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#28.クルレの農村


 当然だが、僕、吉田翔太朗は生きている。

 南ノ国の旅行で両親に置き去りにされて死んだことにされたが、モナリオ家の人々に拾われて、魔法の国、セントアリア王国に渡った。

 そして、モナリオ家の執事のアレックスさん、メイド兼護衛隊長のカミラさんから魔法の修業をつけてもらい、昨日、冒険者ギルドの初依頼を完了したところだ。


 まさか、忍者学校の落ちこぼれから魔導士になるなんて。


 普通に、那ノ国にいたら、忍者学校をこのまま退学していただろう。

 それが、モナリオ家の人々の出会いと、セントアリアに行ってからこうも生活が一変した。本当の家族とも出会った。


 今日も、僕は、モナリオ家の一室のふかふかのベッドから目を覚めた。


 「おはようございます。翔太朗様、朝食がすでに用意できてますよ。皆様もお越しですね。」

 モナリオ家の執事長、アレックスさんが部屋まで迎えに来てくれた。


 今日も、食事が所狭しと並んでいる。モナリオ家の家族みんなと一緒だ。

 「そういえば、昨日カミラと、ミランダ様と一緒に初のギルドの仕事を完了させたとか。」

 「本当かね?翔太朗君。」

 この家の当主のポールさんが聞いてくる。ポールさんは、ミランダの祖父だ。

 僕はうなずく。


 「そうか、素晴らしいよ。ここへきてまだ数日というのにギルドの依頼まで完了できるとは。」

 ポールさんの瞳の奥はますます輝いていた。


 「よかったわね。翔太朗君。本当に良かった。」

 「ああ、セントアリア王国に連れてきて、正解だった。」


 ミランダの両親、つまりポールさんの息子夫婦のアルベルトさんとパメラさんも笑っている。


 「カミラ、今日も翔太朗君を連れて仕事へ向かうのか。」

 ポールさんがカミラさんに聞いてきた。

 「ええ。本日は少し遠くまで行ってみようと思います。丁度、本日からアルベルト様とパメラ様も業務で遠くへ遠征され、数日ほど不在にされるようなので。私たちも王都から少し遠い場所まで行ってみようと思います。」


 「そうか、気を付けてな。」

 「はい。」

 

 「ということで、ミラ様、翔太朗殿、今日はギルドの仕事内容によっては泊まるかもしれないが大丈夫か?」

 「はい。」

 僕も、ミランダもうなずいていた。

 

 どうやら、話を聞いていると、アルベルトさんとパメラさんは宮廷の兵士らしく、しかも、アルベルトさんは魔導士隊第二部隊の師団長を務めて、パメラさんはその副隊長を務めており、大兵団を率いているようだ。

 遠征や遠くの場所での訓練も珍しくなく、数日家を空けることも多いらしい。


 

 ポールさんはさすがに、宮廷の魔導士兵を引退したが、その他の雑用があるらしい。特にアルベルトさんとカミラさんが遠征などで不在時はその分、王都のモナリオ家の仕事はポールさんに来るようだ。

 

 アルベルトさんとパオラさんを見送った後、僕たちも冒険者ギルドへ向かった。


 冒険者ギルドで、カミラさんが依頼内容の張り紙を選んで、僕たちのもとへと持ってきた。


 「今日は、これをやってみようと思う。」

 持ってきた張り紙には『D』と記載された、スタンプが押してある。

 『D』ランクの依頼だ。

 僕のランクは先日ギルドに登録したばかりなので、最低の『G』。

 ミランダは僕より一つ上の『F』。

 本来であれば、このランクの仕事は僕らだけではできない。

 しかし、ランク『A』のカミラさんのパーティーに参加するという形であれば、ランク『A』までの仕事ができる。

 今回も、そのルールに則り、ランク『D』の仕事をすることになった。


 しかし、カミラさんがいるといっても、昨日初依頼を完了したばかり。いきなり、ランク『D』だと・・・・。


 「うん。ランク『D』で翔太朗殿が不安になるのもわかるが、大丈夫だ。ミランダは私と一緒に、これより上のランクの仕事についていったこともあるし、翔太朗殿の得意な、飛んでいる魔物の討伐だ。昨日の戦闘から、飛んでいる敵は得意そうに見えたからな。大丈夫だと判断して、この依頼をすることにした。修業だと思ってやってみよう。私もフォローするからな。」

 

 そういうことなら、大丈夫だろう。不安ではあるが、カミラさんやミランダがついているならやりやすかった。


 「大丈夫ですよ。翔太朗様。実力は私よりも上だと思いますし、頑張りましょうね!!」

 ミランダも、自信ありそうな眼の色に変わっていた。

 

 カミラさんは、依頼の受注の手続きをし、早速、王都を出発した。

 王都の西門から、街道に出る。

 

