。


 その伝説の魔法の一つが、『イーグル=アイ』。翔太朗様の一族に伝わる、『鷲眼の術』なのです。


 こちらの大陸だと、古い時代にしか存在しない、神話クラスの術です。そのむかし、すべての鳥獣の魔物と従魔契約を行った召喚魔導士に敬意を表して、その魔物が贈ったとされています。その召喚魔導士はもともと風魔法の優れた使い手なのです。」

 ミランダが説明した。

 彼女は興奮を抑えられない状態だ。


 「私たち、ホワイトイーグルでも、その風魔導士に敬意を表しています。この術が使える人に巡り合うのは、奇跡のめぐり逢いだといわれていて・・・・。一生をかけても会えないとされています。つまり、この魔法を使える人は滅多にいません。この術を使える時点で、翔太朗様は、おそらく、セントアリア王国一の、いや、この東の大陸一の、伝説の風魔導士なのです。おそらく、今はその実感はないと思いますが、これから修業して、レベルを上げて行けば・・・・。」


 確かに、『鷲眼の術』は吉田一族、秘伝の術だ。

 僕以外の吉田一族は全員会得している。

 そして、みんなのいう通り、この術は吉田一族の人間しか使えない。


 「なるほど、『イーグル=アイ』ですか。かっこいいですね。」

 おそらく、こっちの大陸では『イーグル=アイ』と呼んでいるのだろう。

 なんかかっこいい。


 「はい、とてもかっこいいですね。」

 ミランダが、飛びつく。


 「ところで、翔太朗殿。今後だが、君の出生については、モナリオ家以外の人々にむやみに吹聴しないでもらいたい。ポール様に掛け合って、正式にモナリオ家の養子に迎えようと思う。君は、モナリオ家の養子、孤児だった自分を引き取ってもらったと、外部の人には言ってほしい。」


 カミラさんの指示があったが、そうすることにした。

 あの一族はもう僕の家族じゃない。向こうから縁を切られたのだから、こっちからも願い下げだ。


 「わかりました。」

 「ああ。『イーグル=アイ』をほかにも持つ人がいることが漏れたら大変なことになる。しかも、国境や大陸を跨ぐことになると少し厄介だからな。」

 確かにそうだ。

 戦争の危険などが山積みになる。


 「大丈夫だ。翔太朗殿。私がいる。」

 「はい。私もいますわ。」


 ミランダとカミラさんのことばに安心する。


 その時だった。

 「大変よ。みんな。卵が・・・・・。」

 ホワイトイーグルの母親が叫ぶ。

 なんと、卵にひびが入っている。



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