#21.セントアリア王国
船に揺られて、4日目の朝、アレックスさんに促されて、船の先頭のデッキへ向かった。
海の向こうに久しぶりの陸が見えて、うっすらではあるがレンガ造りの街が見えてきた。
風ノ里とは全然違う。
「見えましたかな、あれがセントアリア王国の西の港町。フィオナゲートになります。」
おお、これはすごい。
「セントアリア王国は、大陸の西端にある国で、フィオナゲートは海側の玄関口になりますね。」
船は、フィオナゲートの桟橋に着いた。
南の国と同じく、露店がかなり並んでいる。港町だ。
だが、那ノ国の那ノ大陸とは違い、レンガ造りの街並が広がっている。
町はいくつかの水路、運河があり、小さい船ならそこを通って、町の中心部まで行くことができるらしい。
「では皆さま、ここから馬車に乗りますよ。」
アレックスさんに促され、僕たちは馬車に乗る。
「翔太朗様はこちらの馬車にどうぞ。」
アレックスさんに促され、男性だけの馬車に乗り込んだ。
つまり、同乗者は、ポールさん、アルベルトさん、アレックスさんと僕の四人で先頭の馬車に乗る。
女性の三人、パメラさん、ミランダ、カミラさんは後ろの二台目の馬車に乗り込んだ。
全員が乗り込んだのを確認すると、馬車は動き出す。
「ここから、王都までは半日、4、5時間程度となりますね。フィオナゲートから王都までの需要はかなり大きく、かなり大きな街道が整備されていますから、何もないと思います。」
確かにそうだ、王都から近くの港町までならば物流の需要もかなり多くなる。
アレックスさんの言った通り、なんとも歩きやすそうな街道を馬車は走っていく。
王都までの街道の大半が、立派な石畳でできておりこれなら雨でぬかるもこともない。
そして、途中には幾人もの旅人と、何台もの馬車とすれ違っていた。
アレックスさんの言った通り、馬車に揺られて、5時間前後経過したときだった。
「翔太朗様。窓から前方をご覧くださいませ。」
アレックスさんのことばに馬車の窓から顔を出してみる。
小高い丘の上と切り立った崖の間に、白い城壁が囲まれており、丘の一番上には純白の城。そして、城壁は何キロも続いており、純白の城の周囲をぐるりと囲んでいる。城の後ろにはそこまで高くはないが、切り立った崖が存在し、その崖が、外部からの侵入を防いでいるようだ。
どうやら、王都は小高い丘と崖を切り開いてできた街なのだろう。
先ほどのフィオナゲートよりもかなり大きい街なのだろう。
「どうでしょうか。こちらが、セントアリア王国の王都になります。正確には王都セントアリア、という都市の名前ですが、国名と首都名が一緒なので、セントアリア王都で伝わります。こちらの大陸では、セントアリア以外にもいくつかの国がありますが、国名と首都名が一緒がほとんどなので、王都、首都、帝都、と言えば伝わりますよ。」
アレックスさんが、お話してくれた。
本当に純白の、大きくて、きれいな町だった。
やがて、馬車は王都の門の前に止まる。
「翔太朗様、こちらに来ていただけますか。」
アレックスさんに促され、王都の門番のもとへ連れていかれた。
門番は石板を差し出してきた。
「翔太朗様、仮の身分証明書を発行しますので、こちらの石板に手を置いてください。証明書の発行は私どもの侯爵家がたった今許可しましたので、ご安心を、侯爵家の推薦であればいろいろと優遇されたり、今回の場合も手続きを省略することができますので大丈夫かと。」
僕は、アレックスさんの指示通り、石板に手を置いた。
石板から魔法陣が発動し、一枚の紙が出てきた。
「こちらが仮の身分証明書です。明日くらいに、身分証明書が正式に発行されるので、それまで、こちらをお持ちください。これがあれば現在のステータスも確認することができ、施設の利用、関所の通過、ギルドなどの登録などをするのに役に立ちますよ。必要になったら、あとで説明しますね。」
との説明だったので、後で身分証が送られてきたら、大切に持っておかないと。
王都の門から、王都に入った。活気があふれている。
正面のメインストリートをまっすぐ行き、しばらくして、坂を上るとそこは貴族街だった。
その貴族街の一等地とも呼ばれる場所に、モナリオ家の屋敷はあった。
門を入り、噴水のある大きな庭を通り、家の前で馬車が止まる。
「皆様、長旅お疲れ様でございました。そして翔太朗様、ようこそ、モナリオ家に。」
すごく大きな屋敷だ。
屋敷に入ると、さらに多くの執事やメイドの方がこの家の主一行を出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。」
「留守番ご苦労であった。」
アレックスさんが留守を任された執事やメイドの方、そして、警護兵の人たちに挨拶をした。
「今日から、モナリオ家に居候、そして、必要があれば養子になる予定でいる、翔太朗=吉田様だ。」
アレックスさんが僕を紹介してくれた。
「よろしくお願いします。」
僕は執事の方々に向かって、頭を下げた。
「よろしくお願いします。」
屋敷の召使の方々は頭を下げた。
空いている部屋に案内してくれるように指示され、僕は案内してくれるメイドの方についていった。
とても広い屋敷だった。
階段で、3階へ上がり、階段を昇ったら左へ進む。
左から二つ目の部屋。
「どうぞ、こちらになります。」
その部屋には、ベッドと、机とクローゼットと本棚が置かれていた。
当然床には高そうな絨毯が敷かれてある。
「足りないものがあれば、言ってほしいとのことです。では失礼します。」
メイドさんが部屋を出て行った。
メイドさんが出て行ってすぐに、僕は屋敷の部屋の窓を開けた。
二階からではあるが、丘の上の貴族街にその屋敷はあるため、窓を開ければ建物の陰からではあるが、少しだけ王都の街並みが見えた。
部屋を出て、向かいの廊下の窓には純白のレンガ造りの王級が見渡せた。
ベッドは一人で寝る分には大分広く、三人くらいで眠れそうだった。
机も広く、背もたれ付きのいい椅子が用意されていた。
来客用の部屋の一つなのだろうか。それでも豪華すぎた。
クローゼットの中には何もなく、自分が文無しで、よくここまで来たなと改めて、印象付けた。
扉がノックされ、アレックスさんが入ってくる。
「どうですか。お部屋の方は。」
「とても気に入りました、ありがとうございます。」
確かに、気に入った。こんな豪華な部屋は見たことがない。
風ノ里の吉田家にいたときは、とても窮屈で、どれにされる日々を送ってからは、自分の部屋なんてなかった。
「そうですか。何よりです。」
アレックスさんは、部屋の中を動き回る。
少し寂しそうに感じたのだろう。
「そうでした、ご家族に一文無しで捨てられた、あのような悲惨な出来事があったので、何も持っていらっしゃらなかったのですよね。旅行期間中は、私どもの収納魔法にしまっておいたもので、間に合わせることができましたが。」
はい。と僕はうなずく。
「明日、買い物に行きましょう。少しですが、王都も案内いたしましょう。」
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