 この街道は、少し遠回りにはなるが、港町、フィオナゲートへと続いている。フィオナゲートに直行したい場合は、南側の門から出る方が近い。


 「行き先は、クルレという、農村の村だ。王都の北側の崖の末端部分がそこに当たる。」

 王都の北側には自然の要塞、崖が東西に広がっている。

 なるほど、この崖の西の端ということだ。


 「クルレは、崖から流れでる、大きな滝が有名の観光地兼、農村です。温泉もあって、いいところなんですよ。」

 「ああ、クルレの大滝と呼ばれていて、ここから川がゆるやかに流れて行ってな、そこから観光地と農村に発展していったんだ。」


 話によると、クルレの農村も多くの人が来ているような気がする。


 「今回の依頼は、そのクルレの農村に現れる、二頭の『ホワイトイーグル』の討伐だ。」


 なるほど、農村部を脅かす魔物の討伐ということか。


 「『ホワイトイーグル』は純白の体をした、大型の鷲です。大きな鳥ですね。」

 「人はおそってこないようだが、毎日のように、クルレの街の上空を飛び回っているらしい。だが、魔物は魔物、いつ、人を襲ってくるようになるかわからん。早めに手を打っておこうというわけだ。もちろん、人を襲うようなことはしなく、早期対策ということなので、完全に倒す必要はなく、追い払って、クルレに来なくなるようにすることができた場合でも依頼は達成だそうだ。」

 なるほど、鷲か。風ノ里に居たときは、ワシ之信たちと修業をしたよな。

 少し安心した。飛んでいる未知なる魔物と戦うよりは、なじみのある鷲や鳥型の魔物と戦う方がいい。

 Dランクということもあって、畑を襲う、凶暴なバッタが出てきたらどうしようかと思ったが、町の上を飛び回っているだけなら、大丈夫だ。

 そして、追い払うだけということであれば、まあ、大丈夫だろう。さすがにDランクはさすがに難しいと思ったが・・・・・。


 「ただ、ホワイトイーグル自体は強いから注意しろよ。」

 カミラさんが、僕に向かっていったので、はいとうなずいた。



 王都を出てきてから、半日。

 クルレの農村に到着。

 

 本当に、滝があって、滝の傍には温泉街。滝から流れ出る、川沿いを進むと農村が広がっている。のどかな山間のリゾート地と呼ばれるところだろうか。


 今回の依頼主である、クルレの村長のお宅へ向かう。

 「よくぞおいでくださいました。」

 村長は、僕たちを快く迎えてくれた。


 「ここは、クルレという村、大きな滝が名物の温泉街と、農村が広がる村でございます。」

 村長はクルレの村を簡単に紹介してくれた。


 「うむ、よろしく頼む。そして、『ホワイトイーグル』はどこにいるのか?」

 「はい。彼らは畑の方に毎日のように、出没します。しかし上空を飛び回るだけで、人を襲ってこないのが幸いかと・・・・・・。」


 「そうか。それならいい。畑の方へと案内してくれぬか。」

 カミラさんは、早速村長に案内をするように頼んだ。


 村長の後をついて、温泉街を抜け、クルレの農村にたどり着く。

 田んぼや、畑が広がっている。


 「このあたり一帯に、二頭のホワイトイーグルが飛び回ってくるのですが、今日はまだのようですね。」

 「わかった。とりあえず、日没まで待って、ダメそうだったら、今日はここに泊って、また明日にしよう。」


 僕たちは、田畑が広がるこの、農村部で待機して、待っていることにした。

 空に飛び回って現れるということなので、一か所に待機するのではなく、僕たちは、この周辺を探索することにした。

 

 農村部、といっても、観光産業と農業が混合している村のため、いろいろと設備はある。

 木工製品を扱っている、家具工房。ここでは、家具はもちろんだが、木彫りの人形も売られているようだ。

 

 「かわいい。」

 ミランダが、木彫りで彫られていた、イルカに手を触れる。

 「そうだな。」

 カミラさんも、顔が赤い。こういうものには、素直じゃないようだ。


 名物のお菓子屋、写真館などもある。

 観光客をとれたて野菜でもてなす村のようだ。

 

 すると・・・・・・。

 

 二つの黒い影が現れた。

 空を見上げると、大きな翼を広げた、純白の鷲、『ホワイトイーグル』の二頭がこの村を飛び回っている。

 

 「あいつらです。よろしくお願いします。」

 「よし、わかった。追いかけるぞ。」


読んでいただき、ありがとうございます。

次の依頼に出発です。まだまだ冒険は続きます。

少しでも気になる方は、高評価をお願いいたします。また、ご感想をお寄せください。


評価に関しては、このページの一番下の【☆☆☆☆☆】マークでできます。

是非、5つ星をつけていただき、高評価をお願いいたします。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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